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episode1(前編)_TOBIRA

チームミーティングを終えてからというもの、「LIFE IS NOT END(仮)」の完成に向けて追い込みをかける日々が始まった。
個人的な作曲方法として重要なのは、曲の種となるデモが出来てから とにかくいろんな環境でその音を聴いてイメージを膨らませる段階。
電車や車の移動中、街の雑踏の中、近所の田園風景にて、などなど様々なシチュエーションで音と言葉のミックスポイントを探す。

ずっとパワーワードとして脳裏に焼き付いていたのは冒頭歌い出し

"誰もが生まれてきたくって 生まれたわけじゃないから"

という部分だった。
これまで音楽活動の中でライフソングを書き続けてきたが、
僧侶になり 生命のことについてより深く見つめるようになったこの5年。
仏道を歩む中で学びをいただき、ずっと大切にしてきた感覚がある。
この世に自分の力でもって「よーし、生まれてこよう!」と誓いを立てて生まれてきた人は一人もいない。
皆、誰しもがいただいた"いのち"なのだということ。
分かってはいる。
分かってはいるんだけど、
正直生きることって大変なことの方が断然多いから、運命を恨んでしまったり、
現状に満足出来なかったりしてしまう。
巡り会いの中で生きているだけですっげ〜ことなんだけど、当然その小さな奇跡は当たり前になっていき、迫り来る日々の不安や不満と対峙し続け、死への恐怖をあからさまに遠ざける。

いつだって僕が歌いたいライフソングは、ついつい当たり前になってしまう感動や小さな奇跡へのリアクセスだ。



「LIFE IS NOT END(仮)」の作曲DAYSと時を同じくして。
3月(2023年)から始まった「TOBIRA」というライフプログラムに参加した。
グリーフケア・スピリチュアルケアに関連する活動を始めたい方が集う場だ。
僧侶の仕事として携わっていく分野なので、はじめは自己研鑽の気持ちで門をくぐったが、想像以上に大きな心との出逢いが待っていた。
それは過去に追いやってきた自分自身との対面であった。

まずこのプログラムは、参加者それぞれが自らの心の現状を確認し、素直なライフヒストリーを書き起こし、語り合う。
感じたことを伝え合い、課題を見つけたり希望を語り合ったりして、むやみに答えを出したりすることなく、ただただ対話を続けていく。
それぞれの人生が凄みを含む濃さで言語化されていく中、生まれてはじめて僕は「ケア」という言葉に向き合った。

誰かの人生に寄り添いたい。
寄り添える歌をうたいたい。

僕自身のケアとの出逢いはシンガーソングライターという行為自体にあったのかもしれない。

語りを進めていく中で気付いたことは、
まず誰かの人生に寄り添う前に、
自分自身の人生と向き合い、しっかりと寄り添う大切さ。
見てきたようで見ようとしていない、見つめたくない自分自身の過去や痛みともう一度出逢い直すこと。

ここでの学びが、気づきが、
書き続けていた「LIFE IS NOT END(仮)」へ大きな影響を及ぼすことになった。

まだこの想いたちをまとめるには早い。
今一度、心の声を訪ねに行こう。

新しいTOBIRAがひらく瞬間。

プログラムの卒業間際に見たこの作品が、本当に沁みた。



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