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自称陰陽師が消えない理由

以下は、Twitterで9月24日に呟いたものを、note用に再構成したものとなります。

なぜ、陰陽師を名乗りたがるのか?

前々から思っていた陰陽道や陰陽師について、書きたいと思う。 占い師が陰陽師カードを作ったり、スピ系が前世陰陽師と名乗って陰陽道セミナーをやったり、装束をまともに着れない奴が陰陽師を名乗ったりするのはなぜなのか?

そもそも伝説の存在となっていた陰陽師が、映画や漫画で一躍有名になったので、そのネームバリューを求めるというのも大きな要因だと思うけれども、やっぱり陰陽師は、現代に存在せずにその技法もほぼ知られていないというところが大きな理由なのだと思う。
だからこそ、適当なことをいっても、デタラメをやってもクレームが来にくい。
本物が現存していないんだから、当然と言えば当然。

これがきちんと伝承が続いている、密教や修験だと大きな団体からクレームがくる可能性もあるし、当然、現在でも様々な思想や技術が伝わっているので劣化しているとすぐバレる。
とはいえ、仏教の場合は、大きさの弊害もあって霊感詐欺婆とかが、仏教の皮を被ったりすることもあるので、肩書きだけで信用していいわけではないけれども、それでも、肩書きを詐称するためには、ある程度コストがかかるので、お手軽にはできない。

カッコイイ名称で承認欲求を満たしカルトへ誘う

それに比べると、陰陽道は、安倍晴明時代の技法は、豊臣秀吉に排斥されたこともあって、弾圧下でほぼ失伝していて、中世以降の陰陽道のベースとなった吉田神道も、現代では知る人が少ないので、結界や式神、四神などの漫画でお馴染みの名称を、適当技術につけて教えてしまっても問題ない。
適当技術にカッコイイ名称が付くのだから、学んだ人の承認欲求は満たされる。

とはいえ、名称だけはかっこよくても、適当な理論で、技術として裏付けのないものを学んだところで、当然現実はなにも変わらない。
この現実が変わらない部分を、仲間内で舐め合い始めるとカルトができあがる。変わっていないのに、周りから変わっていると言わせることで、ずるずるとそこから抜けられなくなる。
抜けてしまうと、無駄な物にお金を出して、なにも変化していない自分を認めることになってしまうから、まあ、当然だろう。

こうした諸々の要素がからみあって、陰陽師、陰陽道という概念はカルトの入口になってしまっているのが現状であり、非常に嘆かわしい。
もちろん、きちんと学術的な研究をしている人もいるし、吉田神道も民間に伝わったものを伝承している人たちはいるけれども、そういった人たち、すなわち本物の声は届きにくい、なぜなら、本物の技術というのは得てして地味なので、キラキラしたフィクションには負けてしまうのである。

陰陽道の技法はそんなに凄くない

僕としては、正直、陰陽道の技術というのは、唯一無二のものではないと思っている。平安時代の陰陽道で使われていた技術は謎のベールに包まれてはいるものの、そこまで高度だったかというと、あっさり失伝したところから考えても、そこまで複雑じゃなかったようにも思えるし、現在残っている資料からしても、色々な要素のごちゃ混ぜだった感じすらある。

一方で、中世の陰陽道の根幹をなしたともいえる吉田神道に関していうと、思想、技術ともに非常にシステマチックで高度で洗練されていると思う。
だからこそ、それを身につけるためには、しっかりとした修行をする必要があるし、さまざまな知識も必要になってくる。
吉田神道の初伝から奥伝にいたるまでの、技法の変容とかは本当によく考えられているが、これは一朝一夕で身につけられるものでもない。

厨二が憧れるだけでなく、アンケートによると陰陽道で一番人気を得た、式神に関しては、最もフィクションのイメージに近いといえる、ケイオスマジックのServitorは洗練されつつ、ある意味お手軽に作られるようになっている。もちろん、手軽なので危険性もあるし、妄想だけになる可能性も高いけれども、スピ系の妄想よりは、真剣にやれば活用できる。 本格版としては、密教の護法や道教の鬼神などもある。
このあたりは、別記事で書いたので、興味のある人は下記から読んで欲しい。

結局のところ何を言いたいかというと、現代の陰陽師というのは、飲食業でいうところの「SUSHI」みたいなもんで、本物とはかけ離れたお手軽スナックで、それを求める人に提供されるものになっている。
そんなバッタモンが好きな人はそれでいいけれども、日本には本物の寿司屋がちゃんとある。

魚という素材にこだわるなら、シンプルながら技巧を凝らした和食もあるし、カウンターの寿司屋が敷居が高いならば回転寿司だってある、バッタモンを食べて満足するよりも、最低でも回転寿司を選ぶ方がいいんじゃないかな?  

と、フュージョン料理的な僕がいっても説得力ないと思うけど、僕が感じた陰陽道問題について語ってみた。

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