ふじみ野市医師ら殺傷事件の教訓 広島県にも「地域の医療と介護を守る条例」を

ふじみ野市医師ら殺傷事件の教訓 広島県にも「地域の医療と介護を守る条例」を

埼玉県ふじみ野市で2022年1月27日、患者の息子である渡辺宏被告人が鈴木純一ドクターらを猟銃で殺傷するという事件が発生した。

渡辺氏は、母親が亡くなった翌日、鈴木ドクターらを線香あげるために呼びつけた。そして、母親を蘇生させろと要求したが、断られたために猟銃を取り出し、鈴木ドクターを殺害、理学療法士にも重傷を負わせたほか、介護士(兼相談員)にも軽傷を負わせた。

さいたま地裁は2023年12月、渡辺氏に無期懲役の判決を言い渡したが、渡辺氏は殺意を否定して控訴した。

渡辺氏の主張は支離滅裂である。殺すつもりはなく、足を狙ったというが、足を散弾銃で撃たれても、出血多量で死ぬことはよくある。大体、散弾銃は、発射可能な状態に準備するのに時間がかかる。米国などでよくある拳銃を持ち出して、というのとはわけが違う。やはり、用意周到な計画を渡辺氏はしていたということだ。

渡辺氏の生活が苦しく、親の年金に頼っていたのでは?という話もある。しかし、親がなくなれば身寄り(扶養してくれる親族のない)のない渡辺氏は生活保護を申請すればいいだけのことだ。渡辺氏の生活が苦しいのはお気の毒だがだからと言って人を殺していい理由にはならない。渡辺氏が控訴をされたこと自体は、日本国憲法に保障された人権であるので尊重する。

だが、しかし、正直、1人の現役介護福祉士としては、渡辺氏の身勝手な理屈にははらわたが煮えくり返ることも表明しておきたい。

筆者も現役の介護福祉士として渡辺氏のような、理不尽な要求をする利用者のご家族に遭遇することは残念ながら少なくはない。

そういうご家族と遭遇してしまうと仕事にならなくなる。

場合によっては渡辺氏のように暴走するのでは?と思わされる方もおられ、ヒヤリとすることもある。

残念ながら、今の年配者は昔の年配者と違って感謝の気持ちとか少ない人も少なくない。お客様は神様、みたいなノリの方もままみられる。その延長線上に渡辺氏のようなモンスター患者(入居者)家族も現れているのだろう。

地域医療のしんどいところをやるドクターが少ないという。

それはそうだ。一生懸命やった挙句、渡辺氏のような患者や患者ご家族に撃たれてしまっては割に合わないどころではない。

口には出さなくても、そういうことが怖くて逃げるドクターを

責めるわけにはいかない。

広島県の湯崎英彦知事は、巨大病院を造りそこに最新鋭の機械を設置して若いドクターを東京から引き寄せるという。

しかし、そんなことで引き寄せられるドクターが、地域の医療のしどいところをやってくれるだろうか?

むしろ、地域の医療のしんどいところをやるドクターを優遇し、警察とも連携してドクターを渡辺氏のような方から守ることも大事だ。

県民の皆様にも知事が頭を下げて、適切な医療・介護の利用を心掛けていただくことが大事だろう。別に何をしろということもない、普通に礼儀を守ってもらえればそれでいいのだが。

渡辺氏による事件を教訓にふじみ野市では「ふじみ野市地域の医療と介護を守る条例」ができた。広島県でもぜひつくりたい。
ふじみ野市地域の医療と介護を守る条例/ふじみ野市 (city.fujimino.saitama.jp)

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