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傍観するひと光と星と

赤子に触れて柔らかさを知った
こんな日だから地平線が遠くに見える
初めてワルツを踊る日にだって
きっと地平線が遠くに見える

ゆっくりと
夜が勝ちつつある国道で
弱いはずの
日差しに病める

見据えるものがあり
手もとのものがあり
とてもどうでも良いのだけれど
地平線は遠くに見える

誰もいない改札前で
切符を切るのが後ろめたくて
運行状況の掲示板を見た後
ホットレモンでふっ と息をつく

「私は取り残されてしまったの」
あなたの表情は
人生最後の日にストロングゼロを
飲むひとに似ている

逡巡する日々に
ふさわしい歌を
目が回っても
ころばない歌を

五線譜に載らない
メロディーラインに合わせ
舞う私と あなたは
誰の目にも止まらなくて失笑

そしてとても素敵だった
淡く切り取った
スノードームで
何万回目かのさようなら

いつだって勝手に過ぎてゆく
ものばかりだ
その手の思いは
ため息によく溶けるので安心だ

今日は地平線が遠くに見える
きっと心配せずに歩いてゆける
到達せずに 歩いてゆけるだろう
新人類に期待している

満月が轟く火星で
Spotifyを起動しながら
くしゃみをして
得意気の鼻歌

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。