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「暗黙」のわからなさ① ~療育室での出来事から~ 005

こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。

発達障害のお子さんは、
「暗黙」がわからない、と、私たち療育者は理解しているつもりです。

しかし、
「分かりやすさ」を提供しているはずの
療育の現場でも、
私たちが発する言葉や、提示した絵カードが表す意味の取り違いから、
お子さんを混乱させてしまうことがあります。

運動会シーズンであった、先月
こんなことがありました。

療育の一日のスケジュールを提示する際、
「こうえんあそび」というプログラムを
ひらがなとイラストで描かれた絵カードで、表しました。
このプログラムは、
お母さんと手をつないで公園に行き、遊具であそび
シャボン玉をして帰ってくる、という内容を設定していましたが
細かな内容までを詳しく絵カードでは、表記していませんでした。

(しかも、療育者と保護者の事前の確認では、
このプログラムの親側のねらいは、
◎親子で、手つなぎして移動する練習
◎公園からの帰り、切り替えの仕方を確認しよう  
というものでした)

公園に到着し、お友達が遊具で遊び始めると、
お子さんの一人が、
「遊具で遊んじゃだめなんだよ!!!
リレーのれんしゅうをするんだよ!!!なんで? なんで???」
と、混乱し、パニックになりました。

お母さまに確認してみると、
そのお子さんの幼稚園は、
その時期、運動会の練習を
連日、近所の公園でおこなっていた、というのです。

公園=✖遊具で遊ぶ場所
公園=〇リレーをする場所

と、一つの場所=一つの意味、として理解したお子さんにとって、
「こうえんあそび」がいろいろな意味をもつもの、とは
知るよしもありません。

場面によって、公園はいろいろな使い方がされるもの、
幼稚園と療育室がしめす「こうえんあそび」は
そもそも別のもの・・・。

私たちが何気なく
発信している言葉のなかに
たくさんの「暗黙」が含まれている
ことに
改めて気づかされ、
発達障害のお子さんの認知の仕方を知る、
大切な経験となりました。

その日の「こうえんあそび」は
結局、急遽リレーごっこを提案し、
先生VSお子さんたちでの対決に
先生側が大差で敗れる、、、という結末をつくって、
無事に
気持ちを切り替え、笑顔で公園から療育室にもどってくることが
できました。

私たちも、日々、
お子さんの理解の仕方を改めて知ることで、
たくさんの学びがあります。

私たちのコミュニケーションは、知らずしらず
たくさんの「暗黙」とともに
なりたっている
、ことをわすれずに、
お子さんたちへの発信の仕方をどうすればもっと
分かりやすくできるのか、
保護者のみなさんとこれからも一緒に考えていきたい、
とおもっています。

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