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「旅」はいつから「商品」になってしまったのか。

旅は本来、その瞬間、その人にしか味わえない「時間の紡ぎ合わせ」だったはずではないのか。いろんな形の、いろんな色をしたお皿を携え、そこに旅人ならではの素材を盛り込んでいく。旅の終わりに、どんな料理ができたのか、旅から戻った時にじっくりと嗜む。

「旅」は本来「作品」であるはずだと思う。

旅という「作品」づくりは、僕にとって生きがい。今何してるの?と聞かれると、これが今、いっちばん楽しくて、仕方ない。

僕なりの、何にも偉そうに自慢するでもない、小さな作品。観光ではない、出張でもない、ワーケーションでも、リトリートとも呼んで欲しくない、そんな「作品」をご一緒いただける方々を、旅の参加者として、お声がけをさせてもらっています。

今回は「五島」。1週間。誰が来るかもわからずに、とりあえず7部屋*7泊、思考をめぐりめぐらすための宿「#めぐりめぐらす」をまるっと一棟がし。一旦全部自腹。「誰かよかったらご一緒に」とSNSで投げてみた。僕がやりたいこと、みんながやりたいこと、みんなに僕がやってほしいこと。地域の方々の思い。1週間の中で、どう盛り込むか。雨の日はどうするか。送迎はどうするか。精算はどうするか。ぜーんぶ僕がやってみる。それがもう楽しくて仕方ない。

お皿という表現をさっきしたけれど、この瞬間は、楽譜のないオーケストラを指揮するような、全ての楽器が共鳴し合う曲づくり。でも側から見ると大変そうに見えるらしい。まだ1回しか会ったことのないような参加者から「亮ちゃんの仕事減らしてこ〜」他の参加者から「そうしよ〜!」という助け船が生まれた。知らず知らずのうちに、お願いする前から「私、運転しますよ〜」「送迎行ってきますよ〜」次々と生まれる、最高のお節介。


初めまして同士の皆さんが、一緒に作っていく最高の「時間」オーケストラ。 何なら僕が不協和音を鳴らしてしまうこともあって迷惑をかけたりする。最後に「ありがとうね〜!」と全員と笑顔でお別れができる「奇跡」の瞬間。もしかしたらあの山道で脱輪していたかもしれない。もしかしたら、飛び込んだ海にサメがいたかもしれない。素足で歩く山道に蛇がいたら…岩場で大怪我をしたら…。何なら参加者同士が大げんかの殴り合いになったかもしれない。嗚呼、旅先には危険がいっぱいいっぱいあって。本当に一寸先は闇だったりするギリギリの未来。

今回も、参加者全員と笑顔で「また会いましょう」とお別れできた奇跡の瞬間が、最高のdessertだったりします。「#五島列島」という場所をルーツと呼べる人生をもった者として(正確には上五島)、ぜひまた、お迎えできたらなと思っています。思考をめぐり、めぐらす時間をご一緒に。


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