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[2023年版]無名の日本人ActorがアメリカでアーティストVISAを取得するまで②

3.VISA申請に必要な書類

前回のその①からの続きです。読んでない人はこちら

さてこの②では具体的にどんな資料を用意しなければならないのかお伝えしたいと思います。以下の資料がO-1VISAの申請に必要な書類です。

ここに挙げた6つの書類ですが人によっては6番のsupport letterや4番の仕事のスケジュールのサインは必要ない場合もあるかもしれません。この2つは最初に用意しておく必要はないので、弁護士と資料作りをしていく中で自分にとって必要かどうか分かってくると思います。

それ以外の1,2,3,5は絶対に必要ですし、これらに関してはアクターというジャンルに関係なくO-1VISA取得には必ず必要になります。では一つずつ説明して行きましょう。

①.自分の出演経歴を証明するもの

とにかく自分が過去に出演したもの、小さい役でもなんでもいいので映画、学生映画、TV、CM、モデル、舞台など全ての経歴を思い出せるだけ出して、そして出演した事が証明できるもの(映像、写真、クレジット)だけをリストに出してください。

とにかくググるんです。

そしたら自分の知らないところで有名ブロガーの記事になっていたり、有名な映画情報サイトに載っていたりします。あともし自分の出演した作品が国内外問わず映画祭にノミネートしていたり、賞を獲っていたりした場合はそれも申請に重要な資料になる可能性もあるので調べてください。

僕は主演で出演した予算もギャラもゼロの日本で作った自主制作の短編映画がヨーロッパにある小さい街の映画祭にノミネートしていた事を調べている中で知って、実際に資料として使いました。

また大きな作品のTVドラマの端役で出演していた作品があったんですが出演していたことを証明する映像を見つける事が出来ず、しかしテレビデータベースと言うサイトがあってそこに自分の名前だけですが見つける事ができたので証明できる材料として使う事もできました。

とにかく探偵になったつもりで徹底的に調べ上げるんです。あとはそれを弁護士に見せてどれが資料として使えるか、効果的か判断してもらいます。

ポイントは「これは使えないだろう」と調べている段階で自分で判断しない事。とにかく集めて集めて、あとの判断は全て弁護士に任せる事。

②.パブリシティ

文字通り新聞、雑誌、web記事などに自分自身の事が書かれているものを集めます。もちろん扱われた媒体の規模が大きければ大きいほど有力な資料になります。

注意する点は自分のことが載っている、自分の名前が載っていることです。

自分の名前や顔は載っていないけど自分が出演した作品が記事になっているというのは①に該当します。

この②がこの6項目の中で一番と言っていいほど重要で、ここが弱いと正直VISAの申請は無理でしょう。弁護士もこの②が弱い(最低でも5つぐらいの記事)状態では申請はしないと思います。それぐらい重要です。

ちなみに僕が弁護士を雇った時点では自分の記事というものはたった1つだけしかありませんでした。どうしたのかは後に説明します。

③.recommend letter

これはあなたがその業界でどんな人物なのか
同じ業界にいる著名な方、権威のある方から「この申請者は本当に優秀で凄いんだよ!」っていうお墨付きをもらう作業です。

移民局(USCIS)はこの推薦状を見た時に、「日本映画界でこんなに有名な人から推薦状をもらっているこの人は凄いに違いない。」ってなるわけです。なので今のうちから著名な方にゴマをすりまくって推薦状を貰える準備をしておいて下さい。

ただその二人の間に全く関係性が無く、ただ推薦状のサインをもらうだけではその推薦状の信頼性が弱くなり効果が落ちます。

ちなみにこの推薦状は最大で12通提出することができます。

④.VISA取得後の3年間の仕事のスケジュールと雇用主のサイン

これに関しては少し説明が必要だと思います。まずO-1VISAというのは最大でも3年間しか発行されません。そして移民局(USCIS)がVISAを発行する理由として

申請者には今後3年間アメリカでの仕事の予定があるから3年間働けるVISAを発行しますってことなんです。

1年先までしか仕事の予定が入っていなければ1年しかVISAは貰えないってことです。つまりVISA申請する際に最大3年のVISAが欲しければアメリカでの仕事の予定を3年間埋めていなければダメなんです。

例えばネイリストがO-1VISAを申請する場合、ネイルサロンの経営者がスポンサーでフリーランスとしてこの申請者を雇って3年間仕事を与えます。という仕事のスケジュールが必要ってことです。

これアクターにとっては絶望的ですよね。3年先までの仕事など入っているはずもない。僕がどうしたかは後ほど説明します。

⑤.スポンサーのサイン

おそらく全ての書類の中で一番重要と言ってもいいのがこのスポンサーのサインです。まずスポンサーって何かというと、色んな捉え方があるんですけど大きくいうと

申請者のアメリカでの雇用主です。

しかしスポンサーはVISA取得後、申請者のために何かをしなければならないという義務も責任もありません。条件もアメリカのシチズンであれば誰でもスポンサーになれます。
その辺の歩いているおっさんでもOKしてくれたら大丈夫ですし、日本人でもシチズンであればOKです。

じゃスポンサーに対して申請者はVISA申請の為に何をしてもらわないとならないのか。

まずはパスポートのコピーを貰わなければなりません。そして複数の書類へのサイン。その人が何者かを証明するもの。

そうなってくるとその辺のおっさんじゃスポンサーになってくれそうにないのが分かってきます。自分のパスポートを誰かのために移民局に提示するんですから、仲が良くてもスポンサーをお願いするのは結構ハードルが高くなるし、さらにアメリカは契約社会ですから膨大な資料にサインをするという行為自体を嫌がる人がほとんどです。

僕もずっとお世話になっていて僕の事情も全て分かっているアメリカ人にお願いしましたが申し訳ないけどそれには協力できないと言われました。
それぐらい重要な事なんだと理解できました。

そして更にスポンサーとしてふさわしいのは同じ業界にいる人がベスト。もし既にアメリカでのエージェントが決まっていればエージェントがなってくれるのが一番いいと思います。ちなみに僕のスポンサーはブロードウェイでプロデューサーをしている方です。

けど日本に居たらなかなかそういう人とのコネクションを作るのも大変ですよね。アメリカに住んでいたってそういう人と出会い、スポンサーになってくれる人を探すのは決して簡単ではありません。

じゃどうやってスポンサーにふさわしい人を見つけるのか。

⑥.support letter

これは何かというと用意した資料が事実だということを証明するためにもらうサインのことです。例えば申請者が海外でも有名な演出家のワークショップに参加したことがあって、その中でとても素晴らしい結果を残した。けどそのワークショップに参加した事も結果を残した事も何も証明するものがない場合に、その演出家から「この人は本当に素晴らしい演技を見せてくれました。」みたいなサイン付きのレターのもらう事で証明することができるわけです。けどこれは弁護士との資料作りの中で必要かそうじゃないか分かるので前持って準備することではありません。

どうですか?結構やらなければならない事があるんだな〜って感じましたか
しかしここまではまだまだ序の口に過ぎません。

さてざっとですが申請に必要な書類に関してだけ説明してきました。それ以外にもアクターとして申請するには他にもたくさん準備しなければならない事があります。ポイントは

あなたの事も日本の事も知識も興味もないアメリカ人に、自分がどれだけ凄いアクターでアメリカで働くのにふさわしい人物かを証明する事です。

それをいかに証明するか。そこは弁護士の力量も凄く重要になってきますがある程度経歴があってちゃんと準備すればVISA取得は不可能な壁ではありません。

有名で実績もある弁護士はたくさんいますが、正直僕はその人たち全てを信用していません。それは弁護士を探している時に、実績のある有名な弁護士事務所にPDFにまとめた自分の経歴を添付してメールで問い合わせしたんですが「あなたの経歴では無理です」という回答が返ってきました。

しかし僕は取得しました。僕の憶測ですが実績のある弁護士事務所の中には、日本でアカデミー賞を取っていて映画も主演作ばかりのまず審査に落ちることはないだろうというような人しかクライアントとして受け入れていないところもあると言うことです。

けど本当に力のある弁護士は不可能も可能にするぐらいの力があります。なのでもし数人の弁護士に無理だと言われても気にしないで下さい。あなたの経歴によっては抜け道がある場合もあります。また

これは秘密ですがO-1VISAだけがアクターとしてアメリカで働く道ではありません。

とんでもないこと言っちゃいましたが事実だから仕方ありません。もちろん違法じゃないですよ。VISAを取得した後に色々調べていて分かったことです。けどそれに関してはまた別の機会に話をします。次回[2023年版]無名の日本人ActorがアメリカでアーティストVISAを取得するまで③ではもう少し深掘りしていきます。



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