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優先順位を守る

クタクタになって帰ってきて、ゆっくりと湯船につかる。冷えた体がじんわりと温まると、一日の疲れがほどけていく感覚になります。お腹はペコペコ、喉はカラカラ。風呂上がりのビールほど美味いものはありませんが、空きっ腹だとアルコールの吸収が早く、胃の粘膜を痛めてしまうこともあります。「まず水分補給して、何か食べてから…」と頭ではわかっていますが、ついついビールを飲んでしまいます。

二杯目のビールを片手に食卓につくと目の前には熱々の唐揚げ。先に野菜を食べれば「糖質の吸収を抑えられる」「血糖値の上昇が緩やかになる」というも頭ではわかっていますが、やっぱり唐揚げから食べたくなります。たまにはそんな時があってもいいと思いますが、それが習慣化してしまうと生活習慣病を患う一因にもなりかねません。

こんな具合に、人生には色んな優先順位があって、その順番が私たちの思いとは裏腹であることが少なくありません。もちろん、優先順位を守れば物事はスムーズに、快適に進んでいきます。反対に、順番があべこべになると、その分だけスムーズさ、快適さに欠けてしまいます。

ただ、私たちの心情としては「自分の順番でいきたい」という願望があり、その方がスムーズで快適だと思うもの。ところが、そこには思いがけない代償が伴うことがあり、それが大きな後悔を招くことすらあるのです。おそらく病気になるのも、その一つでしょう。その時になって優先順位を守ること、正しい生活習慣を身につけることの大切さを思い知らされるものです。

これは人生の不具合でも同じことがいえます。仕事や勉強のこと、お金や人間関係のことなど、生きていれば悩みの種は尽きません。ただ、それらにも原因があるもので、その一つとして挙げられるのが生活習慣です。仏さまは、そのことをご指摘くださっていて、人生の優先順位を守り、正しい生活習慣を身につける大切さを教えてくださいます。つまり、人生の不具合は解決することも、未然に防ぐことも可能なのです。

では、人生の優先順位とはどういったものでしょうか。

日蓮聖人は生きていく上で必要な財産として①金銭的な財産、②身体的な財産、③心的な財産の三つを挙げておられます。どれも欠かすことのできない財産ですが、そこには優先順位があると教えてくださっています。

まず、①金銭的な財産と②身体的な財産とを比べた時には、優先すべきは②身体的な財産です。たとえば、健康な体があればこそ仕事に就くことができ、収入を得ることができます。また、おいしいものを食べたり、楽しい旅行に出かけたりできるのも健康な体があればこそ。身につけた学力や技術、積み重ねた経験は「体が覚える」というように貴重な財産であり、より多くの金銭的な財産を生み出す元になります。

では、②身体的な財産と③心の財産とを比べた時はどうでしょうか。日蓮聖人は③心の財産が一番大切であり、最優先すべきであると教えてくださいます。なぜなら、①金銭的な財産と②身体的な財産をどのように使うのかを決めるのは心だからです。もし、心の財産が豊かであれば、人を笑顔にする使い方ができるでしょう。しかし、心が貧しいと人を悲しませたり、傷つけたりする使い方をしてしまいます。

世界中の財産を、もっと有意義に使うことができれば、もっと笑顔になれる人が増えると思いませんか?その可能性を仏教は説いています。人生の優先順位を守り、正しい生活習慣を身につけた人が増えれば増えるほど、その人の人生が豊かになるだけでなく、周りの人もまた豊かになっていきます。愛しいものを「愛しい」と感じられる心、誰かの悲しみを「悲しい」と感じられる心、そういった心の財産をもっと大切に、優先的に築いていきましょう。

本門佛立宗のお寺では、そういった教えを学び、みんなと一緒に実践しています。もし、何かで困ったり、悩んだりしているのであれば是非、お寺に足を運んでください。そこでは誰もが修行中です。私もまだ空きっ腹にビールがやめられませんが(笑)みんなが笑顔になれるように、心の財産をコツコツ積み立てているところです。優先順位が整えば、自然と人生も整います。心の財産のことなら、お寺に任せてください。

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