愉快ジン#32

最近仲の良い大学生の後輩がいる。
日曜日は決まって「こいつ」とご飯を食べに行く。
先に言っておくが「こいつ」は決して見下しているからではない。そう呼べるほど仲が良いということである。
第一印象はとにかく感じ悪くて苦手なタイプだった。ダボダボの服装に黒髪くるくるパーマ。目は隠れてるし、指に大きなリングを付けてるし、苦手なハイブランドの服着てるし、いかにもスカしてる雰囲気だった。話しかけても人見知りなのかスカしてるのかわからない人あるあるの「おっす」と返事してくるし。とにかく苦手だった。しかし、こいつと意気投合することになる。というのも、田舎では珍しいファッション通。話の通じる人が現れただけで嬉しかった。それに映画、ドラマ、アニメ、ゲームなどなど知識が豊富。極めつけは7歳差ではあるが、誕生日は5月3日で同じだし、B型だし、なんと名前も同じである。ここまで共通点があると仲良くなれない理由がなかった。ちょっと子生意気な性格も気を使わなくて済むから何かと都合がいい。昔からそうだが、第一印象が苦手な人ほど後になって仲良しな人が多い。元から評価が低いからそれから加点していくしかなくなるからだ。必然と「実は良いやつ」というイメージになる。
最近はお互いが影響を及ぼし合ってる存在なんだなと感じる。僕が紹介したファッションブランドはすぐ調べるし、スマホにビックリマンチョコのシール2枚貼ってると真似して2枚貼ってくるし、気になった韓ドラはすぐ見るし、スタバで勉強してると伝えるとスタバで勉強しはじめたし、挙げるとキリがない。逆に知らないブランドについて教えてもらえるし、色んなサウナ情報を教えてもらえるし、こちらも挙げるとキリがない。
いまは「メルカリでどんなものが高値で売れるか」を話し合うのがとにかく楽しい。
だけどお互いのエリアに入り込まない気遣いができるどころもこいつの良いところ。あくまでも一緒に買い物に行ったり、映画を観たり、勉強したりすることはない。日曜日に職場でベラベラ話して一緒に昼食を食べてまたベラベラ話して帰るくらいが丁度いい。この距離感だからこそ生まれた信頼もあるんだなと思う。
彼ももうすぐ就活である。こう見えて公務員志望というのが驚きである。見た目は安定なんて求めてなさそうな風貌なのに。僕みたいに冒険しないところが違うところだなと感じる。あ、その割には食事は毎回違うところを調べて行こうとする。僕はひとついいなと思ったところをずっと通うタイプである。そう言った部分は僕が安定してて彼は冒険しがちである。
僕みたいに「就活ヘアーって何やねん」って擦れた感情を持たずに就活に臨んでくれたら嬉しい。そしていつか役所の人間として僕とズブズブの仕事仲間になってくれたら嬉しい。

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