#01 ヴァーチャルな世界へ

飽きた。とにかく全てが飽和している。

空腹で目を覚まして、冷蔵庫を開ける。いつもの通り空っぽで
せいぜい水が冷やしてあるかどうか。
スーパーに食材を探しに行こうかと考える。
サーモンと缶チューハイでも、なんて考えながら
逡巡しているとカツオが安くなってるからなんて理由でサーモンを諦める。
缶チューハイはシャルドネにしようと考えていたのに
こっちの方が安いからとチェリーにする。どいつもこいつもそんなもんだろう。
こんな毎日も本当に飽きた。なんの変哲もない。代わり映えがない。
昨日と今日のループが続いてるだけ。
求めているわけでもないが、これといった出会いもない。
人は皆、何を生き甲斐にしてるんだろう。
何か生き甲斐みたいなものがあればだいぶ変わってくると思うんだが。
つまらないメールでスマホが光る。
つまらない内容に一応目を飛ばす、登録した覚えもないメアド。

ーここでしか出会えない仲間がいるー

ーここでしか体感できない楽しさー


なんだこれ?出会い系?


ーリアルに飽きていませんか?ー

飽きてるとも。辟易してるさ。

読み進めていくと、どうやらVR空間にアバターを用意して
そこにはリアルの人間がいて自身の分身に身を置き換えて
チャットやボイスで雑談などを楽しむ場所らしい。

ヴァーチャルロワイヤル?

合戦でもするのか?

なんの気無しに落としてみた。
そこからはもう刺激的な毎日が続くことになった。


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