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お墓参りで見かけたのは

お盆は毎年恒例、仏壇の飾り付けと、お墓参り、迎え火、送り火と慌ただしい。

今年は13、14は台風直撃とのニュースを受けて、早めの11日にお墓参りに行ってきた。

お線香とライターは車に常に積んであるので、途中で花だけ買っていった。

駐車場に車を止めて、水を汲んでお墓に向かう。

ちらほらとお参りの人たちがいた。

お墓に水をかけて、花を入れようとしたが、ちょっと豪華な花束を買ってしまって、お墓の花入れに一度に入れることができず、一度下に置いて少しずつ花を入れていた。

その時。

うちのお墓は数段の段差を降りたところが敷地の入り口になっているのだが、その段差を降りてくる足が見えた。

昔、おじさんたちがよく履いていたような、履けば履くほど柔らかくなるような素材の黒の革靴で小指の側に金の飾り、ぴっちりと前に折り目の入った濃紺のズボン、バックルが金の黒のベルト、シャツは黒と青の細い線の格子柄で、裾はきっちりシャツにインした、細身の年配男性だと思った。

胸のあたりまでは見えた。

その姿を目に捉えた瞬間、祖父の知り合いかと思い、瞬時に「こんにち…」と顔を上げながら声をかけたら「わ」の時にはもう誰もいなかった。

周りを確認したけど周辺には誰もいなかった。

亡き祖父かと思ったけど、祖父はがっちりした体型の人で、決して細身ではなかった。

おかしいな…と思いながらも花を全部入れて、花入れにも水を足し、墓碑にも水をかけ、隣の親戚のお墓にもお参りし、お地蔵さんにもお線香をあげて、水撒きをしていた住職に挨拶をし、片付けをして家に帰った。

迎え火を炊いて家の仏壇にお線香を供えた。

夜、父が帰ってきたのでその話をしたところ

「Sおじさんじゃないか?」

と言う。

Sおじさんとは、祖父の弟に当たる人で、私からしたら大叔父に当たる。

生前は会社勤めの後、自分で会社を興したもののあまりうまくいかなかったようで、祖父によくお金を借りに来ていた。

二度結婚をして一男一女(父のいとこ)を設け、その子供たちも結婚して、内孫も三人いたはずなのに、なぜか私をとてもかわいがってくれて、いつもニコニコと私の名前を呼びながら頭を撫でてくれた人だった。

このSおじさんの後妻さんも、私のことをなぜかとても気にかけてくれて、会えばいつでもニコニコと話しかけてくれた人だった。

祖父のお墓にお参りした後、お参りした隣の親戚のお墓とは、このSおじさんご夫婦のお墓である。

私はお線香を上げながら

「生前優しくしてくださってありがとうございます。何も恩返しできなくてごめんなさい」

と思っていた。

確かに、Sおじさんは細身で、おしゃれな人だった。

会いに来てくれたのかな~。

お盆の、私からしたら全然怖くないけど冷静に考えたらちょっと怖くてちょっといい(?)お話でした。






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