不幸じゃない不便なだけだよ⑤

周りの目

補聴器の取り扱いについて、親身に話を聞いてくれて、しっかり対応してくれている保育園にはほんとうに感謝していた。そして装用開始して2ヶ月頃に保育参観日。

補聴器をつけていること、言葉が出ずワー、キャー言うこと、周りの人たちに取ったら
気になってしまうのだろう。父兄からの視線が痛かった。だけれど活動中は周りの様子をよく見ているからなのか、ついて行けてない感じでは無かった。
他人の目なんて気にしないで頑張って行こう。目が悪い人が眼鏡をかけるのと同じだと思って行こう。

小さいけど大きい

補聴器装用を開始してから3ヶ月頃、仕事から帰り、リビングへ行くと、おチビがお気に入りのミニカーで遊んでいた。

「ただいま!」と、声掛けると、ピクッ!と反応し、「ぷぁぷぁ!」と笑顔で返してくれた。(いいぞいいぞ!聴こえてる!)

月イチで、大学病院に通い調整する。やっと合ってきたのだろうか。外出時に、姿が見えなくなると、
「ぷぁぷぁー、ぷぁぷぁー」と、
一生懸命声を出して呼んでいた。
小さいけど大きな変化だ。

教育相談

大学病院からの説明の中に、聴覚支援学校での教育相談の話があった。 正直、気分が乗らずしぶしぶ行った感じだった。

実際行ってみると、子供の事と言うよりは、親に対しての教育だった。
子供に対してどういう接し方をしているか?言葉が通じない部分をどうしているのか?等普段の様子を聞かれたので、
子供の目線になり、通じなくても言葉で言う、それと同時に伝えたいモノを見せたり、絵カードを見せたりしていると伝えた。それに関しては良い対応してますね!との事だったが、それでは足りない部分があると説明をされた。

生まれつき聴覚障害を持っている子は、先を予想する力が育っていない、例えば、玄関のドアが開いた音がした→誰かが帰ってきたのかな?→パパかな?お兄ちゃんかな?→パパだった!という考え方が出来ず、自分が見えていない世界を想像出来ないそうだ。

それを聞いた瞬間、色んな事が蘇って来た。
夜、寝る時にテレビを消す事も、灯りを消す事も嫌がる。保育園に行く前は機嫌が良いのに着いた途端泣く事。ちょっとした事で視界から親が見えなくなると必死に追いかけて来ること、全部、先の世界が想像できていないからだったのだ。
遊んでいるのに、どうして部屋を暗くするの?お出かけだと思ったら違うところに着いた!僕を置いてどこへ行くの?先が分からないから毎日不安でいっぱいだったんだろう。

親としてやれてた部分もあったけれど、全然分かってあげられて無かった部分が多かった。 でも話を聞きに行って良かった。 聞いているだけで、胸が苦しくて涙が出そうだった。
そして最後にこんな事を言われた。

生まれつき聴覚障害を持つ子供たちは不幸ではないんです。少し不便なだけですから、いっぱい愛してあげてくださいね。

もちろんです。

そして、この日から手話の勉強を始めた。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?