見出し画像

伝えるボードゲーム〈メディアボードゲーム〉という新しいボードゲームのあり方

こんにちは、ボードゲームの人、山本龍之介です

普段は、ボードゲームクリエーターとして、企業用のボードゲームを制作しています。自社サービスをより理解してもらうためのボードゲームだったり、その会社の達成したい世界を表現したボードゲームだったり、学習用のボードゲームだったり。

そんなボードゲームを作っていると、ボードゲームの新しい可能性についてより考えるよになりました。ボードゲームはただの遊び道具ではなく、何かを伝える媒体(=メディア)になりうるのではないか。楽しく、でもしっかりと内容を伝えるメディアとしてのボードゲームという在り方があるのではないか。そう思うようになりました。
(遊び道具としてのボードゲームに意味がないわけではないです。むしろ、ある意味、”無意義なところ”に遊び道具としてのボードゲームの尊さがあります。)

それが今回お話する、伝えるボードゲーム=「メディアボードゲーム」です。本noteでは、メディアボードゲームとはどのようなものなのか、そして具体的にはどんなゲームがあるのか、を書いてきます。

メディアボードゲームとは。

画像1

「メディアボードゲーム」は、ぼくが新しく発明したものではありません。これまでにあったボードゲームの中で、メディア的な性質があるボードゲームをぼくがまとめただけです。

しかし、『メディアボードゲームとは。』といっても、特にそんな大それた定義はありません。しかも、明確な線引をすることもできません。ただ、「これはメディアボードゲームっぽいけど、メディアボードゲームではないな」という注意したいポイントが3つがあります。

└1:テーマではない。

まずひとつ目は、「伝えたいこと」と「テーマ」は違う。ということです。

例えば、カタンというボードゲームがあります。
これは、無人島を開拓していくというテーマなのですが、これはメディアボードゲームではありません。このゲームでも、多少は無人島開拓の方法がわかる(?)かもしれません。しかし、カタンの作者はコレを伝えようとしているわけではありません。

カタンは極端ですが、ちょっとお勉強とか学術的なテーマだと、メディアボードゲームかな?と思われるかもしれません。でも、その内容を伝えたいという目的かと言われれば、そうではありません。テーマが勉強っぽいだけでは、メディアボードゲームではない。これが1つ目の注意点です。

└2:シュミレーションではない。

メディアボードゲームというと、ビジネスやSDGsなどをテーマにしたものが頭に思い浮かぶかもしれません。しかし、世のビジネスゲームはほとんど、個人的にはシュミレーションツールかなと思っています。

カードを使ったり、ゲーム風の見た目になってはいるものの、ほとんど楽しくない。ゲームとは、楽しさをデザインしたものです。あるビジネスや状況を伝えたくて、その表現はうまくいっているもの、楽しさ要素がなければそれは、メディアボードゲームではなく、ただのシュミレーションツールなのです。

└3:結果的に学べる、ではない。

メディアボードゲームで、もうひとつ思い出されるのは、「勉強になるゲーム」と言われるものです。これもメディアボードゲームではありません。

例えば、神経衰弱をすれば、記憶力が鍛えられる!すごろくをすれば、確率計算ができる!からといって、それぞれはメディアボードゲームではありません。

結果的に、勉強できたり、学べたりしても、学ばれること自体を目的として作られたゲームでなければ、それはメディアボードゲームと呼べません。


メディアボードゲーム5選!

それでは、最後に実際どんなボードゲームがメディアボードゲームなのかを具体的に挙げていこうかと思います。この他にもたくさんあるとは思います。しかし、ぼくがこれはメディアボードゲームだなと思ったものを挙げてみました。

モノポリー

画像2

言わずとしれた、有名なボードゲーム、モノポリーです。すごろく状に配置されたマス目の土地を買っていき、他のプレーヤーが自分の土地に止まったら、通行料をもらえて、それを拡大してお金を稼ごうというゲームです。

これがメディアボードゲームだ、というのは少し意外と思われるかと思います。しかし、このゲームは実は、最初につくられた目的が「強者による、市場の独占の反対」なのです。当時はそれを主張するようなルールになっていました。しかし、その後、ルールが変更され、皮肉にも現在のような資本主義を是正するかのようなルールになりました。


コレイカ

画像3

これはあまり知られていないゲーム(ぼくも遊んだことはありません…)ですが、メディアボードゲームです。

これは、社会主義時代末期のポーランドがテーマのボードゲームで、社会主義国家の中、なんとかして商品を手に入れようというゲーム。

これを制作したのはポーランドの公共機関で、社会主義の時代の苦難を若いポーランド市民に教えることが目的だそうです。


マーケティングタウン

イメージ画像のコピー-min

マーケティングタウンは、経営視点を体験することが目的のボードゲームです。自分で作ったゲームをここに出すのは、少し引け目を感じますが、れっきとしたメディアボードゲームなので、挙げさせていただきました。

プレーヤーは経営者となって、仮想の街で店舗経営を行い、営業利益の最大化を目指すというゲームです。このゲームは、プレーヤーの行動がマーケティングフレームワークの”4P”と”3C”に沿う行動になるように設計されています。それにより、プレーヤーは知らず知らずのうちにマーケティング視点や経営視点を持てるゲームになっています。

ロボットタートル  コードマスター

画像5

画像6

これらは両方とも、プログラミングの基礎を学ぶためにつくられたボードゲームです。どちらもゲーム性はほぼおなじで、スタートから目標までの道のりをパズルのように組み立てていく、というゲームです。

小さい子むけのゲームですが、レベルが上がれば大人でも難しかったりします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上、メディアボードゲームについてでした。

今後、ぼくはこのメディアボードゲームをどんどん作ります。ビジネス、哲学、健康、その他大切だけど、勉強するのしんどいことを片っ端からボードゲームにしていきたいと思っています。

メディアボードゲーム作ってみたい!思われた方は作り方をnoteにまとめていますので、ぜひご参考にしてください!


それでは皆さん、より良いボードゲームライフを!

大切にボードゲームに変換させていただきます。