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Game Theory

 今回の部員日記は理工学部3年、鈴木龍一が担当させていただきます。

 だんだんと涼しくなり、過ごしやすくなってきたかと思えば、学校の冷房が効きすぎていて寒いなぁと震えている今日この頃、みなさまどうお過ごしでしょうか?

 今回はゲーム理論について簡単に紹介したいと思います。ゲーム理論とは、社会や自然で起こる複数主体(以下、プレイヤー)が関わる意思決定問題や行動の相互依存的状況を数学的な数理モデルを用いて研究する学問のことです。

 ゲーム理論には大きく分けて2つの分類があります。それは、プレイヤー同士が協力しない「非協力ゲーム」とプレイヤー同士が協力し合う「協力ゲーム」です。今回は非協力ゲームの中でも表現形式の1つである「戦略形ゲーム」について紹介します。 

 戦略形ゲームは簡単に説明すると全てのプレイヤーが同時に意思決定を行うゲームのことです。ここでいう同時とは他プレイヤーの出す戦略を知らない状態であるということで、例えばプレイヤーが2人の場合、プレイヤー1がある戦略αを取ることを時点Aで決定している状況で、プレイヤー2がプレイヤー1がどの戦略を取ったか知らない状況である戦略βを取ることを時点Bで決定したとして時点Cにて両プレイヤーの戦略が明かされた場合は実質的に同時に意思決定したとするということです。

 具体的な例を見てみましょう。

 例えば、2つのパン屋(それぞれ、パン屋A、パン屋Bとする)が同じような品質の食パンを作っているとします。この食パンに対する需要は以下のようになっているとします。

・200円で販売した場合は1日あたり50人が買う
・150円で販売した場合は1日あたり60人が買う

 このような状況下で、もしパン屋が1つしかなければ、価格を200円にすることで1日に1万円の利益を得ることができます。しかし、パン屋が複数存在している場合は他のパン屋が価格を150円にした場合、当然顧客は同じような品質であれば安い方のパンを買うはずなので、価格を200円にしたパン屋は客が来なくなって食パンが売れなくなってしまいます。このように、他プレイヤーの食パンに対する価格設定が重要になってくるため、ゲーム理論を用いて合理的な価格設定をしようというわけです。

 ここで、各プレイヤーがそれぞれ戦略を1つ選んだことにより実現される戦略の組みのことを「ゲームの結果」といいます。

 今回の例では、(Aの戦略,Bの戦略) = (150,150)、(150,200)、(200,150)、(200,200)の4つのゲームの結果が考えられます。

 このような状況で各プレイヤーのそれぞれの1ヶ月あたりの利得(利益)を考えると(Aの利得,Bの利得) = (5000,5000)、(9000,0)、(0,9000)、(4500,4500)となることがわかります。

 では、このゲームの結果を分析してみましょう。

 パン屋Aの最適反応を見てみると、パン屋Bの食パンの価格を150円に固定した場合、パン屋Aが価格を200円にしたときに得られる利得は0円となります。一方で、パン屋Aが価格を150円にした時に得られる利得は4500円になります。

 以上の結果からパン屋Bの食パンの価格が150円の場合は、パン屋Aは食パンの価格を150円にすればいいわけです。同様にパン屋Bの食パンの価格を200円に固定した場合は、パン屋Aは食パンの価格を150円にするといいという結果が得られます(200円にした時は5000円、150円にした時は9000円の利得が得られるため)。また、パン屋Bの食パンの価格もパン屋Aと同様に(対称性より)150円に価格設定すると良いことがわかります。よって、互いのパン屋がそれぞれの利益を考えた場合に得られるそれぞれの戦略は(Aの戦略,Bの戦略) = (150,150)となります。

 一見すると200円にした方が利益出るじゃんという場面でも相手のことも分析することで自分が得られる利得(利益)を最大にすることができます。

 今回のように相手の戦略を固定した上で自分の利得を最大にする戦略を「最適反応戦略」と言います。
 また、それぞれのプレイヤーが最適反応戦略を取った場合に起こる均衡状態のことを「ナッシュ均衡」と言います。

 今回は2つのプレイヤー、2つの戦略での例を示しましたが、一般的にはプレイヤーや戦略は無数に存在します。

 他にも「恋人のジレンマ」や「囚人のジレンマ」というゲーム理論の面白い例が存在するので気になる方はぜひ調べてみてください。

 今回は簡単にゲーム理論について紹介しました。このゲーム理論は日常のあらゆることに活かすことができ、テニスに関しても例外ではありません。みなさんもゲーム理論を使って自分の人生の利得を最大にしてみてください。

 拙くまとまりのない文章でしたが、最後までご覧いただきありがとうございました。

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