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第323回定期宗会、ご門主、議長挨拶

2024年2月28日(水)13:00より第323回定期宗会の開会式が行われました。開会式のみネット中継も行われ、ここにご門主と議長挨拶を公開します。

ご門主お言葉

皆様には、第323回定期宗会の招集にあたり、ようこそご参集くださいました。まず初めに、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震において犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。被災地では多くの方が困難な生活を余儀なくされ、先の見通しの立たない不安な日々を送られています。被災者お一人お一人に寄り添ったきめ細やかな支援活動が継続して行われることで、1日も早く生活を再建され、平穏な日常に戻られますことを願っております。

さて、本年は親鸞聖人がその主著である『顕浄土真実教行証文類(教行信証)』に浄土真宗のみ教えを体系的に表されて800年という年に当たります。親鸞聖人は9歳で出家得度され、「生死出ずべき道」を求めて比叡山で20年に及ぶ修行に励まれました。しかし、さとりを開くことができずに、悩みや苦しみを抱えて法然聖人のもとを訪ねられます。そこで、阿弥陀様のご本願、他力のおはたらきに出遇われます。それはどうしても我執という煩悩から離れられず自力修行でさとりを開くことができないものに対して、そのままで救うというおはたらきです。

現在の私たちを取り巻く状況を考えますと、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行以降を見ても、ロシア連邦のウクライナ侵攻とイスラエルとパレスチナの武力衝突は未だに続いており、大規模な地震も令和6年能登半島地震までにもシリア、トルコをはじめとする世界各地で発生しています。またハワイマウイ島での山火事もあり水害も世界各地で起きています。

お釈迦様が約2500年前に明らかにされた「縁起」や「諸行無常」という真理は、これからも変わることはありません。しかしながら、私たちはこの真理をそのごとくに受け入れることができず、自分自身の思い通りにならないことで悩み苦しんでいます。阿弥陀さまのご本願は、このように「縁起」や「諸行無常」の理の前にたたずむことしかできない私を救いの目当てとして摂め取り、おさとりの世界へと導いてくださいます。阿弥陀さまのご本願に出遇い、その智慧と慈悲に生かされる私たち念仏者は、煩悩具足の身を嘆きつつも世の安穏、仏法弘通を願われた親鸞聖人のお心を体して、喜び悲しみを分かち合い、誰もが心豊かに生きられる平和で公正な社会の実現に努めることが大切です。そしてその為には、社会の状況や人々の意識をしっかりと見極め、それに応じた伝道活動を進めなければなりません。

私が門主就任以来、消息や親教で述べてきた浄土真宗のみ教えの肝要が、広くまた次の世代に伝わるよう、それぞれの場でご精進いただき、伝わる伝道が実践されますよう願っております。 また、時代状況に即応した伝道活動を進めるにあたっては、その活動を支える為の持続的成長が可能な、強靭な組織を作り上げる必要があります。立教開宗800年という節目の年にあたり、私たちはこれらの喫緊の課題に真摯に取り組むことが重要であり、議員の皆様には引き続き宗門の諸活動にお力添えをいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

議長挨拶

第323回定期宗会が招集になりましたところ、議員の皆様には公私ご多端の中、万障お繰り合わせいただき本定期宗会にご参集賜りましたこと篤く御礼申し上げます。

ただいまご門主さまからご懇篤なるご教示を賜りましたことに深く感謝を申し上げます。同時に宗会に身を置くものとして、私どもに課せられた重責に、身の引き締まる思いを新たにいたしたことであります。

去る1月1日に発生いたしました令和6年能登半島地震では、能登半島を中心に広い地域に被害が発生し、数多くの方々が被災され、今なお避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。能登半島地震に限らず日本国内のほか全世界におきましては、ハワイを初め各地で災害が発生しております。
多くの命が失われたことに哀悼の意を表すとともに、被災されました方々にお見舞い申し上げます。

さて本定期宗会では令和6年度の宗務の基本方針案と、その基本方針を出動するための予算審議が我々に課せられた責務であります。社会全般の経済状況が疲弊していることで、宗門財政も厳しい状況に置かれています。そのような財政状況の中において、全国からお届けいただいた尊い浄財をいかに支出して、どのように運用されていくのか。この点について十分にご議論いただきたく存じます。

申すまでもなく、私どもの宗門はご法義なくしては成り立ちません。お念仏のご縁によって結ばれている我々が、世間の倫理にとらわれて、お念仏を相続していくという姿勢を見失うようなことはあってはなりません。宗門への信頼を揺がす事態になりかねない状況の中、私ども一人一人がどのようにご法義を伝えお念仏を喜ぶ人々を増やしていくのか。この点を念頭に置いて行動する必要があると思います。

議員の皆様には慎重かつ活発なご審議を賜り、宗会としての責務を果たしてまいりたいと存じますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。以上、開会にあたりまして挨拶とさせていただきます。



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