「独白」 / 短編小説・後編
夕餉の支度を済ませた後、冷えを感じた庄一は追焚きした三日前に張った湯の中に身体を沈めていた。
瞑目して静かに息を吐く。湯はとうに丸くなり、その中でじっとしていると、海の中というよりは日々から遠く離れた宇宙空間の中に胎児が膝を抱えるような姿で、一人静かに浮かんでいるような感じがした。
例えばこれが海の中だとすると、陽光の届かない深海だろうと庄一は思う。少しでも自分が身動きすれば、得体の知れない堆積物が白く舞い上がるような音の無い世界。視界の端で、ゆらりと大きな深海の生物が