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【浄土真宗の言葉】#98 阿難、また問ひたてまつる、「その仏、成道したまひしよりこのかた、いくばくの時を経たまへりとやせん」と。仏のたまはく、「成仏よりこのかた、おほよそ十劫を歴たまへり」

阿難、また問ひたてまつる、「その仏、成道したまひしよりこのかた、いくばくの時を経たまへりとやせん」と。仏のたまはく、「成仏よりこのかた、おほよそ十劫を歴たまへり」
 
 
 
【解説】
 
今回は「阿難尊者がお釈迦様に『その仏さまが悟りを開かれて、どれだけの時が経ったのですか』と質問をもうあげた。お釈迦様は『すでにおよそ十劫が経過している』お答えになった」という内容です。
 
これは『大無量寿経』というお経の中で、阿弥陀仏について阿難尊者がお釈迦様にいくつか質問しておられる部分です。
 
それらの問答によって、阿弥陀仏がどのような仏なのか、極楽浄土はどのような場所なのかが明らかにされます。
 
 
さて、この「成仏よりこのかた、おほよそ十劫を歴たまへり」という言葉は有名で、阿弥陀仏が十劫もの昔にすでに仏と成られたというのは、浄土教の常識です。
 
もちろん、阿弥陀仏が仏と成られたことと、個々の衆生の上で救いが成立することとは別です。
 
しかしこの内容を曲解してしまう人々もいました。
 
そして「十劫の昔に阿弥陀仏として仏に成られたのだから、私たちはもう救われているはずだ」とか、「十劫の昔に仏の悟りを開かれたことを忘れないのが信心だ」といった誤解が生まれました。
 
 
このFBグループで記事を読んできた人はお分かりかと思いますが、上記のような理解は間違っています。
 
なぜかというと、衆生の極楽往生を邪魔しているもの(本願疑惑心、疑蓋)がありますし、たとえ十劫の昔に仏の悟りを開かれたこと忘れていなくても、本願疑惑心を除かれていなければ、それは他力信心ではないからです。
 
 
歴史でみると、このような誤解が大きな事件に発展したことがありました。
 
それが三業惑乱(さんごうわくらん)事件です。
 
これは江戸時代の西本願寺において発生した、信心の解釈にまつわる教義論争です。
 
あまりに騒ぎが広がったため、西本願寺の内部だけでなく幕府まで介入することになり、死者も出ました。
 
 
三業惑乱の経緯をまとめると、
 
・当時、無帰命安心という異安心が広まりつつあった。
 
・西本願寺の教学の最高権威(能化)が、その異安心を正すための活動をしていた。
 
・しかしその能化の主張に、本来の教義から逸脱した部分があった。
 
・そのため地方の僧侶たち(広島の大瀛など)が反発した。
 
・騒ぎが大きくなり、幕府が介入することになった。
 
・能化である智洞ら、それに反発した大瀛らが、ともに幕府に呼ばれて意見聴取された。
 
・能化側が敗北。この事件をきっかけにして、浄土真宗の教義はこまかく研究されるようになった。
 
となります。
 
 
能化は教学の最高権威であり、門主をもしのぐ権力を持っていたそうです。
 
しかしその主張が間違っていた。
 
つまり、いくら教学の権威であろうとも、間違った説をとなえる可能性があるわけですね。
 
 
この記事を読んでいる人は、「有名な先生がいってる内容だから正しいはずだ」といった先入観は捨てて、お聖教と合致する内容かどうか、正確に照らし合わせる習慣をつけていただければと思います。
 
 
 
三業惑乱 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/三業惑乱 
 
 
大瀛(だいえい) Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/大瀛
 
 
智洞 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/智洞
 
 
原文
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏説_無量寿経_(巻上)#.E5.8D.81.E5.8A.AB.E6.88.90.E9.81.93
 
 
あなん 阿難 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あなん
 
 
仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏
 
 
成仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/成仏
 
 
十劫 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/十劫
 
 
釈迦 釈迦牟尼仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/釈迦
 
 
仏説無量寿経 大無量寿経 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏説無量寿経
 
 
あみだぶつ 阿弥陀仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あみだぶつ
 
 
極楽 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/極楽
 
 
浄土 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土
 
 
浄土教 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土教
 
 
衆生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/衆生
 
 
さとり 悟り WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/さとり
 
 
信心 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/信心
 
 
おうじょう 往生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/おうじょう
 
 
疑蓋 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/疑蓋
 
 
他力 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/他力
 
 
本願寺 西本願寺 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/本願寺
 
 
無帰命安心 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/無帰命安心
 
 
異安心 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/異安心
 
 
能化 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/能化
 
 
浄土真宗 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土真宗
 
 
聖教 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/聖教
 
 
浄土真宗聖典目次 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/WikiArc:浄土真宗聖典目次
 
 
 
【今回の読み仮名】
 
阿難‐あなん
仏‐ほとけ、ぶつ
成道‐じょうどう
成仏‐じょうぶつ
十劫‐じっこう
歴たまへり‐へたまへり
阿難尊者‐あなんそんじゃ
お釈迦様‐おしゃかさま
大無量寿経‐だいむりょうじゅきょう
阿弥陀仏‐あみだぶつ
極楽浄土‐ごくらくじょうど
浄土教‐じょうどきょう
衆生‐しゅじょう
悟り‐さとり
信心‐しんじん
極楽‐ごくらく
往生‐おうじょう
本願疑惑心‐ほんがんぎわくしん
疑蓋‐ぎがい
他力信心‐たりきしんじん
三業惑乱‐さんごうわくらん
西本願寺‐にしほんがんじ
無帰命安心‐むきみょうあんじん
異安心‐いあんじん
能化‐のうけ
大瀛‐だいえい
智洞‐ちどう
浄土真宗‐じょうどしんしゅう
門主‐もんしゅ
お聖教‐おしょうぎょう
 
 
 
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【聞法している方へ、ご案内】
 
・『ゼロからわかる浄土真宗』
浄土真宗が基礎からわかるホームページです。
http://amidabuddha18.com/
 
 
・note『死ぬのが怖い人へ』
私の聞法の記録です。
https://note.com/ryuun18/m/mdef818dfed16
 
 
・「南無阿弥陀仏」の文字が入ったスマホ用壁紙を作りました。
縦横比は以下の2種類。
・2対1 (iPhone11/11Pro/11Pro Max, iPhone XS/XS MAXなど)
・16対9 (iPhone5/6/7/8, Androidなど)
色はウェブサイトでよく使われる12種類。
こちらでダウンロードできます。
http://amidabuddha18.com/kabegami/
 
 
・安心論題の話
http://labo.wikidharma.org/index.php/安心論題の話
 
 
・光雲な毎日(立読みページ)
http://koun18book1.blogspot.com/
 
 
・note『信心獲得したい方へ(浄土真宗の救い)』
信心に悩んでいる方は、こちらのページがおすすめです。
https://note.com/koun18/n/ndbc737a85fa4
 
 
 
南無阿弥陀仏

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