放送大学 グローバル経済史('18) メモ1.グローバル経済史入門-世界の構造変動をめぐって-

講義メモをTwitterからnoteに移動します。歴史系が続いていますが今期はグローバル経済史にチャレンジ。

シラバス

放送大学 授業科目案内 グローバル経済史('18)
https://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H30/kyouyou/C/syakai/1639609.html
グローバル経済史(’18)

1 グローバル経済史入門-世界の構造変動をめぐって-

グローバルヒストリーが近年提案され注目を集めている.
20世紀後半よりアジア圏の経済成長は西欧を上回っているが,実は19世紀においてもアジア域内貿易の金額はアジアーヨーロッパ貿易額を上回っていたことがわかっている(杉原薫, 1996).こうした過去のアジア地域の経済史は認識が追い付いていない.
歴史学(世界史)は文献資料を基本とするため,文献が残っていない中世以前のアフリカや南アジアなどの歴史が手薄な一方,文献の蓄積された西欧が重視されがちであり,このことが近代の西欧によるアフリカ・アジアの「文明化」を使命とする視点で見がちであった.しかし自然科学系研究者の参入により環境や疫病など非人間要因による歴史記述が試みられている.ことにグローバル経済史ではヨーロッパの相対化、地域比較にとどまらず地域間相互作用を研究する。
グローバルヒストリー研究の歴史:(1)ウォーラーステイン「世界システム論」.ヨーロッパを中核とした世界システムがグローバルに世界を一体化させていく流れを明確化.(2)ノース&トマス「私的財産論」.近代の西欧の経済発展は技術革新よりもむしろ財産権の確立によるもので,経済組織を効率化させ、国家と個人の利害を一致させたとする説.(3)ジョーンズ「国民国家競合体論」.ヨーロッパ型国民国家はインフラ整備において優れていた点が経済を阻害しがちなアジアの諸帝国と異なり、ヨーロッパの経済成長を実現したという説.ただしのちにジョーンズは主張を変えており,過去に同様の急激な経済発展が宋代の中国や徳川幕府時代など繰り返し起きており,既得権益の保護と経済発展とのバランスに起因することを明らかにした.また(1)に関して13世紀にはユーラシアの8つからなる世界システムが存在し相互に重なりをもつことが指摘されている(アブー=ルゴト)
参考文献:
ヨーロッパの奇跡 E.L.ジョーンズ 著
経済成長の世界史 E.L.ジョーンズ 著
銃・病原菌・鉄 ジャレド ダイアモンド著
アジア間貿易の形成と構造、杉原薫, 1996
Maps of Time, Crhistian David, 2004
大分岐、ポメランツ
リオリエント、フランク

感想

とりあえず初回はガイダンスということで、コンセプトの説明ですね。イギリス産業革命を必然ではなく、相対化して考えていくという感じでしょうか。楽しみです。

追記:「銃・病原菌・鉄」はいつか読まなきゃいかんと思っていたところ。動きがないように見える歴史学も、自然科学の発展の恩恵を受けるわけですねー。

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