放送大学 サプライチェーン・マネジメント(’21)第2回 サプライチェーン戦略
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https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/SC02060200201/initialize.do
放送大学 サプライチェーン・マネジメント(’21)
Supply Chain Management ('21)
主任講師名:松井 美樹(放送大学教授)
概要
執筆担当講師名:富田 純一
(東洋大学教授)
放送担当講師名:富田 純一
(東洋大学教授)
経営戦略 = 一連の意思決定を整合させるための見取り図
企業戦略: 全体レベル。
事業戦略: 機能横断的に事業(競争)についての戦略。サプライチェーン戦略もこの一つ。
機能戦略: 開発、製造、購買・・など機能単位。
事業戦略のフレームワーク
外的要因: ポジショニングアプローチ。市場(競合)、供給、顧客、新規参入、代替品 (Porter, 1980)
内的要因: 資源アプローチ。Value, Rarity, Imitability, Organization (Barney,1997)-> 本講義ではこちらを採用。
サプライチェーンプロセスの入れ子構造
パフォーマンス: Quality, Cost, Delivery
製品需要の特徴に応じた戦略の使い分け:
- 新規性の低い製品: 需要予測しやすい、製品ライフサイクル2年以上、生産リードタイム0.5-1年。例:醤油。
- 新規性の高い製品: 需要予測しにくい、製品ライフサイクル3-12か月、生産リードタイム1日-2週間。例: ハイテク製品、ファッション製品。
- プッシュ戦略: 需要の不確実性が少ない製品に適する。需要予測をもとにあらかじめ生産計画を立て原材料を発注、在庫を持っておき見込み生産、供給する。効率性を狙う戦略。市場変化には遅れが生じやすい。
- プル戦略: 需要が不確実性が高い製品に適する。新規性が高い製品。顧客からの注文をもとに材料を調達し、受注生産、供給する。市場応答性を狙う戦略。リードタイムが伸びる可能性があり、短納期化が競争力に影響。機能横断的組織または事業部制組織を採用する。アパレルメーカーの場合、最初一定量をプッシュ戦略で作っておき、追加分をプル戦略で作ることもある。稼働率の維持は困難。
- プッシュ・プル戦略: 複数製品の共通部品・中間製品をプッシュ戦略で作っておき、在庫とする。注文や需要予測に基づき共通部品・中間製品から注文のあった最終製品をプル戦略で生産、供給する。効率性と市場応答性の両立を狙う。共通部品・中間製品と最終製品の境界をディカップリング・ポイント(受注引き当てポイント)という。応用としてマス・カスタマイゼーション(ディカップリングポイントを適切に設定し量産品の多品種生産を実現する)がある。例:ポテトチップス、プリンター(A社のグローバル向けカスタマイズ)。
感想
戦略という高次元のフワフワした話(失礼)がサプライチェーンの最適化を通して製品の個々のアーキテクチャーというミクロなものと結びついているわけで、製品のスペックだけでは見えてこないところがあります。戦略を考える人は全体的な話とそういう細かいレベルまで見えてないといけないわけで、安易な役割分担を拒むような難しさを感じます。
身の回りの製品でどこがディカップリングポイントになっているか、どのような不確実性、多様性に対応しようとしているか考えてみると楽しいですね。
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