あいから 7章 〜大好きな彼女が多重人格だった〜

りょうは彼女を守るためにこの体に入った。

統合により危険な人格がいなくなり出産、母親との確執の解消、沖縄移住を経て精神的な負担もない。

「俺の役目って終わっているんだよなぁ」

「お前、最近ボヤキが多いな」

「あぁ~体欲しいなぁ~格闘技やりてぇ〜女の子口説きたい〜」

「やればいいじゃん」

くだらない会話が続く

「この体だと動きが鈍くて嫌なんだよ。それにそもそも女の体だぞ」

「わがままいうなよ」

「それにお腹にかわいい子がいてさ…どうにもこうにもできないじゃないか!亮介!俺に体を貸せ!」

「いやだよ。仮に貸せてもお前だけには貸さない。トラブったら俺のせいになるんだぞ」

「なんてケチな兄貴だ」

「そういやさ、テレビで『性同一性障害』の特集見たけど、りょうの場合は魂が男で体が女だから該当するな」

「まぁそうだな。今だからいえるけど、東京いた時に通っていた病院の先生に『性同一性障害』って前提でインタビューされたしな」

「それは初耳だな。お前の悩みは格闘技やるのに体のキレが悪いのと、女の子といちゃいちゃできないことだけか。深刻さゼロだな」

「うるせぇよ。それにすごい悩んでいるよ…確かにテレビに特集されるほど深刻じゃないけどな。あ、ゆきがくるって」

「もしかすると、おやぶんはこのからだからでていくかもしれないな」

「えっ?」

「やくわりがおわっているのもあるけど、まえはなかったおやぶんの『よく』がでてきている」

ここから先は

7,960字
この記事のみ ¥ 190

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?