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門前払い

ずっと公開している”原書本公開”シリーズですが、この記事は10年前を振り返り、約3年前に執筆した記事です。

まるで2020年をゴールみたいな書き方をしていますが、”今”になって思うことは、私の使命を帯びた活動はまだまだこれからがスタートだな、ということです。

引き続き、ありのままを綴り、等身大で伝えていきます。 

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 就職活動をしてみて分かったことですが、障害者雇用を謳っているにも関わらず、車椅子ユーザーはエントリーの段階で門前払いをされてしまうことも少なくないのです。
「ウチはバリアフリーじゃないから」「入口は段差だけどエレベーターがないから」といった理由で、エントリー前の段階から門前払いされてしまうケースが少なくありません。こうした状況に直面する度、私は障害者雇用とは何だろうと思ってしまいます。
 

 当時、ある企業の担当者から「私たちは軽度の知的障害者や精神障害者(動ける人)だけを採っています」と直接言われたこともあります。これだけあからさまに言われてしまうと、当事者としてはもう苦笑いするしかないですよね。やはり私に就職の選択肢は少ないと実感した瞬間でした。
 こうした制限を受けるのは、仕事の面だけではありません。私は就職活動と並行して、大学卒業後の1人暮らしに向けたアパート探しも行っていたのですが、アパート探し1つとっても、車椅子ユーザーであることを理由に賃貸契約どころか、不動産屋への入店自体を断られたこともあります。「アパートを紹介しても火災の時に自ら逃げられるのか」「ゴミ屋敷にされてしまうのではないか」といった懸念を理由に断られるのです。
 その結果、不動産屋を巡り始めてから契約までに半年から1年を要するなんてことも車椅子ユーザーにとっては珍しくはありません。私も最後は実家沿線の不動産屋を1件ずつ巡り、ようやく、電動車椅子を玄関に置いても住むことができるアパートを見つけることができました。
 近年では『障害者虐待防止法』(2011年)や『障害者差別解消法』(2016年)といった、直接的な介護者派遣だけではない私たちの権利を守るような法律も整ってきています。前者は身体的・性的・心理的・経済的虐待ならびにネグレクト(放棄・放置)の禁止と、発見者の通報の義務が、後者は不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供について書かれています。

 2020年には東京に再びオリンピック・パラリンピックもやってきます。門前払いなどない共生社会の実現に向けて、私も微力ながら尽力していきたいと思います。

いただいたサポートは全国の学校を巡る旅費や交通費、『Try chance!』として行っている参加型講演会イベント【Ryo室空間】に出演してくれたゲストさんへの謝礼として大切に使わせていただきます。