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◇本の感想◇

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記事一覧

読書感想文的な36 『自転しながら公転する』山本 文緒

本の感想を書くの、半年ぶりだった。 読んでないわけじゃないけど、思ったことをつらつらと書くという行為をしてなかった。 振り返ったら約50冊をさらっと読み流している。 全然問題ないんだけど、さっぱり思い出せない本が多いから、やっぱり何かしら書いておくべきかなぁ。 久しぶりに書いておこうと思った本はこれ。 「結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか」 本屋さんでこのコピーを目にした人は多いんじゃないかと思う。 本屋大賞のノミネート作品が発表されたら10冊まとめてさくっ

読書感想文的な35 『認知症世界の歩き方』筧 裕介

おばあちゃんが昔より小さくなった。 わたしが大人になったからそう感じるのかと思ってたけど、どうやらそうじゃない。 多少背は縮んだかもしれないけど。 なんだか背中が小さく見える。 おばあちゃんが保護してくれる頼れる存在ではなくなったのは、いつからだろう。 おばあちゃん、おじいちゃんと1番頻繁に会っていたのは小学生くらいだと思う。 まだ60代だったおじいちゃんとおばあちゃん。 おじいちゃんは早くに亡くなったから、よく会っていたころの元気なままのイメージだ。耳が少し遠かったけど、

読書感想文的な34 『三千円の使いかた』原田 ひ香

久しぶりに本の話。 最近話題のこの本、読んでみた。 うおおおおお!!お金の使い方!!! ちょー大切!!!上手になりたい!!!! と、思った。 日本語が下手すぎる。 御厨家にいろいろな出来事が巻き起こったり、巻き起こらなかったりするけど、わたしは最初のほうのティーポットの話題がお金の使い方について考える1番のきっかけになった。 御厨家の女性たちは、すぐに会える距離だけど、みんな別々に住んでいる。 なので、それぞれの家のティーポットがある。 あの、ちょっと、感銘を受けたくせ

読書感想文的な33 『生欲』朝井 リョウ

本屋大賞ノミネート着々と読んでる。 多様性まじむずいっていう本だった。(語彙) わたしは自分という人間は本当に普通で、平凡で、多くの場合でマジョリティ側にいると思ってた。思ってたっていうか、正直今も思ってる。 みんな一緒がいいとは思わない。 いろんな考え方の人がいると思う。いていいと思う。 で、いていいってなに? 誰に対してのなんの許可?そんな許可を出す権利なんて、誰ももってない。 序盤は、マイノリティの生きづらさそんな出されてもなぁと思った。 マイノリティだからとかじ

読書感想文的な32『星を掬う』町田 そのこ

本屋大賞ノミネート作品が発表されてから、よし!全部読むぞ~と意気込んでたけど、2022年のノミネート作品、まだ3冊目だった。 うきうきしながら発表を待っていた冬から、季節がすっかり変わってしまった。 読んでよかったけど、序盤から中盤はちょっとつらくなるくらい、不幸てんこ盛りだった。 わたしは家族がうまくいってないような物語を読むのが多分苦手だ。 とくに母子関係がうまくいってない話。共感できないからだと思う。 大好きを通り越して恨みになっちゃうの、きっと人間の心理としてある

読書感想文的な31 『家族じまい』桜木 紫乃

『家族じまい』 桜木 紫乃  桜木紫乃がおもしろくなってきたので、いよいよわたしも大人だわ、と思うなどした。 家族の始まりっていつだろう。 これは、たぶん生まれたときだと思う。 お父さんとお母さんとわたしっていう構成が、わたしにとっての家族の始まりだった。そしてそこに弟が加わった。弟の家族の始まりは、お父さんとお母さんとわたしだ。 結婚したから、夫も家族になった。 でもそれは、お父さんとお母さんとはちがう気がする。 家族という関係を維持するのに、多少なりともパワーがいる

読書感想文的な30『さよならも言えないうちに』川口 俊和

さよならも言えないうちに 川口 俊和 「最後」があるとわかっていたのに、なぜそれが「あの日」だと思えなかったんだろう——。 家族に、愛犬に、恋人に会うために過去に戻れる不思議な喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の男女の物語。 過去に全く悔いがない人っていないと思う。 たとえ過去に戻って、結局は今と同じになるような選択をするとしても、 今という現状?結果?に不満がなくても、後悔はきっとどこかにある。 「やっとけばよかった」と「やらんかったらよかった」っていう後悔を繰り返し

読書感想文的な28『チルドレン』伊坂 幸太郎

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった5つの物語が、1つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。 旅のお供に購入した文庫本。 読むのは2回目。 初めて読んだのは5年くらい前で、読書アプリのメモには「陣内最高」とだけ書かれていた。 今回読んだ後も「陣内最高」って思った。 つまり陣内が最高な話。

読書感想文的な26『硝子の塔の殺人』知念 実希人

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。著者初の本格ミステリ長編、大

読書感想文的な24『長い長い殺人』宮部みゆき

久しぶりの感想文。 轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが…。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布―。“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が。 紹介の通り、財布が語る物語。 わたしこういうの好き。同じく宮部みゆきの「パーフェクトブルー」も犬目線で語られる

読書感想文的な23

いろいろまとめて。 1.全部ゆるせたらいいのに 一木けいその頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら信じ合って生きていくことが出来るのだろう――。痛みを直視して人間を描き、強く心に突き刺さる圧倒的引力の傑作! なにをだったか忘れたけど、「全部ゆるせたらいいのに」と思って手に取った本。 ゆるすと諦めるってどうちが

読書感想文的な22 『犬がいた季節』伊吹 有喜

1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く青春小説の傑作。 昭和、平成、令和と時代が移り変わっても、高校生でいられる3年間ってとっても大切な時間。 わたしが進路に1番悩んだのは高校生のころだった。 中学から高校は、自

読書感想文的な21『八月の銀の雪』伊与原 新

不愛想で手際が悪い―。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた驚きの真の姿。(『八月の銀の雪』)。子育てに自信をもてないシングルマザーが、博物館勤めの女性に聞いた深海の話。深い海の底で泳ぐ鯨に想いを馳せて…。(『海へ還る日』)。原発の下請け会社を辞め、心赴くまま一人旅をしていた辰朗は、茨城の海岸で凧揚げをする初老の男に出会う。男の父親が太平洋戦争で果たした役目とは。(『十万年の西風』)。科学の揺るぎない真実が、人知れず傷ついた心に希望の灯りをとも

読書感想文的な20 『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。 どうやら今日発表らしいね??? 全部制覇できなかった~~ まぁいっか。 キナコこと貴瑚が引っ越してきたのは我が地元、大分県だ