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【M&Aニュースの裏側考察】ドコモによるマネックス証券の子会社化

ドコモは、自社ユーザー基盤を活用して非通信事業を伸ばすという積年の課題に直面しています。

そのための一つの打ち手として、ドコモによるマネックス証券の子会社化が公表されました。

取引スキーム図は以下のとおり。

🔽マネックスグループのプレスリリース

ドコモ・マネックスの狙い▶▶▶

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✅初めての方にも手軽で簡単な資産形成サービスの提供

✅NTT ドコモとマネックス証券のデータを活用した一人ひとりへの最適な商品の提案

✅NTT ドコモのメディアやドコモショップを通じた投資情報・金融教育サービスの提供

✅AI によるお客さまサポート

✅STO(Security Token Offering)等の次世代金融商品の取り扱い

このうち、実際に事業としてお金になりそうなのは、✅NTT ドコモとマネックス証券のデータを活用した一人ひとりへの最適な商品の提案だと思います。

JV化のリスク▶▶▶

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このスキームの弱点としては、取締役の過半数は確保しているものの、保有割合は49%にとどまっているため、ドコモとして経営の自由度が低い(※)点が挙げられます。

(※)定款変更や増資・M&A承認など、企業再編上柔軟なストラクチャリングを承認する権利がない

通信系列の証券会社と比較するとドコモの持分は低いです。

ソフトバンク:SBI証券(100%子会社)
楽天:楽天証券(80%)

このスキームだと、おそらくマネックスが経営の重要事項について拒否権を持っているので、両社で経営の方針に違いが出てしまうと、経営が前に進まないリスクもあります。

JVにすると経営がどこに飛んでいくかわからない

これをドコモもわかっているはずですが、今のスキームがとりうるオプションのなかで最善だと判断したものと推察します。

(参考:持ち分比率別の株主の権利)

持分比率別の株主の権利

参考記事


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