三通目 #宛先のない手紙
やあ、久しぶり。ちょっと前にいきなり連絡来たからなにかと思ったけど、そうやってたまに気にかけて連絡くれるのはとても嬉しいよ。
この前会ったのは君の結婚式だから、もう1年以上前になるかな。新婚生活はどう?お似合いの二人だったから幸せに暮らしているとは思うけど。そろそろ奥さんの尻に敷かれてそうだね。
思いっきり話変わるけど、最近僕たちが本気で組織を変えようとしていたときのことを思い出すことがありました。今はわりと自分の好きなように生きているけど、大きな制約の中でもがいた経験は大きな糧になっています。
自分たちのあるべき姿を追求し、毎晩遅くまで語り合ったり、上層部に意見したり、必死になって戦っていたことがほんとに懐かしいです。そして自分たちの手で少しは良くできたこと、それは間違いなく今の自分の自信になっています。君の下で働けて、あのメンバーで共に戦うことができて、とても光栄でした。苦しいことのほうが多かったけど、それ以上に得るものが大きく、最高の時間になりました。
僕はもう違う道に進んでしまったけれど、君の将来にはとても期待しています。君はいずれ組織を背負って立つことになる人間になるでしょう。それまでには長く険しい道があると思います。そういうときにはあの頃の僕らを思い出してください。きっとあの頃のように仲間が周りにいるはずです。
そして、あの頃僕らが語った理想を実現してください。君なら、いや君たちならできると信じています。僕にはもう何もできないけれど、ずっと陰ながら応援しています。
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