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2020.4.25 初夏田園に逝く

でんえんに響くプルタブの音、おと

つちをいじる 粗さ 愛で方も知らず

風にまじっている黒ラベル

すりーふぁいぶ フィフティー

同じくらいの背丈を道に並べる

水死体の午後 悠然と

「これだけだよ 飲んでいいのは」

先生はよく笑う

日がかたむく前に見ておくのだ

ホワイトスリーブから

かおるものを

(水死体だけにかおるものを)

からっとした目の前の水田

ぼくたちがうかぶすいでんだよ

かわいたすいでんに バケツをさかさに

散る水 散る水 夜化粧

自らにしみる水を聴く夜

しみてから隔てて泣きながら笑う

きみはそれはそれは笑う なきながら

―どうしてここにしたの

―ここしかなかったんだよ

すっかり小麦粉大の粒子になって

そこここに振りまかれている

水死体の午後。

午後を集めて夜として、

夜を集めて頬とする。

すっかり すっかりと隔てて

集めた頬を蜜漬けに まだらの頬

忘れられた麦の汁は ピッチャーに

これが小麦粉大の粒子だとしらずに

(何しろそれは―液体だった!)

排泄するだけの友たちに

あわせる顔が僕にない

うすベージュのざらついたぼうし

ショートカット

黄緑色の明るいカーディガン

初夏田園に逝く

桃の皮一枚はいだ夏

きみとかいたあぶらえ そうこのかげ にじみ

まじり 混じらない 桃の皮…

黒ラベルを裏返してはてのひらに。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。