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なりたいじぶんになること。

理想の自分に近づこうとするとき、今の自分にないものを持つほかのキャラクタに逃げ込む人がいる。コスプレをしたり、そのキャラクタになりきることで理想の自分を体現できると思ってはいけない。強い人間になりたいと思って外見を厳つい風貌にしたところで、内面の弱さを克服できない。可愛くなりたいと思ってVTuberを始めたところで可愛くなれる訳では無いのと同じだ。強くなりたければ鍛えるしかないし、可愛くなりたければ可愛くなる努力をしなくてはならない。

私個人の話で言えば、なりたいじぶんとは、他人に否定されない自分である。他人に否定されても怒らない自分である。わたしは物心ついた頃からどうも他人とはズレた感覚があるという自覚があった。例えば面白いと思う基準である。古い話で悪いが、ビックリマンシールというものがある。コレクションが楽しいシールなのだが、シールにはそれぞれ、天使と悪魔、お守りという区分がある。そしてヘッドと呼ばれるレアシールが存在する。ほとんどの子どもたちがレアシールを欲しがった。確かにわたしもレアシールが出てくると嬉しいのだが、私個人としてはいくらレアシールでも、見たことのあるもの、誰かが持っているものには全くと言っていいほど魅力を感じなかった。それよりも、見たことの無いものに惹かれた。分かりやすくいえば、レアシールのスーパーゼウスよりも、見たことのない悪魔シールやお守りシールに魅かれたのである。そんなわたしは、悪魔やお守りなどの普通シールが欲しくて持っていたレアシールと交換してほしいとよく友人に持ちかけ、変わったヤツだと言われた記憶がある。確か、いらないシールをもらってくれる奴という認識が広まり、たくさんのシールを恵んでもらった記憶すらある(同じシールを沢山持ってた)。持っているシールを貰うことをわたしは拒否しなかった。いらないシールだとしても手持ちのシールの枚数が増えていくことに快感を覚えたのである。この経験からわたしは、人が欲しがるものに興味が無いことと、自分が欲しいものは他人が欲しいものとは違うということを学んだ。

なりたいじぶん。つまり、わたしはわたしの感性を大切にできる人になりたかったのである。子どもの頃はそれが無意識でできていた。ところが成長するにつれ、周りを気にするようになると、とたんに流行を気にするようになる。今はやっているものはなにか?異性に人気のあるファッションや遊びはなにか?そんな情報だ。だがわたしは私の中に存在する感覚がズレていることで、それらの流行や一般常識を理解することが出来なかった。そこに気後れが生じた。わたしの感覚は間違っているのではないか?わたしは勉強が足らないのではないか?という不安は日に日に増していき、どんどん自信をなくしてしまったのである。思えば私の学生時代は自己否定の暗黒時代であった。知らないことを恥として、ありとあらゆることを知ろうとした。それがなぜ面白いのか全く理解できないままに、単にそれが流行っているからという理由だけで取り入れたりもした。ところがやはりというか心のバランスを崩して内向的な人間になってしまう。私は何も出来ない人間なのだという後ろ向きな感覚をわたしは獲得して行った。

なりたいじぶんになる。そう強く思ったのは高校を卒業したくらいの頃だ。私の人生は私が決める。誰になんと言われようと、バカにされようとわたしの好きな選択をする。それで失敗しても自分が選んだ結果ならどんなことでも納得する。そう決めた。そこから当時からすると有り得ないほどの失敗をした。そしてその失敗を恥ずかしいと思わなくて済むように失敗のたびに生活圏を変えて行き、住む場所を変えたりもした。そうやってトライアンドエラーを繰り返したのである。現実のトライアンドエラーを繰り返すのには勇気が必要だ。また生活圏を変えるのにもお金がかかる。そんな時わたしはついにオンラインゲームに出会う。そこでは好きな外見になることが出来、性別も自由。そこで出会う人達はいろんな年代の人がいる上に、男も女もわからない。そんな自由な空間でわたしらしく自由に振舞ってみようと思ったのである。たとえ失敗してもいい。最悪、サーバーを変えてしまえば、また新しく生まれ変わることが出来る。ここならわたしは何度でも人生をやり直すことができるはずだ。そうわたしは確信した。

わたしはオンラインゲームで様々な経験をした。誰かに嫌われたり、拒絶されたこともあった。私自身も誰かを求めたり、逆に嫌煙したりすることもあった。だがわたしはこのオンラインゲームの世界ではわたしを否定しないというルールを決して曲げなかった。悪い自分もすべて肯定してわたし。それこそが、なりたいじぶんであったからである。

わたしは長らく怯えていた。本当の自分を誰も受け入れてくれないのではないか?という恐怖だ。だから自分を偽っていた。本当の自分を見失っていつも誰かや何かに依存していた。でも本当の自分を受け入れてくれる人がオンラインゲームにいる。そういう経験をした。拒絶されない関係性があると知った。そのことはわたしを大いに強くした。あれだけ好き勝手に生きているのにわたしを受け入れてくれる世界がある。それは現実の私も受け入れてくれる世界があるのではないか?という希望に繋がった劇的な瞬間であった。

なりたいじぶんになること。それはトライアンドエラーの先にある。少しずつでいい。自分を偽らずに表現してみる。否定されたら?確かに怖い。今でも怖い。だけどこうも思うのだ。私があれだけ恐れていた否定は、わたしの伝え方に問題があったのであって、私の感じ方に間違いがある訳では無いということを。伝わる方法さえ学べば(この場合の伝わる方法は本当の自分を伝える方法のこと)、否定に怯えることは無い。理解されなくともそれは否定ではない。その場合は距離を置けばいい。それだけだ。時間が解決してくれる。

なりたいじぶんになることで悩むすべての人へ。わたしは今日もわたしらしく生きている。ムジカはわたしの大切な大切な半身だ。

MUSICAでした...♪*゚

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