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広場の機能を考えました


毎週水曜の早朝(7〜8時)に行っている、文化雑談会「トーキョーアーツのれん会」の話題を共有するnoteです。
前回は、舞台芸術の制作会社syuz’genさんのオフィスで行いました。
※今後の予定やおすすめ書籍の案内は最下部にあります。

◎syuz’genさんにお邪魔して。
syuz’genの谷さんから簡単に会社の説明をしてもらいました。
syuz'genさんは、舞台劇術の制作や広報をワンストップで受けられる会社として運営していて、昨年から今の事務所に引っ越してきた。豊島区の東アジア文化都市の制作などを請け負っており、昨年度までは東京芸術祭の制作も担当してしていた。
自社のWEBサイトなどを持たずに活動しているということ。
同じ事務所で運営しているExplat(アートマネジメント専門職にむけて、人材育成/雇用環境整備、就労支援などを行うNPO)のWEBサイトをご紹介します。

◎茨木市文化振興財団から落合さんが初参加!
大阪から茨木市文化振興財団の落合さんが初参加。
2013年から大阪に移住し、堺市民会館などで働いた後、昨年から茨木市市民総合センターで働いている。茨木市は北摂地域(大阪と京都の中間)にあり、周辺は高槻、枚方、豊中など。枚方も茨木も市民会館建替えの時期だということでした。この建替えについての茨木市の基本構想(案)がアップされていたのでシェアします。
市民の対話を軸に、キーワードを抽出するような形で作られていて興味深いです。ただ、「憩い」や「賑わい」をフィーチャーしすぎると、全国どこにでもあるものになってしまう気もします。その土地にしか無い文化と出合い、アートを通じて新たな驚きが生まれていくようなことへの視点も必要かもしれません。
個人的には、今後の検討の過程で「文化政策」のあり方も含めて議論を深めていけば、さらに良い場が生まれるかも知れないな感じました。
▼茨木市市民会館跡地エリア活用基本構想 (案)(PDF)
http://bit.ly/ibarakikoso

◎京都SUSHI劇場
関西圏といえば、京都SUSHI劇場の閉館(休演?)も記憶に新しく
これはこれで試行錯誤の一つだと思うのですが、2025年の万博やインバウンド客、ナイトタイムエコノミーなどを志向するエンタメ界と、住民志向の地域文化施策の間の溝が広がってしまいそうだなとも感じました。一方で、アジア諸国からのインバウンド客は「まちの普通」を求めるような傾向も見られ、今後「観光」を都市における主要産業としていくのであれば、日常の文化の個性や質感を大切にするという視点も欠かせないのではないかしら、とか考えました。

◎公共文化施設は開かれているか?
のれん会常連のウエノさんは、水戸芸術館の企画「アートセンターをひらく」のなかで、「ニアイコールの記憶」(砂連尾理)が良いといいます。来年まで月1回の予定でワークショップを行い、発表するかどうかも何も決めずに進めている。それが気楽で、企画展の中には、カフェがあったり、親子連れが和んでいたり、という空間になっていたそうです。それが、昔の江東区文化センター(東京都江東区東陽)のイメージを思い出したそうです。(ちなみに私の最初の職場です)

そこから、公共文化施設は開かれているか?という話題になりました。
複合型施設だと、いろんな目的の人が来るので賑わっているが、ホール単体だと公演をやっていないときはゴーストタウンのようになってしまうことも多く、私が20年近く前にNYのリンカーンセンターを訪れたときには、使っていない時間のホワイエでレストランがランチを提供していたなんて話もしました。

落合さんからは、茨木市が社会実験(新しい施設に芝生広場を作ったとして、ほんとに市民が活用できるの?)のため、一時的な芝生広場を整備し、
(ただし、芝生は地元カントリークラブからの寄付、芝はりは市民公募)
市民WSを開催し、広場で何やりたいかアイデア出しをして、あとは市民主体でイベント実施したという話題が提供されました。WS後にもいろいろアイデア出て、イベントが増えていったということです。(朝晩の芝生への水やりは、市職員が交代でやっていた。)
▼IBALAB(イバラボ)市民会館跡地エリア育てる広場プロジェクト(WEB/FBページ)

久しぶりに参加の本間さんは、最近NewsPicksで「シェアリングエコノミー」の話題が出たが、広場がないこと、祭りが減っていて、人のつながりが希薄になってきたことなども含めて、シェアリングエコノミーがなかなか普及しないのではないかと話しました。そこから、富山で百貨店と駐車場の間をつなげて広場を作った「広場ニスト」山下さんの話題などに広がりました。


◎人間であるための広場
セゾン文化財団の福冨さんからは、最近読んだ「サピエンス全史」では、人類がなぜ文明を持ち得たか?という問いに対して、人間はアイデアをシェアできるが、猿にはできない。一人(人でも猿でも)で関係を作れる人数の限界は150人程度だが、人間の場合はその集団をかけ合わせて×2,×3,×4と大きな共同体を作れる点が他の動物にない特徴で、協力できるのが人間のちからだと指摘しました。広場は、まさに人間が人間である特徴を活かすのに最適な場なのかも知れませんね。

◎キラリふじみのひらき方
谷さんが携わっていた、活動も紹介。東京デスロックの多田淳之介さんがキラリふじみの芸術監督で、ACT-F(リージョナルカンパニー)を作り、多田さんからは目標を設定せず、市民が自らやりたいことを実現していくというコンセプトで行っていた。(3年間)誰かのやりたいことを、色んな人が協力して作っていく。月に1〜2回の集まりをやっていた。具体的な広場ではないが、機能としての「広場」を作っていくようなことで、3年の事業は終わったが、人のつながりは残っている。

◎ソフト・ハードだけでなく、OSも
私がいわきアリオスにいた頃に立ち上げたアリオス・プランツ!という活動も少し紹介しました。
これは、公立の巨大な文化施設ができても、一部の文化関係者のもので自分には関係ないや、という事にならないうように、少しもやもやしている人たちに積極的に声をかけて、一緒に事業を進めるものでした。その考え方として、コラボレートしたアーティストの藤浩志さんから「OS」としての文化施設、というコンセプトを出してもらい、ハードとソフトという既存の考え方にOSを取り入れて、それをオープンソース化し、市民と施設との新たな回路を作っていったという話をしました。そこから、現在のいわきアリオスでは、ちょっと変な活動(笑)も含めて、市民協働や街なか連携の企画が続いています。
▼いわきアリオスのプランツ後の様々(ブログ)

◎パフォーマーも集まりました
久しぶりにご参加のパフォーマー本間さんは、所属していた「白A」を退団し、今後はビジネスの分野でも活動されるということ。200カ国の国歌を現地語で歌えるという稀有な才能も含め、今後の活動が楽しみですね。


また、ヨガインストラクター/ダンサー鈴木清貴さんが初参加。
4/27(土)に代官山の美容室代官山の美容室reunirで即興パフォーマンスを企画するとのこと。

同じくダンサーの藤平真理さんは主宰の「ダンサンブル」について、やってみたいけれどどう踊っていいかわからないという人がいたので始めた。クラスで教えることの限界も感じつつ、広場で自由にやることも考えているとも。

生協の前田さんは、自身も携わる活動「O!moro Life Project」も広場的で、スポーツ的な取組みも、だれでも参加できる形で発生させていくことを考えている、クローズじゃないことで広がると言います。

などなど、今回も書ききれていませんが、主に「広場」というキーワードで話題が進んだのれん会でした。

2019.4.3 @syuz’genオフィス 12名参加
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【今後の予定】
4/10 PUBLIC HOUSE 渋谷
4/17 両国門天ホール
4/24 PUBLIC HOUSE 渋谷
5/1 GWでお休みします
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—今月のおすすめ書籍—
はじめての沖縄
岸政彦 (著)(よりみちパン!セ) 

一言コメ:以前紹介しましたが、岸さんがSNSで紹介していた↓この記事がとても良く、再掲します。
(不覚にも電車内で泣いてしまいました。花粉症の季節でよかった…)

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