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「そこに雪などあったのか」みたいな雪どけの話。~千葉麻里絵と黒かどや~

世の中には大変不思議なことがたくさんあって、時にそれは人智を越えているのではないかという印象をわれわれに与える。今日はそんなお話です。

去年の4月にわたしはこんなノートを書きました。覚えている方もいるでしょう。

日本酒のボトル、瓶に関するものですね。具体的な内容はまあいいとして、これがまあまあツイッターの日本酒界隈を騒がせました。といってもわたしは見聞きした情報を並べたにすぎず、ことの始まりは別のところにありました。

当事者は度々取り上げているこの方です。

写真の真ん中にいる方ですね。現代日本酒業界で活躍されている千葉麻里絵さんです。この方と数名の日本酒酒蔵の蔵元さんたちが問題を提起しました。で、なかなかインパクトの大きい話なので、賛否両論がたちまち巻き起こりました。それも一度ではなく、二度三度。巻き起こる度プチ炎上のような形になったそうです。昨年4月のやつはもう過去最大だったと思います。

で。

そのとき千葉さんや蔵元たちに対して厳しいご指摘をしたのがこちらの方です。

東京の向島というところで酒場をやっている黒かどやさんです。飲食をしている方でツイッターをしているのであればほぼ100%知っているのではないでしょうか。日々それくらいの存在感を放っています。時に厳しい言葉を交えて批判、否定、叱咤激励をする方です。

で、この問題が巻き起こってるときのツイッターですが、今だからはっきりいいますけれども、かなりひどかった笑(この「笑」のすごさを感じていただけると幸いです。)

今となっては全く建設的ではなかったもう子どもの喧嘩レベルのいさかいもありました。わたしもまあこの件で何人ブロックしたことか。もちろん中には建設的になりうるような話し合いもありましたが、ごくごく少数だったといっても過言ではないでしょう。一言でいうと罵り合いに近かった。

いや罵り合い、でした。

しばらくそこらじゅうでボヤが起きてなんかもう消火活動にも疲れ果てた感じでした。千葉さんも結構参ってました。(ここ重要)

しかし驚天動地の出来事が先日起こったのであった!

ことが発覚したのはこちら。

こちらの「渋谷のラジオ」という番組の中で千葉麻里絵さんが高橋さんという方とトークをしているのですが、そこで衝撃の展開が語られました。

「店にちょっと行ってきまして…向島の…かどやってお店ですね。」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そのときのわたしの衝撃と言ったらこんな感じでした。

いや、あのあたりのツイッターを見ていた人ならみんな驚いたんじゃないかなあ…。

詳細はラジオで確認してほしいのですが、事の顛末をまとめるとこんな感じです。

・知人が行きたいというので行ってきた
(・今までは嫌いだったから発言も見てなかったけど最近改めてかどやさんのツイートをちゃんと見てみたらいいことも言ってるなあと思っていた)
・行ったら料理も酒もすごく美味しくて発見もあり、お値段もリーズナブルだった
・粋なサービスがあった
・店主(黒かどや)さんとも話した
・店主はすごく丁寧で腰が低かった(「いつも胸を借りています。ありがとうございます。」というふうな発言があった。)
・かどやさんは瓶の件では主義主張のバランスを取るために敢えて過激に振る舞ったそうな

はい。はい。はい。うん。

ついて行けないって…笑(再度ですが、この「笑」のすごい脱力感を感じていただけると嬉しいです)

というのもですね、わたしは半年くらい前、騒動後に麻里絵さんと話していて「ちょっとかどやがどんな感じか見てきましょうか?」と言ったのですがそのときは光の速さ&隕石が降ってくるような強さで「そういうの絶対しなくていいから。行かなくていい。(暗殺者のような目で)」と返されたんですよね。うん、だから驚きがひとしおなんですよ。まったくね…。いやすごいんですけどね…。

なんでしょうね。あまりに急展開でかつ唐突で人智を越えている部分もあるかとは思うのですが、この流れについての感想を述べておきます。

まずラジオで一緒にトークをしていた高橋さんも述べていたのですが、嫌いな相手から「嫌い」を外して美点を見れるのはすごいですね。年年歳歳嫌いなやつは嫌いで終わってしまいますから。特にあんな感じで揉めたときは特にね。修復どころかもっかい振り返るのも嫌だしまあそんな相手のことは忘れたくなりますね。

かどやさんにしてもそうです。どうやらツイッター上では必要以上に厳しい態度をとっているらしいですね。先程の「議論のバランスを取るために敢えてふるまう~」という態度にも表れてますが、プロレス的というか。自分の経験と知識に照らして許せないものに関しては厳しい。自分が守りたいものは多少無茶苦茶に見えても全力で守る。以前グルメライター(?)の方が常連客の扱いに関するコメントでプチ炎上していたときも擁護してらっしゃった気がします。あとは同業者の方々の多くが憂き目にあっている問題に関してピシャリと正論をぶちかますことも多々。というか日々そんな感じでしょうか。わたし自身も春先に揉めていなければまた見方が違ったかもしれません。

というかですね、やっぱり人は多面的だ。そしてそれをよく感じるためには美点に目を凝らす必要があるのではないかなあ。美点凝視ってやつでしょうか。いつか会社の勉強会で学んだ気がします。嫌いなとこみるのって簡単なのですよね、悲しいくらいに。バチバチやった相手にも五分の魂とバチバチの理由がある。そこで感情に任せてバチバチが終わった後にもセルフバチバチしつづけてないで目を凝らすと、こんなこともあるんですね。稀有なことです。はじめから雪なんてなかったかのような雪どけです。こんな感じで平和の光が差すこともある。一芸に秀でた人は多いけれどその一芸を極めつつ活かし続けられる人は稀だ。そこで活かせるか活かせないかの分岐点って実はこういうところなのではないかなあ。自分の感情より大事なものが時に見えるというか。冷静さというか…。

まあこんなことを言っててもね、またなんかあったら言い合って炎上するんですよこのひとたち。たぶんね。春先に夏酒が出始めたらまた瓶の色は話題になるんじゃないカナ!まあそれはそれでいいんじゃないですか。強く燃え上がれば、それはそれで雪はとけますから。はい。はい。はい。で、そういうときにしか、その人達にしか見えないものもある、と。いやあまったく困った方々です。なんか素敵ですけど。プロフェッショナル炎上の流儀。なんのプロなのか。そういえば今日は千葉麻里絵氏の誕生日だそうですよ。おめでとうございます。カンパイ。


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