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得度式で新しい「領解文」暗唱

中外日報6月16日号に上記タイトルの記事が掲載されました。浄土真宗本願寺派の僧侶になるための儀式「得度(とくど)」の研修において、新しい領解文の暗唱が必須になったというニュースです。これから本願寺派の僧侶になる人たちは、本人の意思とは関係なく全員「新しい領解文」を全文覚えなければなりません。

これはいつどのようにして決められたのでしょうか。
浄土真宗本願寺派では、2012年より「宗派」と「本山」に区分されています。宗派の宗務を執行する機関を「総局」といい、本山の宗務を執行する機関を「内局」といいます。この区分の目的のひとつは、時代に合わせたスピード化と言われています。そのとおりに今回の一連の宗務は、総局指令のもと「統合企画室」からのトップダウンで多くのことが決められています。

得度式で「新しい領解文」を依用するかどうかを決めたのは、安永雄彦執行長を筆頭にする「内局」の任務です。中外日報の記事によると内局は以下の見解を示しています。

新しい「領解文」に対し様々な意見があることは承知しているが、本願寺住職であるご門主さまの意向をくみ、粛々と推進しいく基本スタンスは変わらないため、得度式での依用を決定した

その内局の見解を宗派側とすり合わせるのが「宗門・本山協力体制総合調整会議」です。ここで内局の見解を、総局に伝えて正式に決定したという流れとなっています。この会議は5月中旬に行われたとされるので、石上智康総長、池田行信筆頭総務の時に決定されていました。

この案内が各地の該当者へ届いたのは、5月31日の総長が交代した直後で、「総長が変わったばかりなのに?!」「誰がいつ決めた?!」と一時騒然となりました。総長が交代する前に決まっていたことが、粛々と遂行されていたことに愕然とします。

現在、これ以上ないほどの物議になっている問題に対して、全く立ち止まることなく遂行していくということは、今後も、決まったことに対しては誰の言うことも聞き入れないということを示しています。宗本区分によるスピード化は、柔軟性があってこそではないでしょうか。このままでは、時代に即応するどころか、逆行して権力が一極に集中する独裁的な組織になってしまう恐れがあります。

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