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世界を知るためにー文学の楽しみ方、読み方

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近代と前近代という区分けをなくしたところにこそ、日本人の世界知の基本があると考える筆者が、古今東西の文学論を紐解きながら、現代に生きる意味を探究していく。
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記事一覧

「銀子の涙」佐藤浩子(婦人文芸103号)

2023年12月に、歴史ある同人雑誌「婦人文芸」103号が刊行された。 このnoteの記事に、103号の…

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「婦人文芸」103号

同人雑誌「婦人文芸」は、戦後から続く歴史ある文芸誌である上に、現代の社会を描く、筆力の高…

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加藤周一著作集 第一期

日本の古本屋で、加藤周一著作集の第一期が15冊セットで5500円で売っていた。到着して箱から出…

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安部公房「砂の女」読書会に参加してきた

先日、仙川で行われた安部公房「砂の女」読書会に参加してきた。 https://chofu.keizai.biz/h

"Kokoro" NATSUME SOSEKI

ペンギンブックスのペーパーバックで漱石の「こころ」の英訳を読んだ。 訳者はMEREDITH MCKINN…

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山口昌男著「アフリカ史」

講談社1977年の「世界の歴史6 黒い大陸の栄光と悲惨」が改題され、2023年8月に講談社学術文…

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森まゆみ著「暗い時代の人々」

言うまでもないが、谷根千の雑誌で著名な、私は漱石に関する著作などを拝読している森まゆみさんの本で、2017年に単行本、2023年9月に吉野作造の章を加筆して朝日新聞出版から文庫化された。 近代日本のリベラリストを取り上げていて、森さんの取材、検証、論述、記述に改めて感心した。 斎藤隆夫の圧巻の演説に引き込まれた。 特に印象深かったのは、山川菊栄など、社会主義活動家の連れ合いや家族でもあった女性の活動家たちの記述だった。古今東西、複数のマイノリティを背負う集団がある。 個人的に

みすず「読書アンケート2023」覚書

Amazonのポイントが貯まったので、それで購入。毎年刊行されていることを初めて知る。 著名な…

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地の文の近代性、非近代性ー鴎外「興津弥五右衛門の遺書」から考える

 候文とは、「日本の中世から近代、昭和戦前期にかけて用いられた、日本語の文語体の一型式で…

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キーンさんの日本文学研究

 現在、神奈川近代文学館にて、「生誕100年ドナルド・キーン展-日本文化へのひとすじの道」…

幸田露伴の「五重塔」の文末からの漱石「こころ」

五重塔 幸田露伴 其一  木理(もくめ)美(うる)はしき槻胴(けやきどう)、縁にはわざと赤…

書き言葉のbefore and after

小熊秀雄の叙事詩についての記事で、五七調から開放された自由なリズムがあると書いた。 先日…

第2は小熊秀雄「飛ぶ橇」から「移民通信」

The collection の2つ目は、小熊秀雄の「飛ぶ橇」から「移民通信」 https://www.aozora.gr.jp

吉田健一「詩と近代」小澤書店

最初に「詩を読む会」を主宰しようと思ったとき、私はすでに「詩」の中に「小説」を含むことをイメージしていた。 その前に、「詩を読む会」は、私が好きな文章を、私以外の誰かと楽しむ、という目的で行うものだ。楽しむ方法は、音読だろうと考えている。 だから、この「詩を読む会」は、一種の、集、collectionを作ることも傍らの大きな目的だ。 愛好する文学作品を私が選んで、参加者はその中から選んで音読する。 勅撰和歌集ならぬ私選文学断片集である。 後世、例えばどこかの批評家が、ある