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平凡な私は

「本当にふくださんって真面目だよね」
「なんというか……普通だよね、平凡?」

大人になってから、周りからかけられる言葉は決まってそんなものだった。
相手は褒め言葉として言ってくれていたのかもしれないけれど、私は不快に感じたので、たぶんコンプレックスだと思っているのだろう。
真面目であることは頭が固いだとか、融通が利かないとか。

「普通」だと言われるたびに、引っ叩かれているような気分になった。周りにいるライターや作家は個性的で魅力的に見える
それに引き替え私は……と落ち込むのだ。

小説家になりたいと思ったのは小学校1年生のころだったけれど、「別に賞とか興味はない」と思ったことはないし、「食べるものがなかったから紙を食べながら小説を書いた」なんていうこともない。
情緒が不安定になることはあるけれど、それはおそらくはホルモンの関係によるものだろうし、だいたいの嫌なことは寝たら忘れる、もしくは忘れた気になる。

ニッチな作家が好きというわけでもない。
アイドルが好きだと言えばメンクイかミーハーかと、薄ら笑いを向けられる。
何かに特別詳しいというわけでもない。
感受性が豊かというわけでもない。
心に闇があるというわけでもないし、そういうものを抱えている人のことを失礼ながらうらやましいと思ったことさえある。
結婚していることも私がなりたいものには不必要じゃないのか。
ポエミーな文章は書いてみたいとも思わない、書いているときの自分の顔が気持ち悪そう。
誰かと文学論を戦わせるのもキライ。

子どものころに夢見た「小説家」「作家」という職業に私は向いていないのだろう。

全ては私の被害妄想でマイナスな思考が見せている後ろ向きな景色。

それでも、書くことは好きだから、延々とキーボードを打ち続けられる。
そして欲がある。誰かに読んでほしい。できるだけたくさんの人に読んでほしい。
「満足ができるものが書けたらそれでいい」と思えるほど、私は純粋でもストイックな人間ではない。

どうすれば、書き続けることができるのか。
どうすれば、たくさんの人に読んでもらうことができるのか。
平凡で真面目な人間が書くものを人は読みたいと思うのだろうか。

その答えは何年経っても分からないけれど、少なくとも『真面目』も『平凡』も『普通』も武器にできるようになればいい。

平凡な私は今日もまたパソコンに向かう。




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