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12/9『なぜ日本は原発を止められないのか?』文藝春秋発刊 テーマ 『〜ジャーナリスト・原発被害者・市民の視点から〜』ゲスト: 青木美希さん 森松明希子さん 報告レポート


今回のイベントは、森松明希子さんの第一報から企画が始まりました。

森松さんは、福島県在住中に東日本大震災及び福島原子力惨禍に被災され、12年前に、 0歳と3歳の2児を連れて大阪へ国内避難(母子避難)されている方です。一昨年、「災害からの命の守り方」という本を上梓された時に、隆祥館書店でイベントもしました。




その森松さんが、「青木美希さんの本が出ます。ぜひ読んでもらいたいです」と連絡を下さいました。
一読して、これはぜひ多くの方に読んで頂きたいと、作家の読者の集いを即決しました。



発表から本番まで14日間、今回の本の発売予定日がわからず、あとになってその事情を知ることになるのですが、出版自体を、クローズにされていたため、リリースからイベントまでの日にちが、2週間しかない中での開催となりました。告知宣伝を必死の思いで行ったのですが、そのかいがありました。

森松明希子さんとジャーナリストの青木美紀さんのおかげで、原発事故の被害の甚大さ、そして原発事故の問題の本質を知ることができました。これは、まさにテレビなどのメデイアでは放送されない、当事者とそれを徹底的に取材し、追及している記者のみ知る真実でした。


青木さんは、浪江町の帰還困難区域に取材に行かれた時の映像を見せて下さいました。そこでは、事故から11年経つ2022年夏でも、ピーピーと鳴り続ける線量計の音が響いていたのでした。今も原発事故が終わっていないという現実を突きつけられた思いでした。


また、海洋でのクロソイという魚に含まれていた放射能セシウムについては

※     食品衛生法が定める安全基準値は1kg当たり100ベクレルにも拘らず
【NHK政治マガジン】
2021年 2月 福島県新地町沖 270ベクレル/kg が出て、
全量出荷停止

【共同通信】
2022年 1月 福島沖   1,400 ベクレル/kgが出て、
全量出荷停止

※     食品衛生法が定める安全基準の14倍

しかも今は、魚をぐちゃぐちゃに破壊してしまう検査で、サンプルしかしていない。 
非破壊検査にすると、一匹ずつ検査できますが、その検査をする機械が高いとの理由で、破壊検査しかしていないのです。「防衛費を増額するくらいなら、こちらに使っていただきたい。」と、言ってしまいました。


今年さらに、処理しても放射能による汚染を取り切れていない水の海洋への放出が始まりました。けれども、このお話を聞いて、約束を反故にされた漁業関係者の方々のことを考えると何とも言えない気持ちになってしまいました。

今回のイベントにお誘いした京都大学原子炉実験所元助教の小出裕章さんから、お二人にメッセージをいただきました、読み上げさせていただくと、皆さんその中身に感動され、聞き入って下さっているようでした。


また、原子核物理学者で、「宮崎・早野論文」の不正を暴いた黒川眞一先生もオンラインで参加して下さいました。黒川先生は、福島の原発事故による被害者を救済しないこの国は、基本的人権をどんどん壊している。政権は、福島原発を、民主主義を壊すために利用している、「原発は、民主主義を壊す」と、明言されたのでした。この言葉を聞いて拍手が沸き起こりました。

黒木眞一さん


原子核物理学の専門の科学者である、小出先生や黒川先生の言葉に改めて感銘を受けました。

はだしのゲンのイベントに来てくださっていた高橋博子先生も久しぶりにお越し下さり、原発被害の本質が、核被害であることを適宜説明して下さいました。

森松さんが、母乳を出すために福島の水道水を飲んでいたけれども原発事故の後、その水道水から放射能が検出され、母親として耐え切れない思いになられた話は、何度聞いても込み上げてくるものがあるのでした。


「12年9か月で、福島の甲状腺がんの子どもたちは、何人いるか?ご存知ですか?」と、森松さんは、尋ねられました。
甲状腺がんは、100万人に、1人しか出ない稀有な病気なのに、
福島の子どもの人口38万人中、300人が甲状腺がんになっているそうです。
森松さんのお子さんも、2年に一回、受けておられ、一度血栓が見つかった時は、心配されたそうです。今もいつ甲状腺がんになるかわからず、不安な日々をおくられているといいます。裁判になっていますが、日本の国は、因果関係を認めようとしない。
チェルノブイリは、認めているのにとのことでした。


私は、今年、森松さんの裁判を傍聴しましたが、原発を推し進めて来た国の役人の、被害者である森松さんに対するあまりにも威圧的な態度での質問に驚いたのでした。

森松さんの訴えておられる無用な被ばくを避ける権利は、とても大切なことだと思っています。

ドイツやイタリアは、福島原発事故から、脱原発に舵を切りました。
日本も、舵を切りかけていたのに、また再稼働の道を突き進もうとしています。



青木さんが、パワーポイントで、高浜原発が原発事故を起こしたら、隆祥館書店のあたりも任意避難の対象になると仰っていました。

青木さんの記者という仕事を外されたお話からは、報道の自由と知る権利が脅かされていることを感ぜずにはいられませんでした。メデイアが権力と一体化して、書くべきものが書けなくなってしまうと、私たちは、本当のことを知ることがさらにできなくなってしまうのです。青木さんにはぜひ今後も頑張っていただきたいと思います。

青木さん、森松さん、ありがとうございました。
小出裕章さん、黒川眞一さん、高橋博子さん、ありがとうございました。

アーカイブ動画の配信は、12月末まで、受け付けております。
隆祥館書店のホームページ


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