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ドラッグディーラーとの終わりなき戦い(フランス、引っ越し編)

やっと引っ越しが終わった、という安心感もつかの間、引っ越し先のアパルトマンにドラッグディーラーが出入りしていることが発覚。本当に迷惑な、でもフランスでは割とあるある?な話です。

個人的なニュースになりますが、先月無事に彼女と籍を入れることができました。コロナウイルスの影響で日本から取り寄せる書類に予想外に時間がかかったり、こちらの市役所でアポイントを取るのが延期になったり、と多くの問題がありましたがどうにかなりました。

そして籍を入れる手続きを進める中、新たな引っ越し先も並行して探していました。僕が住んでいるリールは、学生がとても多い街です。学校が始まる9月に向けて、6~8月から学生は入居探しを始めます。ちょうど僕たちも同じ時期に引っ越し先を探していたので、どこも競争率が高く、見つけるのにとても苦労しました。

5件見学して、いいところもいくつかあったのだけど、条件が合わなかったり、競争率が高くて入居なかったり、という状況が1ヶ月ほど続いていました。

それでも諦めずに入居希望のメールを送り続け、ようやくLe bon coinという、現地のウェブサイトを利用してようやく理想的な物件(市内から近い、職場からも近い)に巡り会えました。

アパルトマンの一つの部屋だが、建物の奥に位置しているのでバルコニーもあるし、そして二階まで入居者が使える部屋、スペースがありました。そしてキッチンも冷蔵、冷凍庫、オーブンまで付いている完璧な状態。

すぐに入居したいと家主に伝え、たくさんの応募にも関わらず僕たちが選ばれ無事に引っ越しすることになりました。

フランスのアパルトマンの構造はとても複雑で、外からは中がどのような構造になっているのか見えません。僕たちの部屋は一階の奥に位置していて、部屋に入るまでに3つのドアがあります。1つ目のドアは他の居住者と共用で、2つ目のドアはバルコニーに繋がっていて、3つ目のドアを開けてようやく家の中、という具合です。

リールという街はもともと産業の街で、多くの工場があり、その労働者の街として発展した側面があります。その名残から、多くの建物がレンガでできています。そこに新しくアパルトマンを建設していったので、アパルトマンの構造はとても複雑で、入り組んでいます。

僕たちのアパルトマンも例外ではなく、隣の建物と僕たちのバルコニーはとても小さな壁一つで敷居が分けられています。

無事引っ越しが済んで数日後、不思議なことがおきます。外出して帰ってくると2つ目のバルコニーに繋がるドアの鍵が開いているのです!

おかしいな、閉め忘れたのかなと思っていたのですが、翌日もその翌々日もそのドアの鍵が開けれらているのです! 

そのドアは内側からは鍵がなくても開けられる形式になっていました。ということは誰かが隣の建物から壁を超えて僕たちのバルコニーから、アパルトマンに侵入しているということです。

このような状況が続いては、泥棒等に入られる可能性もあるし、というか気持ちが悪い!放ってはいけない、ということで誰が侵入しているのか突き止めることにしました。

水曜日の昼、部屋のカーテンも閉めて電気も消し、誰も部屋にいない風を装い、静かにカーテンと窓の隙間からバルコニーを監視していました。

監視し始めて数分後、隣の建物から、帽子を深く被って顔を隠した若者が壁を超えてバルコニーに入ってきました。ものの数秒でその若者は壁をジャンプして着地し、2つ目のドアを開けて建物に入り、消えました。

でも、そいつの顔ははっきり見ました。

絶対忘れない、次あったら注意するぞ、と意気込んでいました。

翌日、仕事から帰ってくるとまた2つ目のドアの鍵が開いている。

もう我慢にならん!!

ということで、とりあえず建物の隅から隅までチェック知ることにしました。

その建物の3階にいってびっくりです。

何人かの若者が廊下の隅にドラッグを隠していたのです!!

奴らは、ドラッグディーラーだったのです。

泥棒するのが目的ではなくて、ただただドラッグを僕の住むアパルトマンに隠して、売買するのが奴らの目的だったのです!

そして、僕らのバルコニーがその隠し場所への通り道になっていたのです!

ドラッグディーラーと知り、注意して因縁つけられても困るので、とりあえずその日は注意せずに何ができるか対策を練りました。


1、警察に連絡する

2、壁の上にトゲトゲ(鳥よけ的なもの)を設置して、バルコニーへの道を塞ぐ

3、2つ目のドアを内側、外側両方から鍵がないと開けられない特殊なタイプに変える


が考えられる解決策でした。

早速、警察に電話します。

拙いフランス語で一生懸命説明して、状況を理解はしてはもらえたものの、警察側では証拠もないしすぐに動けない、らしい。

そして、警察は忙しくて他にもやることたくさんで、この件は優先順位が低いし我々は何もできない、というのだ!

フランスの警察は、何か事件が起きてからしか動かないらしい。

なんだそりゃ。

ということで、解決策2 壁の上にトゲトゲを設置する、を試みる。

トゲトゲを色々調べているうちに、一つ問題に直面する。

フランスの法律だと、誰かがそのトゲトゲで怪我をした場合、設置した人がその全ての責任を取らないといけないらしい。たとえ、それがドラッグディーラーのような不法侵入者でも。

なんだそりゃ。

そんなリスクは取れない。勝手に人のバルコニーに侵入し、ドアも開けたまま放ったらかしてしまう、雑で頭のよくないドラックディーラーのことだから、トゲトゲなんか設置したら絶対に怪我をしてしまう(たとえそれが鳥避けのトゲトゲでも)。そんな奴らの医療費なんて負担したくない!

ということで、解決策3、 2つ目のドアを内側、外側両方から鍵がないと開けられない特殊なタイプに変える を実行することにしました。

これは簡単で、ホームセンターで購入しその日のうちに自分でドアノブの部分を解体して、新しいタイプの鍵を設置することができました。

すると効果てき面、数時間後例のドラッグディーラーが壁を超えていつものようにバルコニーに入ってきました。僕は仕事をしていたため、実際は見ていません。

帰宅した際、形跡をみてびっくり。バルコニーはめっぽうに散らかされていました。

隣の建物から壁を超えてバルコニーに侵入するのは簡単だが、逆にバルコニーから隣の建物に戻るのは相当大変。というのも、壁は3メートルほどあるからだ。

このドラッグディーラーは僕が鍵のタイプを変えたことをもちろん知らない。侵入してパニックになったと思う。

やべ、出れねぇ!って

びっくりしたのは、そいつがバルコニーを脱出した方法である。バルコニーにあった二つの椅子と、テーブルをうまく重ね、3mもの壁を超えて隣の建物に戻っていたのである!

帰ってきてびっくり、椅子とテーブルが器用に重ねられて、はしごみたいになっていたからだ。

とりあえず、この方法でドラッグディーラが僕たちのバルコニーに侵入することを防ぐことに成功しました。

でも、油断はできません。きっと建物のどこかにドラッグはまだ隠されているかもしれない。他の手段を使ってでも、強引に侵入するかもしれない。

しばらくは様子見だ、、、


ドラッグ絶対ダメ! 不法侵入も絶対ダメ!


絶対これ警察案件でしょと思っていても、自分でどうにかしないといけないのがフランス。

これでまた少し忍耐力がついたというか、強くなった気がします。













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