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特急いなほ、上越新幹線ときで秋田から東京へ

7月上旬の日曜日秋田駅。
前日は由利高原鉄道に乗車&鉄印収集を終え、秋田から東京へ移動する。
秋田新幹線「こまち」を使えば、4時間以内で乗り換えなしで移動できるが、秋田・東京間の裏ルートともいえるのが羽越本線、上越新幹線経由である。
かつて、上越新幹線が開業する1980年代前半までは多くの長距離列車が羽越本線を経由していた。
現在、羽越本線を走る長距離列車は新潟・秋田間を走行する特急「いなほ」のみとなってしまった。
今回は特急列車と新幹線を乗り継いで、少し時間をかけて移動することにした。

特急いなほ8号で日本海を南下

秋田駅10:44発の特急いなほ8号新潟行きに乗車する。
使用する車両はE653-1000番台(ハマナス色編成)7両編成。
かつて常磐線で使用されていたが、国鉄型車両を置き換えるため、2013年頃から一部の仕様を変更して特急いなほ号に充当されている。

特急いなほ号は新潟ー酒田・秋田間を1日7往復、このうち2往復が秋田駅まで運行される。繁忙期には酒田止まりの1往復が秋田まで延長運転される。

これから先、羽越本線・白新線を通って新潟へ向かう。
「特急いなほ」は秋田駅を出発すると、すぐに秋田新幹線と別れ、日本海が一望できた。
日本海側を走行する同線はほとんどの区間で海を望むことができる。

海岸沿いを走行することも多い。

秋田駅を出発しておよそ35分。
最初の停車駅羽後本荘駅に到着する。由利高原鉄道との乗換駅である。前日、鉄印収集のため矢島駅とを往復した。
1分間停車し、仁賀保、象潟、遊佐駅とこまめに停車を繰り返す。秋田県側最後の駅・小砂川を通過し、女鹿駅で山形県へと入る。
遊佐駅付近から日本海と別れ、庄内平野を走行すると12:09酒田に到着した。
羽越本線のほぼ中間に位置する同駅で乗務員が交代した。
また酒田からは多くの乗車があり、自由席。指定席ともに混雑し始めた。

羽越本線は日本海縦貫線の一つで、現在も首都圏・関西圏と東北地方を結ぶ長距離貨物列車か運行されているが、全線で複線化されていない。
以下の経緯を辿っていることがわかる。

太平洋戦争中は、日本海岸を縦貫する幹線ルートの一部として輸送力増強の要請から信号場が数多く追設され、戦後も部分的にではあるが複線化が行われている(当初は新発田 - 秋田を複線化する予定であったが、財務状況の悪化と輸送量の減少により中断された)。海岸線を走るという特徴のため、従来線(単線)に増設して複線にしただけでなく、内陸に複線の新線を建設し従来線を廃止するといった手段も取られた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%BD%E8%B6%8A%E6%9C%AC%E7%B7%9A

平野部を走行する区間では積極的に複線化し高速走行も行われている。
特急いなほ号も酒田から先は複線区間でも120キロ運転へとスピードが上がる。

最上川を渡ると、余目駅に到着する。同駅からは新庄へ向けて陸羽西線が延びているが、現在は並行する高規格道路の建設工事のため、全区間でバスによる代行輸送が行われている。
次の停車駅は鶴岡。
庄内地方の主要都市である。この駅で指定席はほぼ満席となった。鶴岡を出発すると庄内平野を滑走し、あつみ温泉駅の手前から再び、日本海側を走行していく。単線と伏線を繰り返しながら、新潟県最初の駅・府屋駅を出発すると、最高速度100キロ前後で羽越本線の絶景区間「笹川流れ」を眺めながら日本海とお別れする。

切り立った岩々をくり貫いて建設されたことがわかる

間島駅を通過すると、電源切り替え区間「デッドセクション」を通過し、電源が「交流」から「直流」へと切り替わったところで村上駅に停車する。
同駅から新潟近郊区間に入る。
村上駅から先は直線区間が多く、米どころ新潟を象徴する田園風景が続く。
坂町、中条、新発田とこまめな停車が続く。
新潟まであと20分少々のところまで来た。羽越本線は新津駅を拠点としており、新発田駅から白新線を走行する。

秋田駅で購入したお弁当を車内でいただく。
冷めても美味い、あきたこまちの新品種サキホコレ

最後の停車駅・豊栄を出発し、阿賀野川を渡り、新潟新幹線車両センターの大屋根が見えてくると、いよいよ終点の新潟である。
秋田駅から3時間35分、14:19高架ホーム5番線に定刻でほぼ到着した。

日本海と平野部の絶景を堪能できた列車旅であった。
都市間移動が新幹線や航空機に取って代わった今日において、在来線の長距離列車は数少ないものとなった。
特急いなほ号に乗車して感じたのは、あえて急がない旅を選択することも時には必要ということだ。

スピードアップした上越新幹線で東京へ

新潟駅で少々休憩し、上越新幹線に乗り継ぐ。
15:17発のとき328号で東京へ向かう。
この「とき」号は燕三条、長岡に停車した後、大宮までノンストップとなる停車駅の少ない列車である。東京まで1時間43分の旅である。

新潟駅ホーム電光掲示板

上越新幹線は昨年開業40周年を迎え、2023年春のダイヤ改正で最高速度が240キロから275キロへと35キロ高速化している。使用車両まE2系が同新幹線から運用を離脱し、E7系に統一された。今回のスピードアップでは、東京ー新潟間で最大7分、各駅間で見ても1~2分程度短縮が実現している。

長岡駅を出発すると、次の大宮までノンストップ運転である。
浦佐、越後湯沢駅を高速で通過し、大清水トンネルで新潟・群馬県境を通過する。上毛高原駅をも高速で通過する。35キロのスピードアップは想像以上に速いと感じた。

使用車両はE7系に統一された。

高崎駅が近づくと北陸新幹線と合流し同駅本線を通過する。高崎からは時間調整のためか減速走行となり、本庄早稲田駅、熊谷駅を通過する。熊谷駅を通過後、再び速度上げ、東北新幹線と合流し複々線をおよそ8キロ走行し、大宮に到着した。

長岡駅を出発して大宮駅まで56分で走行した。高速化以前は同駅間を1時間2分だったので、6分の短縮が図られている。高崎駅までは6分の時間短縮を感じられる走行であったことになる。35キロの高速化の恩恵といってよい。

大宮駅を出発すると、住宅地を走行するため最高速度は110キロから130キロに制約されるため、新幹線の効果は発揮できないが、19分で上野、終点東京には17:00に到着した。

秋田駅を出発してから6時間16分。
日本海側を経由する裏ルートでの移動もたまには悪くないと感じられるそんな長旅を堪能することができた。

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