「DEATH NOTE」を読んで

ネタバレ含みます。



シリアスなストーリー展開と、リアルな絵、中学生ぐらいの頃にハマった漫画だ。一回通して読んだだけでは理解しきれないような深さがある。

名前を書いた人間を殺すことができるノートを主人公の青年が手にするのだが、この話の面白いところは、この青年は私利私欲のためではなく、世の中を良くするために、このノートを使っていこうとするところだ。

最初に読んだ頃は、正直この主人公を応援する気持ちがあったのだが、最近この主人公に対抗する探偵のLが、「この犯人はピュアなハートの持ち主ではない」、と言っていたシーンを思い返す。

私利私欲の定義の話だ。この主人公も、自分が思う価値観の通りに(それも多分結構狭い視野で)、人を殺していく。そんなことをする資格のある人間が、この世にいるのだろうか、、。もはや哲学。この辺の話はこれ以上考えても答えは出ない気がしてきた。

負けず嫌いな主人公と、探偵Lとの頭脳戦が繰り広げられる。その中で、ミサという親を殺された殺人犯を、主人公に粛清してもらった女の子も登場する。主人公を盲信するその関係は、教祖と信者のようでもある。

印象に残っているのは、主人公の目が最初の頃に比べて、粛清を続けていくうちに段々と厳しくなっていくところだ。読んでた頃は、悪くなっていたんだなぁと単純に考えていたが、強くなろうとした人間が辿る道なのかもしれないと思う。

そしてこの物語は、スケールが大きい。国のトップや世界のトップが前線に立って物事を動かしていくので、ワクワク感がある。探偵が調査のためのビルを建てるところなど、ロマンを感じる。

ノートを手にした人間は、最後死神に名前を書かれて死ぬことになる。これにも何か意味があるような気がするのだが、今の僕にはまだよくわからない。

結局、主人公が最後に探偵組に負けることになる。主人公の最後は、負けを認められず慕ってくれていた仲間に打ち殺されるという残念な最後を迎えた。人の本性は死に様に出る、という話もあるが、作者は主人公がどこかで道を誤ってしまったということを表現したかったのだろうか。

物語の最後のシーンで、ミサを先頭にした主人公の信者達が、キラの復活を祈って?歩いているシーンが印象的だった。本当の正義とは何か、と考えさせられる。主人公の弱者を援助しようとする姿勢は本物だったように思うし、そのビジョンはキラが死んだ後も残されていくのかもしれない。

主人公のライバルの探偵Lが、「正義は必ず勝つ」ということを、仲間の刑事たちに言う場面があった。とすると、最後に負けたキラは正義ではなかったということだろうか。

「強い奴が勝つんじゃない、勝った奴が強いんだ」と言う言葉もある。どうすればキラは勝てたのだろうか。僕は、キラはもっと他人を信頼して一緒に物事を為す必要があったように思う。真面目で賢い人間だったが、独善的で視野が狭い部分があったと思う。




感想いただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?