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六通目 #宛先のない手紙

君と初めて出会ってもうすぐ3年になるね。それなりに関わるようになってからは2年半くらいかな。初めて会ったときの君はマスクをしていて、顔の下半分はわからなかったけど、瞳がとても綺麗で引き込まれそうになったのを覚えています。

僕が東京に来てからは頻繁に会う機会ができて、仲良くなるのにそんなに時間はかからなかったね。みんなで夜遅くまで作業したり、合宿と称してプチ旅行に行ったり、たくさんの思い出ができました。

そのとき一緒に活動していた仲間で、今でもこうして繋がっているのは君だけです。今では年に数回しか会わなくなったけど、会うたび久しぶりな感じはあまりしなくて、二人で過ごす時間がいつも自然で心地良いです。

正直告白すると君のことが好きだったのだと思います。初めて会ったあのときから少しずつ惹かれていくのを感じていました。でも君には彼氏がいて、僕にもほどなく彼女ができて、あいまいな思いを抱えたまま時が経ちました。

お互い自分の恋愛相談をして、二人だけの秘密もできましたね。お互いが闇の中で手を取り支えあっていくうちに、不思議な連帯感が生まれたように思います。

当時の僕にはまだまだ世界が狭くて君しかいなかったけど、今はこんなにもたくさんの素敵な仲間たちと幸せに生きています。君がまだ闇の中にいるのならこの手で救い出したい。なんて言うのはおこがましいけれど、君が幸せに生きていけるのを心から願っているよ。

君のことは今でも好きだけど、それはもう恋とは全然違うんだろうな。お互いに良い部分も悪い部分も知りすぎてしまったからかな。お互いなくてはならない存在だけど、今みたいにたまに連絡とって会うくらいの距離感が一番いいんだろうね。これからもゆるゆるとこうした関係を続けていけたらいいなと思います。




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