天珠 Dziビーズの話 Part 1

チベット天珠の話

天珠の業界は情報や価値観など、かなり混乱していますので、私なりに整理して記述したいと思います。

まずはチベットに古くから伝わる文化である古天珠。
これは1000年以上前の品物です。
アジア圏のみならず海外の富豪の方々がコレクターとして必死に探されて収集された結果、現在ではこの古天珠は物自体がありません。
取引額は日本円に換算すると一個当たり数千万円〜億の単位だと伝えられています。

ですので、1000年以上前のチベット天珠が、どこかで見つかったり出土したり、数十万円で販売されていたりした場合は販売されている方が、何か間違っていると思います。

ここまでは単純な事実ですので、あまり反論は少ないと思います。
問題は1000年以上前の天珠以外の、その他の天珠の価値です。
ここからは、天珠メーカーの思惑、販売されている方々の利害関係によるバイアスのかかったトーク、それを取り巻くコレクターの方々の埋没費用などの心理(今まで自分が収集した天珠の価値に間違いがあるはずないとの心理)が、それぞれ影響し合って混沌としている様子が見てとれます。

まずは数百年前の清の時代の天珠に関してですが、その当時は天珠が大変盛んに作られた結果、天珠の原料の瑪瑙などの天然石が足らずに西洋から樹脂を取り寄せて、樹脂を使った天珠を作る技術を確立させたと伝えられています。
料科器と呼ばれる天珠は樹脂で作られていることが多いです。そして見た目もかなり素朴な作りが多い上に樹脂で作られていることから、現代でも模造品が安いコストで作られる可能性もあります。

次に現代天珠の有力メーカーの作った天珠に関して記述します。
大変貴重な瑪瑙を用いて完成度の高い美しい天珠が作られています。
有力メーカーさんの作ったいくつか素晴らしい天珠は日本でも石の博物館に展示されることもあるほどです。
私も鑑賞していて、素晴らしいなと素直に感じます。

冷静に見ていきたいのは、これらの有力メーカーさんの現代天珠を扱う日本国内の業者さんが作った価値観です。
良質な瑪瑙を使用して作られた完成度の高い美術品のような外見の天珠以外は、すべて三流品だとか、もしくは偽物だと決めつける考え方には一歩引いて見ていく必要があります。

先ほど、数百年前の天珠の原料は良質な瑪瑙どころか天然石ですらないという話を記述しましたが、歴史あるその当時の天珠が原料が乏しく樹脂で作られている事や見た目の素朴な外見だけの理由で無価値だと断じるのは、偏った意図や価値観になってしまうと思います。

また現代天珠の有力メーカーの幾つかは台湾にあります。
ですので、有力メーカー以外の天珠は偽物だと、もし主張される業者さんがいらっしゃるとしたら、そもそもチベットから遠く離れた台湾で作られたチベット天珠はどうなりますかとの、話の展開になってくるのではないでしょうか。

そして更に価値観が混沌としているのが、数十年から100年程度しか経過していない天珠です。
一部にはチベットの僧侶や民間で家族代々伝えられた天珠もあるかと思います。
それはただの中古品じゃないかと言う声がある一方で、チベットで受け継がれた天珠なので台湾で作られた立派な現代天珠より、はるかに価値があるのではないかとの見方もあります。

こうなりますと、1000年以上前の天珠は大変高額で今では物が無いという事実は冒頭に記述しましたが、それ以外の天珠はすべて収集される方の価値観に委ねるべきではないかとの考えに至ります。

数千万円〜億の価格が付く天珠から比べたら、その他の天珠は価格的には遠く及ばない、どんぐりの背くらべ的な状況ですので、販売者が論争、対立するような必要があるでしようか。。

少なくても、日本国内の天珠販売業者は自分の取り扱っている天珠だけ本物で他は偽物だとの主張や態度は控えるべきだと思った次第です。

続く

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