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横浜ThumbsUpにてPETER BARAKAN'S Ping-PonDJ Jammin' the Bluesなど。小熊秀雄のこと

横浜のThumbsUp にて、ピーター・バラカンさんのピンポンDJを聴いて、見てきた。
ゲストDJはルカーチソウルの訳書がある宮田信さん。ラテンの曲が多いのかと思っていたが、今夜はソウル・ジャズ、ジャズ寄りな感じだった。
Miliのショートムービー“Jammin' the blues”や、Big John Patton、milestoneなど、名曲、名演奏、名盤をたっぷり聴いてきた。
Milestoneは小さい頃父親がよく聞いていたのを思い出した。たぶん、父はマイルス・デイヴィスのを聞いていたと思うのだけど。

小熊秀雄は詩集「飛ぶ橇」の序で
「僕が詩の仕事の上で、抒情詩の製作に許り、執着してゐないで、長い形式の叙事詩をも手掛け今後もそれを続けてゆかうとする気持には、色々の理由があります。
 その一つの理由に挙げられることは叙事詩は、短かい詩とはまたちがつた持味があつて、将来大衆の詩に対する興味と愛着を、この叙事詩の完成によつて一層ふかめられると考へてゐるからです。(後略)」

この部分をずっと思い出し、考えていた。
これは1935年に書かれたものだ。(“Jammin' the  Blues”が制作されたのは1944年)
新体詩の論じられた頃の、上田敏「海潮音」や島崎藤村「若菜集」などはリズムを七五調に強く依存しているけれど、小熊秀雄の叙事詩はもっとリズムが複雑になっている。そして、散文とは全く異なり、自律したリズムを持っている。リズムの生成を改行に頼っていない。
宮沢賢治の心象スケッチも、小熊秀雄の飛ぶ橇と並べると七五調への依存が強く感じる。ちなみに、風の又三郎の冒頭は「どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみも吹きとばせ すっぱいかりんも吹きとばせ どっどど どどうど どどうど どどう」だ。

叙事詩の「事」にあたる部分は意味・ストーリーであって、リズムに乗りながら「事」は印象的なフレーズになり、リフレインになる。
民衆の詩に対する興味と愛着は、リズムとメロディ、リフが不可欠だろう。
そして名演奏も不可欠だ。


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