さつき先生

東日本のとある街で、発達障害児の専門療育機関にて、保育士として働いています。 今まで様…

さつき先生

東日本のとある街で、発達障害児の専門療育機関にて、保育士として働いています。 今まで様々な療育現場に従事してきた中での気づきや学びを 「このはな療育室」という、私の療育の知見をためてきた架空の療育室から、発信していきます。

最近の記事

「伝えた」と「伝わった」は違う017

こんにちは。「このはな療育室」のさつきです。 保護者の方とお話をさせていただくとき 私たちが常に 気を付けていることがあります。 それは、 こちらが「伝えた」と思っていても、 相手には「伝わっていない」ことがよくある、ということです。 専門家として日々何気なく使ってしまう言葉や 制度の内容を、なるべくわかりやすく保護者の方に お伝えしたはずなのに、 あとから、もう一度、確認させていただくと ご理解いただけていなかったり、 受け取り方にずれが生じていることがあるからです。

    • 「一般級」が良い、と思っているのは誰なのか?016

      こんにちは。「このはな療育室」のさつきです。 「なぜ、一般級が良い、と思うのか」 この「問い」に対して、保護者の方がご自分の言葉で 答えられるよう、私たちは、この時期、 丁寧に時間をかけて 面談や、電話相談をしています。 「このはな療育室」では、 お子さんの特性についての理解を深めていけるように、 保護者の方と一緒に療育を行っています。 療育を重ねると、 お子さんが「わかる」ためにはどのような配慮や援助が必要なのか、を 保護者の方も、考えられるようになってきます。 そし

      • 好きなことに夢中になっているときの子どもの姿をみてほしい 015

        こんにちは。「このはな療育室」のさつきです。 「このはな療育室」の療育時間の中には、 じゆうあそびの時間が設けられています。 まずは、好きな遊びを見つける     ↓ 一人でじっくりとモノと関われる     ↓ だれにも邪魔されない環境を整備して、一人遊びを保証する     ↓ 大人に手伝ってもらいたいときの援助要求の方法を伝える     ↓ 要求を伝えたら叶う、という成功体験を、好きな活動の中で積んでいく     ↓ じゆうあそびの時間で、コミュニケーションの土台を育む

        • がんばるのは、どちらなのか??014

          こんにちは。「このはな療育室」のさつきです。 前回、わたしは、 発達障害のお子さんが、 「がんばること」と「すきなことに没頭する」時間を 両立できるように環境調整をしていけたらよい、と 書きました。 しかし。 そもそも。 頑張らないといけないのは、だれなのか? 発達障害基本法のなかには、 発達障害の理解は、国民の責務であると、 明記されています。 マイノリティ側だけが頑張らねばならない世の中はおかしい、 マジョリティ側が、正しく発達障害について学び、理解し 社会全

        「伝えた」と「伝わった」は違う017

          「頑張ること」と「すきなことをする」を両立できるために 013

          12月にはいり、就学にむけた最終調整、最終決定の時期に なってきました。 保護者さんは、療育施設や幼稚園との面談、就学時相談、 特別教育相談、それらを終えてのさらに臨時面談、、 様々な関係機関の方々と お子さんの特性や特徴について、お話をされていると思います。 療育者がこの時期もっとも難しいと感じるのは、 「境界域」に属する、とりわけおとなしいタイプのお子さんが 集団生活の中で感じている困難さを どのように可視化して保護者の方と共有したらよいのか、 ということです。 おと

          「頑張ること」と「すきなことをする」を両立できるために 013

          『刺激』を調整できないツラさ 012

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 お子さんの困り感を理解するうえで、 忘れてはならない大切で重要な視点があります。 それは、 お子さんの「感覚の捉え方」を知ることです。 聴覚や、視覚、触覚、味覚、嗅覚など、 お子さんが感覚をどのように感じるかについて 客観的に周りの大人が把握することは、 とても難しいものです。 感覚とは、目に見えて測れるものではありません。 感覚の過敏さにより、お子さんが著しく生活に困難を 抱えたり、不快感に悩まされていたとしても、 そ

          『刺激』を調整できないツラさ 012

          二八(にはち)の療育 011

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 冒頭のタイトル、『二八の療育』とは わたしが療育を学び始めた頃、担当の児童精神科の先生が よく口にして、教えてくださっていた言葉です。 『未就学児期のお子さんへの早期療育は、 子どもへの支援ではなく、親御さんをサポートすることに 重点をおくことを忘れずに。 配分は、子どもが2で、保護者が8 である』 と。 まだ、障害の告知をうけていない 告知をうけたとしても腹落ちしていない そもそも、うけいれられない、 子どもの行動が理解

          二八(にはち)の療育 011

          「無理解なのに熱心な人」が傷つける 010

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 タイトルの言葉は、 佐々木正美先生の表現を拝借したものです。 発達障害の子どもたちを傷つけるのは、 「無理解なのに熱心な人」だ、と先生は表現されています。 発達障害のお子さんが困っている様子を見て、 サポートしたい、 なにか力になりたい、と 周囲にいる大人はきっと思うことでしょう。 しかし、大人の一方的な価値観で 対応すると、 お子さんをさらに苦しめてしまうことがあります。 「対応」する前に、 なぜお子さんはこの場面で

          「無理解なのに熱心な人」が傷つける 010

          コミュニケーションの土台づくり 009

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 療育に通ってこられるお子さんの中には、 コミュニケーションの誤学習を積んでいる方が いらっしゃいます。 周囲から正しい理解が得にくい環境の中では やりとりのずれ、や 意図理解の悪さからの「できなさ」が目立ってしまうことが あります。 状況を察することができない場面では、 不安の高い状況なのに、 周囲から「できない」ことを指摘されてしまうことも あるでしょう。 周囲が無理解な環境下では、 やり取りをして、自分の思いが伝わった

          コミュニケーションの土台づくり 009

          「みんなと一緒に座っている」は、いいことなのか?008

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 先日は、「わかる」は「たのしい」ということについて 書きました。 お子さんのわかって活動している姿を保護者の方に 意図的にお見せすることで、 「わかる」は、お子さんの自律的な行動の基本であり、 二次障害を発生させないためにも、 お子さんの成長を育む大切な土台である、ということを 療育者と保護者が共有すること、が幼児期の療育の大切な ねらいだからです。 小学校へ入学する際、 通常級か、特別支援学級か、と悩まれる保護者の方に対し

          「みんなと一緒に座っている」は、いいことなのか?008

          「わかる」が「たのしい」~療育室の現場から~ 007

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 子どもたちが、たのしい!!と思うのは、 こどもにとって、「わかる」場であること、にほかなりません。 分かりやすい提示、分かりやすくするための環境の構造化、 先生(周りの大人)が発する言葉をキーワードにしたり、 流れをパターン化しルーチンをつくる・・・ お子さんの発達段階に合わせた 「わかりやすさ」への配慮を常に意識しながら このはな療育室では、活動を展開していきます。 お子さんにとって、 なにがわからなくて、なにならわかる

          「わかる」が「たのしい」~療育室の現場から~ 007

          「暗黙」のわからなさ② ~問題文がわかりません!!!~  006

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 療育中、一定時間、机にむかう時間を設けています。 これは、プリント課題を用意して、 小学校へむけた書字や、算数の先取り勉強をすすめる時間、 ではありません。 鉛筆の持ち方、手と目の協応動作の確認などを、 OTの視点から評価することはもちろんですが、 あえて、すこし難しいプリントを用意して 周りにいるスタッフに、 「手伝って」「わかりません」「どうやるの?」等、 ヘルプを自ら出す力、 終わったら、 「できました」と伝える力を育

          「暗黙」のわからなさ② ~問題文がわかりません!!!~  006

          「暗黙」のわからなさ① ~療育室での出来事から~ 005

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 発達障害のお子さんは、 「暗黙」がわからない、と、私たち療育者は理解しているつもりです。 しかし、 「分かりやすさ」を提供しているはずの 療育の現場でも、 私たちが発する言葉や、提示した絵カードが表す意味の取り違いから、 お子さんを混乱させてしまうことがあります。 運動会シーズンであった、先月 こんなことがありました。 療育の一日のスケジュールを提示する際、 「こうえんあそび」というプログラムを ひらがなとイラストで描か

          「暗黙」のわからなさ① ~療育室での出来事から~ 005

          11月からの年長さん。      「もうすぐ小学生なんだから…」という 声かけと空気感に、とてもストレスを 感じています。004

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 11月にはいりました。 年長さんは、小学校にあがるまで、半年をきりましたね。 働かれている保護者の方にとっては、 放課後等デイサービスや、学童保育など お子さんが放課後を安心安全に過ごすための場所の確保に 動き始めておられるころでしょうか? 幼稚園や、保育園は、秋の運動会が終わり、 これからは、年末にむけた発表会や学芸会の練習が はじまりますね。 そして、 小学生になるため、 いままでとすこし違った雰囲気やスピードで、 クラ

          11月からの年長さん。      「もうすぐ小学生なんだから…」という 声かけと空気感に、とてもストレスを 感じています。004

          こんな療育者で、ありたい  003

          こんにちは。「このはな療育室」の、さつきです。 前回は、療育をする最大の目標は、「二次障害をなくすため」と 書きました。 「このはな療育室」は、現在、未就学児のお子さんを 対象としていますが、 巣立っていったお子さんの保護者の方から 学齢期のご相談の電話をいただくことがあります。 私たちをたよってくださること、 思い出してくれて、お子さんの「困り感」について一緒に 考えられること、 本当にありがたいことだなあ、と思っています。 一般級、特別支援学級 どちらをえらんでも、

          こんな療育者で、ありたい  003

          療育がめざす、最大の目標 002

          こんにちは。 「このはな療育室」の、さつきです。 いきなり、壮大なタイトルですが、私が伝えたいと心から思うこと、 そして、これからのこのnoteが続く限り、ずっとかわらない 「このはな療育室」からのメッセージを、最初に伝えます。 療育って、なんのためにするのでしょう? お子さんの苦手さを克服するため? 発達を改善するため? 集団活動に参加しやすく?適応させるため???? 昨今、様々な民間療育事業所が地域に誕生し、 発達障害児へのサービスは充実し、選択肢も増えています。

          療育がめざす、最大の目標 002