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揺れ動く議員会派

浄土真宗本願寺派では、宗派の宗務に関する評議や議決を行う機関「宗会」において、僧侶議員47名、門徒議員31名の宗会議員が議会を執り行っています。これは、国会よりも前に成立している日本初の議会制度と言われています。

第5節 宗会
(設置目的)
第24条
宗派の重要な宗務に関し評議、又は議決する機関として、宗会を置く。
2 宗会は、宗派全般の意思を尊重するように運営されなければならない。

宗会規程

僧侶議員には会派があり、現在は以下4会派に別れています。会派のことは本願寺派の僧侶でも、よほど内部の人でない限りは知られていません。

・八五倶楽部
顕心会
誓真会
・大心会
(門徒議員は1会派)

会派の新領解文に対する見解は、前総長会派「八五倶楽部」と現総長会派「大心会」は推奨派で、前総局2名が属する「誓真会」は意見が別れて2名が退会。顕心会のみ多数が新領解文に反対しています。もちろん、新領解文の問題だけで宗会議員を問うものではありませんが、ここでは焦点を絞って記します。

5月30日に石上智康氏が総長を辞任し、翌日の総長選に注目が集まる中、大谷光淳門主が指名したのはナンバー2の筆頭総務、池田行信氏と、長く宗務を離れている保滌祐尚氏でした。新領解文を推進する人を選んだこと、新領解文に反対する人を候補に入れなかったこと、そしてお寺に不在で施設に入っている保滌氏を指名したことに、注目していた僧侶や門信徒からは落胆の声が多数あがりました。

それでも、前総局の流れを食い止めたい議員は、反対票として保滌氏へ投票しましたが(保滌氏が当選した場合、辞退されて再指名が行われる算段)、結果は、池田氏47票、保滌氏22票(白票 4票、無効票1票)でした。今回の総長候補指名と選挙には多くの問題を含んでおり、門主の総長候補指名制度が問われています。

新総長の池田行信氏は就任後早々に、これまでの方針を継承して「新しい領解文」を推進していくことを述べました。総局には、各会派から1~2名入局するのが慣例ですが、ここでも露骨に、新領解文に反対する議員が多数在籍する「顕心会」はひとりも入局しませんでした。

一方で、新領解文の推奨派と見られる会派では、下図のように退会や他の会派へ移る動きが見られます。前の宗会の折に無所属となった松野尾議員を含めて計6名の動きがあり、まだ他にも出てくる可能性があります。

会派には独特の決まり事があり、1会派は7名以上という条件で、総長と議長は任期中会派を離れます。総長会派の「大心会」は現在5名ですので、その動向に注目が集まっています。

参考までに、1ヵ月前までの体制はこちらです。

自身の信仰に対する問題に加え、会派によるプレッシャー、推奨に反対する僧侶たちからのプレッシャーなどを受けて、それぞれに悩んでいることが伺えます。門徒議員のお気持ちもいかばかりか。今後も動きがあり次第こちらに追記していきます。

続報

池田総長の会派が最低定員7名に満たないため、事実上解散。


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