『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』感想※ネタバレあり

ベンジャミン・バトン 数奇な人生
監督デヴィッド・フィンチャー
脚本エリック・ロス
出演者ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット

ゆったりした語り口と、止まることない時間の経過との対比が印象的だった。愛する人はどんどん若返り、自分はどんどん歳を取っていくのは、辛いだろうな。

初めは老人の体のため、不明瞭な発声だったベンジャミンが、時間が経ち若返るにつれて、明瞭で成年らしい声になっていく。反対にデイジーは年齢を重ねて声が落ち着いて低くなっていく。その声の表現が緻密で繊細だった!

父を亡くしたベンジャミンがデイジーに会いに行き、「喜んでくれると思った」と言ったシーン。
人は今が辛いと、昔の楽しかった頃を取り戻したいと思うのだろう。でも、過ぎた過去を取り戻したい子どもの発想と、戻れないと知っている大人の発想とでは、噛み合わず、気持ちは同じでも外見や年齢にズレがあることが分かる特徴的な場面だったと思う。

海が何度も出てきたのは、人生が航海とも言われるためか。もしくは、命の始まりの母の羊水を表しているのか。赤ん坊の誕生から始まり、病院で天寿を全うするまで、まさに一生が描かれた作品だった。

ベンジャミンから娘への手紙に書かれた言葉は、
私をも勇気づけてくれた。

「何をするにも遅すぎることはない
なりたい自分になればいい
タイムリミットは無い
いつ始めてもいいんだ
変わってもいいし変わらなくてもいい
ルールなんて無いんだよ
人生は最高にも最悪にもなる
もちろん最高のほうがいいけど
驚きに満ちたものを見つけて
それまで感じたことのないことを感じて
人と出会い 様々な価値観を知ってほしい
誇りを持って人生を生きるんだ
道を見失ったら 大丈夫 
自分の力で また やり直せばいいんだ」

最後まで読んでいただきありがとうございます。 これからもいろいろな作品・体験に触れ、日々の活力にしていきたいなと思います。よろしくお願いします。