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【SMシリーズを振り返る】サン・ムーンシリーズで登場したデッキTOP10

こんにちは!りょうてんです。

今まで自分が気に入ったデッキの記事を無料で2つ公開させていただきましたが、今回は少し趣旨の違った記事を書こうと思い、この記事を投稿致しました。

タイトルにもある通り、今回書く記事はサン・ムーンシリーズ(以下SMシリーズ)の振り返り記事です。

SMシリーズは、GXスタートデッキが発売されたこともあり、多くの人にポケカが広まるきっかけともなったポケカの歴史の中でも大きな意味を持つシリーズとなりました。僕自身もこのシリーズから本格的に復帰しましたし、ポケカを通して多くの方と関係を持つことができ、非常に思い出深いものがあります。そこで今回は、そんなSMシリーズで最強のデッキは何か、自分なりにランキングしていこうと思います。


はじめに  ~ランキングの基準について~

今回のランキングでは、主に次の3つのことを重視してランク付けしました。

①環境上位のデッキとして活躍した期間の長さ
②デッキパワー
③環境に与えた影響

①に関しては、あまり説明しなくてもいいと思います。

②は、シンプルにデッキの強さを比べるのですが、CLでの成績や活躍していたころの注目度も特に評価します。参照するのは、スタンダードがSMレギュレーションで行われたCLです。

③は、そのデッキの存在による対戦環境の変化の度合いを見ます。他のデッキの構築を捻じ曲げられるのは強さの証明ですよね。

また、今回のランキングでは、デッキ同士の直接的な相性は加味しません。


ランキング ~10位から6位~

・第10位 ミュウツー&ミュウGX(ミュウミュウ)

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このリストのトップバッターは、SMレギュレーションで最も多彩なデッキ、ミュウミュウです。全ポケモンの遺伝子を持つミュウらしく、トラッシュやベンチにいる全てのGXポケモンのワザが使える特性「パーフェクション」が唯一にして最大の武器。これまでは「こいつワザは強いけど立てるまでが遅いんだよなあ。」とか「こいつワザは強いけどHP低いしなあ。」と言われ、見向きもされなかったポケモンたちのワザをHP270のたねポケモンが代理で使うという、まさに声なき声の代弁者のようなカードでした。そんな声なき声の代表はソルガレオGX。ダブル無色エネルギー1枚で使える「ターボストライク」は、120という中打点を出しつつベンチポケモンにエネルギーを2枚加速するというワザで、たねポケモンでHP270のミュウミュウが使うとふざけた性能に化け、ほぼ全てのミュウミュウデッキに採用されていました。性質上構築の幅の広さは凄まじく、2種のリザードンGXとレシラム&リザードンGXを採用したリザの盛り合わせで、300ダメージを超える超火力でタッグチームGXをねじ伏せる「レッドパーフェクション」、アルセウス&ディアルガ&パルキアGXのエネルギー加速やGXワザなどを軸に盤面を制圧する「ゴッドパーフェクション」、JCSでベスト4入りも達成した、グッズロック、ベンチスナイプ、アンタッチャブル化など様々なギミックを操る「ドラゴンパーフェクション」など、型は無限に存在します。

SMシリーズの終盤に登場したデッキであったため活躍期間が短いこと、特性封じに弱いこともあってCLなどの大型大会では準優勝以上の結果が出せなかったことなどを踏まえ、上位にランクインさせることはできませんでしたが、それでも、短い活躍期間の中で残したインパクトは強烈で、多くのデッキが「無人発電所」を採用するようになった点からもわかるように、環境に多大な影響を与えたデッキであることを評価し、この順位としました。


・9位 ズガドーンGX/アーゴヨン(ズガアゴ)

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UB最強時代にその一角として輝きを放ったデッキです。ワザ「ビックリヘッド」は、場のエネルギーをロストゾーンに送った分だけパワーが上がるいわゆる青天井技で、特に高耐久の相手に対しては無類の強さを誇ります。エネルギー加速を支えるのは特性「チャージアップ」のアーゴヨン。トラッシュのエネルギーを自分につけることでエースの火力増強を強力にサポートします。さらにこの2体はUB、つまりウルトラビーストでるため、優秀なUB専用の強化カードの恩恵を受けられました。盤面を安定させるサーチ手段「ウルトラスペース」、火力を底上げする特殊エネルギー「ビーストエネルギ♢」、そして何より、UBを強者たらしめる最強グッズ「ビーストリング」。発売当時はイマイチパッとしない「超爆インパクト」収録の同期GXの中でも、エネルギーの再利用が利かないため微妙な評価を受けていましたが、その後行われたCL2019東京では準優勝を飾り、その評価を一転させ、続く新潟大会ではジラーチサンダーと並んで環境最強デッキと冠されるほどになりました。

タッグチームGXの登場で耐久インフレが起こり、ズガアゴも徐々に減り始めていましたが、「溶接工」の登場で更なる火力を手にすると再び要注意デッキに返り咲き、UBと炎タイプという恵まれたカテゴリーの強さを存分に発揮しました。

このように、CLでの実績だけでなく、常にTier1からTier2辺りの上位デッキとして名前を挙げられていた息の長さを特に評価し、9位としました。10位のミュウミュウとは順位に迷いましたが、青天井火力というアイデンティティを損なうことなく環境を戦い抜いた点で勝っており、実績を残すことが出来るデッキだということも証明しているため、ズガアゴを上にしました。


・第8位 マッシブーンGX/ルガルガンGX(マッシルガン)

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9位のズガアゴに続き、UBがランクイン。8位はマッシブーンGX軸のデッキです。このデッキの強みはそのスピード。マッシブーンのワザ「ジェットパンチ」は、バトル場とベンチポケモン1匹に30ダメージを与えるもので、序盤から相手の盤面をとにかく荒らすことができました。いや、荒らすどころの騒ぎではありません。マッシブーンは、火力増強に恵まれた闘タイプとUBという2つのカテゴリーに属するカードであったため、エネルギー1枚で簡単に相手の大型ポケモンに対しても大ダメージを与えることができたのです。ディアンシー♢の特性「プリンセスエール」で+20、「ビーストエネルギー♢」で+30、こだわりハチマキで+30、ククイ博士で+20と、序盤では考えられないような火力を実現し、暴れまわりました。ズガアゴの項目でも紹介した「ビーストリング」のおかげで、終盤以降相手の盤面が完成してからも火力を維持することができたのも、他の速攻系デッキとは一線を画すデッキに成長した理由です。

それだけではありません。この筋肉エースマッシブーンを支えるのが、SMシリーズ屈指の助演俳優であるルガルガンGX。特性「ブラッディアイ」でサポート権を消費することなくXYシリーズのフラダリが使える化け物で、マッシブーンのたねポケモンを狩る能力をマキシマイズさせる最高の相棒として活躍しました。また、GXワザの「デスローグGX」はこのデッキの最大火力を誇り、マッシブーンの「ナックルインパクト」では届かない相手も仕留められるということも忘れてはなりません。

しかし、タッグチームGXが環境の主流になると耐久インフレが起こったため、マッシブーンの火力では太刀打ちできなくなり、CL千葉からは環境から消えてしまいました。そのためSMレギュレーションではそれほど活躍期間が長くなかったという弱点はありますが、全盛期の支配力や環境への影響は無視できませんし、19年シーズンのポケカ四天王決定戦では優勝も果たしています。闘タイプを当時最強にまで押し上げたマッシルガンは、この座につくにふさわしいデッキです。


・第7位 アルセウス&ディアルガ&パルキアGX(三神)

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このデッキは、SMシリーズ最終環境である「タッグオールスターズ」環境にて最強の座についたデッキです。すなわち、SMシリーズで最も広いカードプールで戦ったデッキの中で最強だったのです。このカードの強みは数えきれないほどありますが、その最たるものはGXワザの「オルタージェネシスGX」。このワザは、ゲーム中与えるダメージを+30するだけでなく、取るサイドの枚数を1枚増やすという狂気ともいえるぶっ壊れ技で、タッグチームに対してサイドレースの面で優位に立つ非GXのアイデンティティを根本から覆しました。そのため三神系統のデッキの登場以降、環境からは中打点でタッグチームを2パンして倒すことを勝ち筋とする非GXやサイド2枚分のGXポケモンのデッキは完全に姿を消し、環境は大型化の一途を辿りました。メインウェポンの「アルティメットレイ」は好きな基本エネルギーを3枚加速するもので非常に汎用性が高く、様々なポケモンとの組み合わせが研究されました。主なものとしては「三神ケルディオ」。エースの三神と水エネルギーを共有できるケルディオは、GXポケモンの攻撃を全く受け付けない特性「ホーリーハート」を持ち、相手に非GXでの攻撃を強制させることができます。そのため、GXポケモンに強く非GXに弱いケルディオと、非GXに強くGXポケモンに弱い三神の性質は非常に噛み合っており、強力なデッキとして活躍しました。その他にも当時のトレンドだったオーロット&ヨノワールGXをメタった「三神ミカルゲ」、環境の2強と名高かった2体を組み合わせたぜいたく盛り「三神オロヨノ」、脅威のロック性能で相手を封殺する「三神ラフレシア」なども存在し、ポケカ四天王決定戦やシティリーグでは圧倒的な人気を誇る環境デッキとして多くのプレイヤーに多種多様な三神デッキが使用されました。

こんなデッキが7位まで落ちているのにはもちろん理由があります。それは活躍期間の短さです。三神はSMシリーズの最後から2番目のパック「オルタージェネシス」にて登場したカードであり、その発売後の環境を支配してはいましたが、2か月後にレギュレーションの変更があったため、SMレギュレーションのデッキとして戦ったのはこの2か月のみ。そのため評価は低くならざるを得ません。それに、ここから先のデッキが継続的にパワーを出し続け、環境にも多大な影響を与えたデッキであるため、7位より上位にすることはできませんでした。ですが、たとえそうだとしても、SM全カードプール最強という圧倒的な実績と、環境を急激に大型化させた恐ろしいまでの影響力はまさに歴史に名を残すレベルです。


・第6位 ジラーチ/サンダー(ジラサン)

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SMシリーズではTOP3に入る非GXデッキ。その強さは圧倒的な序盤戦での制圧力です。マッシルガンの項目でも書きましたが、このデッキの速さは別格です。「ダークオーダー」で登場したサンダーは、ベンチからバトル場に出たターンはエネルギー1枚で80ダメージという非GXとしては破格のダメージを叩き出すことができました。この打点は、ほとんどの進化前ポケモンを一撃で仕留められるもので、サンダーはまさに序盤に相手の盤面を荒らす小型の戦闘機のような動きで暴れ回りました。その動きをサポートするのが、「ダークオーダー」の同期であるジラーチ。特性の「ねがいぼし」はSMシリーズ屈指の強特性で、デッキの動きを安定させる潤滑油としてこのデッキ以外でも大活躍しました。

このデッキが最強となった理由はいくつかあります。1つは、SMシリーズ最強のサポート「グズマ」を最も使いこなしたデッキであるということ。超高速ではあるものの素点が低いサンダーは、効率よくサイドを取る必要があるため、相手のベンチポケモンを引きずり出し、なおかつ「ねがいぼし」の試行回数を増やすことにもつながる「グズマ」は相性抜群でした。もう1つは、雷タイプであるということ。雷タイプは「溶接工」が登場するまで環境最強タイプで、その恩恵を受けられるジラサンはもちろん最強でした。サポートの「デンジ」で臨機応変な動きをとることができ、たとえエネルギーが引けなくても「サンダーマウンテン♢」や「カプ・コケコ♢」などで補填可能、そして、終盤に火力不足に陥ることを防ぐドーピングの「エレキパワー」、奇襲性能はSMシリーズトップクラスの「カプ・コケコGX」と、雷タイプであることはメリットだらけです。メジャーな闘タイプに弱点を突かれる点はマイナスポイントですが、なんとサンダーは弱点ではないどころか闘抵抗を持っている数少ない雷タイプでした。また、軸がどちらもたねポケモンであったため、起動に時間がかからないポケモンと相性がよく、「スレッジハンマー」のマッシブーンや「ダイキリ」のカミツルギなどを採用した「ジラサンUB」などの亜種も登場。余談ですが、僕自身もプテラと組み合わせたデッキの考察記事をnoteに投稿しています。興味がある方は暇つぶしにでもご覧いただければ幸いです。

登場以来環境上位を維持し続け、JCSでも結果を残しましたが、三神の流行により一時的に衰退。しかしその後はかつて雷タイプのライバルとして鎬を削ったピカゼクと手を組み「ジラサンピカゼク」として環境で活躍し復活を果たしました。このように長らく環境で戦った継続性はこのリストに名前を載せるのにふさわしいと思います。


Break Time① ~番外戦術と今回のランキング~

ここでは、今回ランキングに入れたかったですが、どうしても順位をつけるのが難しく、特別枠として紹介したいとあるデッキについて書こうと思います。そのデッキとは、アンノーンHANDです。

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アンノーンHANDは35枚以上手札を集めればサイドの枚数に関わらず特殊勝利するという極めて異端なカードでしたが、高耐久の非GXたねポケモンであるレジギガスと、特性によりGXポケモンから攻撃を受けないフーパからなるライブラリアウト(以下LO)デッキの新たな勝ち筋として注目を浴び、CL千葉での生配信ではその実力を全国に知らしめて準優勝。続くCL京都でも準優勝という快挙を成し遂げ、もはやHANDはネタでも何でもない強力なデッキだということが証明されたのです。ちなみにですが、SMシリーズの大型大会の決勝戦に複数回出場したのは3つだけで、アンノーンHANDはそのうちの1つです。

LOデッキは、サイドを取ることなく、エネルギー破壊や縛りなどを繰り返して相手の行動を妨害し、相手がサイドを取りきる前に相手のエネルギーなどのリソースを枯らすことを主な勝ち筋とします。歩兵戦や騎馬戦が普通のサイドの取り合いならば、LOは籠城するデッキです。つまり、勝ち筋が他の環境デッキとは根本から異なります。そのため、今回のランキングでは、僕の独自の判断ではありますが、特別枠としました。

デッキの根本的な勝ち筋の違い以外にも別枠にした理由はあります。このデッキは性質上プレイがとても難しいため、大型大会に自信を持ってこのデッキで挑もうとする人が非常に少ないのです。それにより、強いデッキではあるものの、「LOに当たったらしゃーない」と割り切り、当たらない前提でデッキを準備するケースも多く、環境に与えた影響という項目を評価することが非常に困難です。

もちろん、番外戦術をデッキとして認めていないという態度で書いているわけではありませんし、むしろこのランキングに収まるデッキではないということが、評だと思っています。サイドレース以外の全く新しい勝ち筋を開拓し、大型大会で準優勝するにまで至ったアンノーンHANDについて全く触れないわけにはいかないと思ったので、ここで記させていただきました。


ランキング ~5位から2位~

さて、ランキングに戻りましょう。今までも十分強かったですが、正直ここから先はぐんとレベルが上がります。

・第5位 ピカチュウ&ゼクロムGX(ピカゼク)

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さあ来ました。みんな大好きピカゼク。ポケカの歴史上はじめて公式に公開されたタッグチームで、これから環境を支配することになる彼らの元祖ともいえる存在です。当時としては破格のHP240のたねポケモンで、その話題性に劣らず、環境を完全に牛耳っていました。ジラサンの項目でも書いたように、雷タイプは当時最強のタイプだったため、例外なくピカゼクもその恩恵をフル活用して大暴れ。シティリーグでは参加者の半分以上がピカゼクを握ってきたというとんでもない大会もありました。ピカゼクの進化はこれでは終わらず、続く「ナイトユニゾン」では、雷タイプのGXポケモンを2体サーチする「電磁レーダー」と、特性でぶん回すデデンネGXを獲得。これらのカードや雷タイプの最強プリズムスターコンビのおかげで、SMシリーズ史上最強の後攻1ターン目の動きとされる「後1フルドライブ」の確率は爆発的に上がりました。圧倒的なスピードを手にしたピカゼクの暴走は止まらず、CL千葉では、ギリギリ強かったルガゾロやマッシルガン、謎の新勢力エビサワカポなどの闘タイプがある程度環境にいたにも関わらず、対抗できるデッキはウルトラネクロズマGXとジラサンだけだとも言われるほどのデッキとなりました。しかし、CL千葉では優勝も準優勝も逃したどころか、比較的マークが薄かったフェローチェ&マッシブーンGXに優勝を掻っ攫われるというまさかの事態が発生。さらに「ダブルブレイズ」ではピカゼクをはるかに凌ぐHPと火力を誇るレシラム&リザードンGXが登場したことでピカゼクは大打撃を受け衰退してしまいました。悲劇はまだまだ続きました。ストラクチャーデッキに入っていた「プレシャスボール」の影響で苦手な闘タイプのルガルガンGXを採用したルガゾロが復権すると、「ドリームリーグ」ではエネルギー1枚でピカゼクをワンパンできるドリュウズが登場し、最強クラスの実力を誇った半年前からのまさかの転落ぶりに、多くのプレイヤーがピカゼクを記憶から消そうとしていたその頃、SM最後の拡張パック「オルタージェネシス」が発売されました。これによりドリュウズやルガゾロが環境から姿を消し、比較的動きやすい環境となった上、ジラサンと手を組んだジラサンピカゼクという新たなデッキタイプが研究され始めました。ピカゼクの初手が弱かった時の保険に序盤戦では脅威となるサンダーを採用、安定感と足りなかった火力を取り戻し、見事環境デッキとして返り咲きました。

ピカゼクのキャリアの大きな欠点は、最大のチャンスだったCL千葉で優勝を逃したことです。その後レシリザの前でも何もできず、評価は大きく下がりましたが、その後しっかりカムバックを果たした点や、全盛期の異常ともいえる支配力はSMシリーズでも随一です。


・第4位 超バレット

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SMシリーズで唯一、大型大会の優勝を経験した非GXデッキです。このデッキの軸は言わずと知れたSMシリーズ最強クラスのシステムポケモンであるカラマネロ。特性「サイコリチャージ」でエネルギーをトラッシュから再利用し、様々なポケモンで臨機応変に戦うデッキです。その大ベテランで、長らく超タイプの勝利に貢献してきたのがギラティナです。特性「やぶれたとびら」でトラッシュからノーコストで復活しつつ、ダメカンをばらまきます。この組み合わせ、ギラマネロは無限にアタッカーを供給できる永久機関で、一度動くと止まらない強さがあります。非GXなので試合を長期戦にしやすく、そのため終盤に活きるダメカンばらまき系のカードとも相性抜群。「のろいのおふだ」は特に相性のいいポケモンのどうぐです。ロストマーチ全盛期のCL東京ではメタがうまく決まり優勝したものの、それ以降はタッグチームの登場により微妙な存在になってしまいました。

しかし、「ミラクルツイン」の発売で全てが変わります。超バレットは160という高打点ワザ「スペシャルレーザー」を持つネクロズマを獲得し、悩み続けた火力不足を解決。環境ではミュウミュウが流行り、その弱点を突ける超バレットの価値は相対的に上昇しました。その結果、サイドレースの強さとクレバーなダメカン攻撃を武器に、JCSという大舞台でノーマークの状態から準優勝という快挙を成し遂げました。

その後三神の登場により姿を見ることはなくなりましたが、これまでどんな環境でもその手数の多さによってある程度活躍してきたコンスタントな実績や優勝の経歴は評価に値します。ピカゼクとの順位を入れ替える人もいると思いますが、僕はCLでの優勝を果たした超バレットは継続性の面でも強いことから、ピカゼクの環境への多大な影響を加味しても超バレットの方を上に置きます。


・第3位 ウルトラネクロズマGX(ウルネク)

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1か月に1パックというハイペースで環境が変わるポケモンカードゲーム。しかしそんな中で、登場以来常にTier2以上の地位を保ち続けることができたデッキは数えるほどしかいません。ウルネクは、そんなデッキの1つです。発売以来サポートカードの豊富な超エネルギーの強みを生かしすぐに環境トップ入りを果たすと、この記事の評価には入りませんが、2018CL京都で優勝し、長く輝かしいキャリアのスタートダッシュを飾りました。

ウルネクは4位の超バレットと同様にカラマネロをエネルギー加速手段として活用。ワザ「フォトンゲイザー」は青天井火力であるため高耐久相手にも強く、ウルネクが長く環境に残る大きな武器となりました。終盤にはGXワザ「めつぼうのひかりGX」でサイドのまとめ取りも勝ち筋として残すことができるので、安直な展開すらも許しません。サブアタッカーは最強のゾンビポケモンであるギラティナや、特性「インベイジョン」でウルネクの入れ替えをスムーズにするあかつきネクロズマGXで、様々なポケモンで臨機応変な戦いができる点も非常に強力です。それだけにとどまらず、ウルネクはUBであるため、超強力なエネルギー加速手段「ビーストリング」の恩恵を受けられることで、終盤逆転する力も十分でした。

SM初期のCL東京では、ロストマーチ対策としてウルネクの「めつぼうのひかりGX」に白羽の矢が立ち流行、CL新潟ではあかつきネクロズマではなくジラーチを採用した型の研究が進み、ルガゾロとの激戦の末敗れはしたものの準優勝を果たします。CL千葉環境では「トキワの森」を獲得したことで安定感が増し、ピカゼクに次ぐ環境トップとしてジラサンとともに活躍。レシリザ環境となったCL京都では、特にこれといった強化はなかったものの、それでもその無限の火力を武器に警戒される存在となりました。このように、超タイプ特有の対応力と、簡単に弱まらない安定感、そしてSMシリーズ屈指の高火力を誇り、常に人気の高いデッキとなりました。

ミュウミュウが流行すると超バレット、三神が流行するとオーロット&ヨノワールGXやガブリアス&ギラティナGXに主役の座を奪われましたが、こういったカラマネロ軸のデッキの可能性を開拓したウルネクがいなければ、これらのデッキは今とは全く違ったものになっていたかもしれません。カラマネロに強いというだけで様々なカードの価値が上昇したことも、ウルネクの環境への影響を表していると言えるでしょう。


・第2位 ルガルガンGX/ゾロアークGX(ルガゾロ)

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紹介に入る前に、このデッキのあだ名を紹介します。それは「ポケカの義務教育」。すなわち、どんなプレイヤーにとっても使いやすく、初心者がまず握るべきデッキとして有名で、ルガゾロを知らない者はポケカを知らないも同然な、SMシリーズを代表するデッキであるということです。

ゾロアークGXの特性「とりひき」は、言わずと知れたSMシリーズ屈指の最強特性。手札1枚をトラッシュして2枚ドローするというとんでもない効果で、放っておくと手札が何枚も増えていく恐ろしいものです。この特性のおかげでデッキの事故率は非常に低く、さらにプレイの幅が大きく広がるため、ルガゾロはデッキパーツやプレイング次第で千変万化の戦法を持つ、対応力と安定感で常に環境の脅威として暴れ回りました。ワザ「ライオットビート」は「ダブル無色エネルギー」1枚で使える中打点ワザで、コンパクトにパワーを出すことが可能でした。GXワザの「トリックスターGX」は環境が大型化すると価値が見直され、足りない火力を補う大きな武器へと変貌しました。

そんなゾロアークの最強の相棒はルガルガンGX。マッシルガンの項目でも書いた通り、効率よくサイドを取り進めることを強力にサポートするとともに、環境で活躍するポケモンの弱点を突くことができ、アタッカーとしても機能するSMシリーズ有数のサポーティングキャストでした。

SMシリーズ序盤から、どんなデッキが流行しても勢力を保ち続け、CL新潟では見事に優勝を果たしましたが、本格的にタッグチームGXが環境に参入してくると、ルガゾロの中打点では火力不足が顕著に表れてしまい大きく衰退。おまけに大の苦手とする特性ロック効果を持つスタジアム「無人発電所」が登場し、環境からは姿を消すと思われました。しかし、ストラクチャーデッキで登場した「プレシャスボール」により展開力が爆発的に上昇すると、ミュウミュウの登場で数を増やす「無人発電所」の圧力をものともせず、レシリザに強いユキメノコやヤドキング、そして特性「キャットウォーク」でカウンター性能の高いペルシアンGXをひっさげ再び環境トップに返り咲きました。その後登場したドリュウズや三神にはさすがに勝てずトップメタを引退したものの、その強さは忘れがたいものとなりました。

このように、環境では常に最強クラスの実力と対応力を持ち、新カードのデッキが「それルガゾロに勝てるの?」と半笑い気味で聞かれるのはもはやポケカの恒例となりました。ウルネクと比べると活躍期間は短いものの、CLでの優勝という最高の実績をあげ、優勝しなかった大会でも圧倒的なインパクトを残したため第2位としています。では、SMシリーズで最強と呼ぶべきデッキは一体どのデッキなのでしょうか。多くの方には、もしかしたらもう予想はついているかもしれませんね。


Break Time② ~TOP10に入らなかったデッキ紹介~


第1位発表の前に、紹介しきれなかったデッキを紹介しようと思います。

・アローラキュウコンGXなどの強化パーツが登場する度に強化され、三神流行後も環境に残った「サーナイトGX」

・CL優勝経験もあり、中打点デッキを環境から駆逐した「フェローチェ&マッシブーンGX」

・爆発的な速さと火力を兼ね備え、多くのサポートカードとともに活躍した「レックウザGX」

・環境に与えた影響はTOP10クラスのSMシリーズ屈指の非GXデッキ「ロストマーチ」

・チャンピオンの力を胸に暴れた「ガブリアスルカリオ」


ランキング ~第1位~

・第1位 レシラム&リザードンGX(レシリザ)

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お待たせしました。栄えある第1位はレシリザです。ひょっとすると、ルガゾロと入れ替える方もいるかもしれませんが、僕はレシリザが最強以外あり得ないとすら思います。

まずこのレシリザ、SMシリーズの大型大会で唯一の複数優勝を達成したデッキです。初出場の京都でも、研究が進み始めたJCSでも、他を寄せ付けない圧巻の実力で優勝を果たしました。

ルガゾロやウルネクの項目でも対応力という要素を強さの1つとして挙げましたが、レシリザもどんなデッキに対しても戦える力があります。しかし、ルガゾロやウルネクとはわけが違います。じゃんけんで例えると、ルガゾロやウルネクは相手の出した手に対して後出しができるような字の通りの対応力、対してレシリザはどんな手もグーで殴ってねじ伏せる、自らの勝ち筋を貫く対応力というより異常なまでの突破力を持つデッキです。先攻1ターン目に使う「カキ」はSMシリーズ最強の初手の動きとされるほどで、相手のまだ全く育っていない盤面に対して2ターン目から230というウソみたいな大ダメージを押し付けて一方的な展開を作り、たやすく勝利を重ねていきました。GXワザの「ダブルブレイズGX」は、相手の耐久力上昇やアンタッチャブル効果などを計算せずに300ダメージを叩き込む暴力のようなもので、この異常な火力の横行をきっかけにワンパンされない前提の高耐久が売りのポケモンはなす術なく環境を後にしました。また、HPは破格の270であったため、これまでの打点調整の影響をほとんど受けず、環境そのもののインフレを加速させたデッキでもあります。

「ダブルブレイズ」以降、多くのカードに強化された炎タイプの中でも、チートエネルギー加速サポートである「溶接工」を最も使いこなしたデッキで、これまでエネルギーの準備が弱かった炎タイプの代表として環境のほとんどの炎弱点のポケモンを淘汰しました。登場直後はワザ「フレアスターター」のボルケニオンとレシリザの2種類のポケモンだけを採用し、「ブルーの探索」でデッキを回す型が流行りましたが、続く「ジージーエンド」で「巨大なカマド」や「リセットスタンプ」が登場すると、特性を持つポケモンで展開する型が主流になりました。非GX系統は若干苦手としていましたが、「オルタージェネシス」で三神が登場してライバルが減り、その上強力な回復手段「マオ&スイレン」を獲得したことで隙がなくなりました。とにかく先攻1ターン目に「カキ」を使えれば後は高火力を押し付けるだけでサイドを取り切れるため、後攻のプレイヤーにできることは本当に祈るだけという理不尽なほどの強さを誇っていました。SMシリーズの終盤に登場したデッキではありますが、登場以降圧倒的な実力を見せつけ、自身を取り巻く環境がどう変わっても、どんなカードにメタを張られても、常にトップメタであり続けたレシリザこそ、SMシリーズを代表するにふさわしい最強のデッキです。


終わりに

いかがでしたでしょうか?

自分としても初めての試みで、楽しかったのでやってよかったなあと思います。順位に関しては皆さんの意見もお待ちしております。入るべきデッキがありましたら、Twitter等でコメントの方頂けましたら幸いです。

昨今は不安定な状況が続いておりますが、皆さんのご健康をお祈りしております。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、またどこかでお会いしましょう!

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