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岡山倉敷で語った日本の未来の形「イケてる開疎空間」の本質。

どうも瀬戸内サニー株式会社代表でYouTuberのサニーです。先日岡山県倉敷市で「高梁川オープンイノベーションフォーラム」が開催されました。

基調講演はマッキンゼー、Yahoo!Japanを経て、慶応義塾大学 環境情報学部教授であり、Zホールディングス株式会社シニアストラテジストの安宅和人さん。

テーマは「残すに値する未来について考える」ですが、安宅さんの書籍「シン・ニホン」はコロナ直前に発売され、まさにwithコロナの時代にあった内容で話題になった書籍ですが、コロナから3年が経ち、どういった思考の変化や社会の見方をされているのか興味を持って聴講しました。

ChatGPTから見る「Singularity is near」

以下安宅さんの言葉です。冒頭では、今話題のChatGPTの話から、改めて今後も続くwithウイルスについて最初語られてました。

「時代の局面をどう捉えるか。世界中のサービスでMAU(月間利用者数)が1億達成までTikTokが最速で9ヶ月だった。だけど、ChatGPTが1億人のMAU達成までにかかった時間は2ヶ月。ChatGPTはアイディア出し、商品名の案だし、タスクリストの作成、結婚式の二次会の案内文も作れちゃう。」

「Singularity is near。人間技術の力によって、生物学的な限界を超越することが起こってくる。エンジニアとそれ以外の垣根は急激に小さくなる。AI×データを使い倒すことは本当に読み書きそろばんになる。」

「withコロナじゃなくて、withウイルスで考えないといけない。永久凍土地帯でのクレーターの多発で昔のウイルスが出現している。シベリアの村では炭疽菌菌で人が亡くなったりしてる。ウィズウイルスはずっと続く。」


日本の未来は「開疎化」にある。

ここからが本題なんですが、今後も長期でパンデミックが来ることを考えると、「開疎化」が日本の未来を作ると安宅さんはいいます。

「人類が発明した都市空間自体が開疎化するべきだと。今地方がやるべきなのは、DXではなく移住なんです。」

面白い発想だなあと思いました。確かに今地方でやっているDX事業はDXが目的化してしまっているのが現状です。先日とある自治体から相談を受けました。東京のDX系の民間企業がデジタル田園都市構想関連の予算を使った提案をしてきたんだけど、裏どりをして欲しいと。内容を見て周りのIT業界の友達と裏どりをしたんですが、実態が怪しいDXの会社が入っていて、数億円使ってツギハギな地域アプリを作るという酷い有様でした。このままだと単純にDXを謳い文句に地方の間違った都市化、テクノロジー化が進むと僕自身も危惧しています。

その中で、安宅さんが提言する開疎化することで「風の谷」を作ろうというプロジェクト。「都市集中型の未来に対するオルタナティブ」をテクノロジーを賢く使い倒すことで作り上げていこうという運動論は非常に興味深いです。

「よくある誤解なんですけど、都市vs疎空間じゃない。イケてる開疎空間をつくる。開祖で美しい都市空間が「風の谷」の考え方なんです。」

「一方、Smart City1.0は世界では失敗に終わったと言われています。単なるデジタルを突っ込めば上手くいくと思っているのは間違いなんです。」

「長期でパンデミックが来ることを考えると、都市空間自体が開疎化するべき。例えば、アメリカのTanglewoodは開疎な都市的空間だ。」

以下、「風の谷」のHPにも掲載されているイケてる疎開空間のポジショニングマップ。今でも都市から人が離れられない理由は、お店が多いとか、便利だとかではなく、「ダイナミックな知的生産/多様な集まりと出会い」に集約されていくからこそ、それが地方でも成り立つようになれば面白い。(個人的には地方都市の方が資本主義とは違ったダイナミックな知的生産ができるのになあと思っている派です。)

このお話を聞いていると、徳島神山や香川三豊のような地域はまさにイケてる開疎空間を作っていってるなあと思います。

風の谷HPより転載

Pandemic-ReadyかつDisaster-Readyな空間

「これから何が起こるかというと、2100年には東京最高気温43-44度に、台風の最高風速も90M(民家が吹き飛ぶ)を超えるようになる。また、東京は一見頑丈そうに見えるが、水没の可能性が極めて高い。地下鉄の大多数は沈むんです。だから、Pandemic-readyかつDisastar-readyな空間を作る必要がある。」

「平和の定義が変わった戦争がない状況ではなく、感染症なども含めて災害が起こらないのが平和な状況。その観点で言うと、日本の準備状況を考えると、公をあてにしすぎず、Disastar-Readyをしておく。」

「人類としての手詰まり感がないようにする。単なるデジタルが解決してくれるのか?そうではない。Socisty5.0とESGの交差点こそ今注目すべき。環境負荷を下げる経済成長。Sustainablility、Biological Diversity、Resiliency。」

「一方で、疎空間をつくるにあたって課題がある。全国自治体の1人あたりの歳出が多くなる。水道電気だったり1人あたりのインフラコストがめちゃくちゃかかる。風の谷的な疎空間と都市は補完関係にあるので、そこで補完し合うことが大切。」

開疎空間の例:Lake District, England, UK national park

「圧倒的な空間かちの基礎要素は、十分に疎であり開けていること。また土地自体が価値ある空間。」

開疎空間の例:Woodstock, VT, USA(人口3000人)

疎空間での文化創造問題

「人類史上、完全な疎空間で文化が生まれたことはない。文化的な求心力がどのように生まれるか?を考えた時に日本で最も成功した「谷」は渋谷/代官山。多様で面白い人たちが集まっている。」

「一方で、疎開空間には土地の記憶を持ちながら味わいのある空間、土地の重層的な記憶を生かすことができる。また、負の遺産こそが価値を生む道もある。例えば李禹煥美術館にある作品(元産廃の施設)や犬島製錬所。」

「僕らはどんな未来をこれからの世代に残したいか?未来は目指すものであり創るもの。(終)」

基調講演のあと、面白法人カヤック柳澤大輔さんやSetouchi Startupsの山田邦明さん、経済産業省の富澤由佳さん、Spiber株式会社枡野恵也さんのトークセッションがありました。「アイディアを聞く文化づくり」や「5人異人を集めることでまちづくりは進む」というお話は非常に興味深かったです。

書くと長くなるのと、ファシリテーターの枡野さんの話がアクロバティックすぎて全部持っていいった感があったのでこの辺で(笑)ちゃんちゃん。


写真提供(運営):株式会社クラビズ

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