所用で新橋に出かけたときのことです。「怪獣酒場」というお店でランチを食べました。きっと、ウルトラマンの「怪獣墓場」という話をもじったのだと思います。ちなみに「怪獣墓場」に登場した怪獣はシーボーズです。

怪獣酒場はいたるところに、怪獣や宇宙人のフィギュアが並べられ、壁には、ポスターやステンドグラスが飾られていました。さらに店内に設置されたテレビからはウルトラマンやウルトラセブンの名場面が流れていました。お客さんは、私と同年代の男性ばかりで、皆さん、テレビに夢中になったり店内の撮影をしていました。

私は子どものころから怪獣が大好きです。小学校低学年のころは、家が学校の学区のはずれにあり、さらに飲食店街にあったため、近所に子どもがいませんでした。そのため一緒に遊ぶ友だちがなく、毎日、怪獣と遊んでいました。緑色のマス目が印字された厚紙で工作用紙というのがあります。それでビルや街を作って、そこで怪獣を戦わせたりしていました。

私も、運ばれてきた食事もそこそこに怪獣酒場のテレビで流れるダイジェスト映像に夢中になっていました。するとちょっとした場面だけで、ストーリーや怪獣の名前がすぐに出て来ます。最近のことはすぐに忘れてしまうのに、子どものころ、夢中になっていたことは忘れません。

夕食を食べながら、怪獣酒場の話を娘たちにしました。店内に飾られていた怪獣や宇宙人の名前を写真を見せながらていねいに伝えました。すると長女が言いました。
「お父さんがすごいのはわかったけど、それ覚えていて何になるの…」