あいから 1章 〜大好きな彼女が多重人格だった〜

2017年。家族を沖縄に残し、東京でフリーランスのITエンジニアをしていた。

沖縄で生活したかったが、子供達の将来を考え東京へ出稼ぎにきていた。

家族離れ離れの生活だったが、子供達が住み慣れた沖縄を離れて一緒に東京で暮らすことになった。

新生活が始まり、口では「平気だよ」というが、案の定、長女と次女ともに新しい環境に馴染めない。

ある日、小学校六年生の長女が「打ち込んでいることに専念したいから都外の寮つきのクラブに入りたい」と切り出す。

「せっかく一緒に暮らせるようになったのに」と思ったが、長女の強い意志を尊重した。

自分自身も小学校高学年の頃、漠然と「家を出て挑戦をしたい」と思っていたので、きっと血が同じなのだろうと受け入れた。

小学校四年生の次女は転校直後にいじめを受けていた。毎日のように「学校に行きたくない」という。

担任の先生や、副校長先生、スクールカウンセラーに相談をしていた。

何か好きなことが見つかれば気が紛れると思い、小さい頃から「パティシエになりたい」といっていたので調理器材や材料を揃えた。

お気に入りのレシピ本を見つけてからは上達が早かった。

娘達には小さい時から苦労をかけてしまった。その影響があると思うと心苦しい。

長女は三歳の時、次女は赤ちゃんの時から寂しい思いをさせている。

事実を知れば余計に苦しむかもしれないが、真実や事実は何があっても変わらない。

これまであったことを話そうと思った。


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