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用心棒

映画「用心棒」
1961年の日本映画です。

監督は世界のクロサワ
黒澤明ですね。

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三船敏郎演じる浪人がいるんですね。とある宿場町に立ち寄ります。

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その宿場町では敵対するふたつの勢力抗争が続いているんですね。

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そんな状況を三船敏郎がかえるんです。


宿場町の居酒屋で、店主から町の緊迫した状況を訊くんですね。三船敏郎言うんです。「代金のかわりに俺がこの町を平穏な町に戻してやる」と言うんですね。

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脚本を黒澤明自身と

菊島 隆蔵が手がけてます。

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多くの黒澤明作品の脚本を手がけていますね。



冒頭の三船敏郎が初めて画面に姿を現すカットがいいですね。画面いっぱいに、のそっと大きな男の背中。そこに打楽器の音がはいるんですね。ふりむくと、ご存知三船敏郎ですね。

まるでゴジラですね。

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待ってましたと声をかけたくなるシーンです。


次のシーンはこの映画の重要なシーンです。三船敏郎演じる浪人がある宿場町に立ち寄るシーンです。

黒澤明監督は、この宿場町が抗争が続く荒れ果てた、誰も近寄らない、危険な場所だということを観客に伝えたい。

しかも台詞ではなく映像だけでそれを伝えたい。

黒澤明、菊島 隆蔵のふたりは考えました。日本を世界を代表する映画人が考えに考えぬきました。


出来上がったシーンは、


三船敏郎演じる浪人が宿場町にはいってきます。すると道の角から一匹の真っ黒な犬が人間の片腕をくわえて横切るんですね。そこに和楽器の音色がはいるんですね。

素晴らしいシーンです。

真っ黒な犬というのが、悪魔、地獄の使者をイメージさせます。片腕をくわえてることで、ここは危険な場所だ、決して平穏な場所ではないとわかります。

ましてや片腕を拾うくらい、犬は食べるものがなく腹を空かせていることがわかります。

そして、挿入される和楽器が一層不気味さを演出してます。

数秒のカットで、監督の伝えたいことをすべて的確に伝えていますよね。最もシンプルな演出で最大の効果をだしてます。



この映画公開の3年後の1964年に、イタリアン・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネが、黒澤明監督のこの「用心棒」のリメイク作品を撮りました。

題名は「荒野の用心棒」です。主演のクリント・イーストウッドを一躍スターにしました。

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レオーネ監督も考えました。イーストウッドが訪れる町をどうやって危険な場所だと観客に伝えるか考えました。

黒澤明と菊島 隆蔵は片腕をくわえる犬を演出しました。イタリアのレオーネ監督はどうしたか?

イーストウッド演じるガンマンがある町に立ち寄ります。イーストウッドが見上げると、屋根に首をくくった男がぶら下がっているんです。


直接的すぎますよね。


レオーネ監督は素晴らしい監督です。それでも黒澤明、菊島 隆蔵を超えれませんでした。



黒澤明監督の1952年の作品「生きる」があります。

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脚本を黒澤明、


橋本忍、 

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小国英雄

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の三人で手がけています。

橋本忍と小国英雄がもってきた脚本をみて黒澤明が、もっとシンプルにと言うんですね。

橋本忍、小国英雄ふたりの脚本家が書き直します。

書き直した脚本を黒澤明は、もっとシンプルにと注文します。

ふたり書き直します。

黒澤明さらにシンプルにと注文します。

ふたり書き直します。

それを見て黒澤明言います。

じゃあ、この脚本をひとつの言葉で表してほしいと注文します。

ふたりの脚本家は「生きる」という言葉で表します。

では、この「生きる」という言葉から脚本を執筆していこう、と黒澤明は言ったそうです。


壮絶ですね。ここまでやらないと上にはいけないんですね。


出来上がった脚本をみて脚本家たちが歓喜の声をあげるなか、黒澤明は言ったそうです。

「いいな君たちは。俺はこれから、これを撮らないといけないんだ」


漫画の神様 手塚治虫先生もひとつの作品を描きあげるのにその作品の倍以上のページを描くんだそうです。

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そうでなければ真の作品はできないんですね。

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