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左腕には澱み無き零

1人の左腕がスワローズに移籍した時、先発起用をするのかなと思った。ドラフトが予想される度に「スワローズのドラフト1位は即戦力投手」と何年も連続で聞いてきた。人が思うほど先発は手薄ではないのに。故障者がいなければの話だが。田口麗斗は移籍1年目でスワローズに欠かせない事を確信させる鷲掴みだった。最初は先発だった。「スワローズに左腕は少ないからな。まぁそうなるか。」と見た。数試合の先発を見て個人的には良いと思っていたがリリーフ転向となった。先発とリリーフの両方を経験している選手であるから然程の違和感は無かった。何故にリリーフだったかの理由の1つはムードメーカーであるならば出ない時も毎試合いた方が良い事が1つの理由だった。真骨頂を発揮する入り口はここからだった。では、時代を少し遡ろう。

2013年・夏の広島県大会決勝 
瀬戸内‐広島新庄

零封をする気持ちが強い投手には特徴があると思う。1つのアウトを取ったら吠える。ピンチを凌げばガッツポーズ。自らを鼓舞し空気を変える。偏見かもしれないが当時から形はあったように見えた。瀬戸内の先発であり現オリックスの山岡と広島新庄の田口という注目カードが決勝に来た。その頃の私は山岡に興味がありマークしていた。申し訳ございません。山岡が奪三振ショーで順調にアウトカウントを奪っていく。試合の進みが早かった。「今、何回まで進んだんだっけ。」と表示を見たら6回終了。スコアボードに0以外の数字は無かった。瀬戸内打線が畳みかける猛攻をしていただけにてっきりリードしているかと思った。そこで初めて田口の投球内容を見た。打たれていたのは確かだった。それでも無傷。

山岡は15イニング
被安打1の無失点で15奪三振

田口は15イニング
被安打13の無失点で19奪三振

決勝は引き分けとなり再試合が確定。印象的だったのは対照的な両者の凄さだった。ノーヒットノーランも狙えたほどに安定していた山岡に対して田口は徹底して攻められていた。だが上回る奪三振だった。振り返るとスライダーの空振り率は高かった。休む間もなく再試合は始まった。田口が8回に初めて失点。それが決勝点となり甲子園の切符を得たのは瀬戸内だった。

では現代のスワローズに戻ろう。

タイムマシンをご利用して頂きありがとうございます。田口がリリーフの道を歩み今年はクローザーに立候補して担っている。私には田口がいつマウンドに立ってもこう思う。「ランナーがいてもピンチを感じさせない事が不思議」と。絶対的だからとかではなく、ピンチに動じない田口に何かがあると思う。零に対する拘り、マウンド度胸、メンタル。これらがピンチという圧を何のそのと断ち切っていると私は思う。スワローズファンの中でも覚えている方は多いかもしれない2022年交流戦初戦。相手は日ハム。ノーアウト満塁のピンチで田口はマウンドに立った。三塁側から観ていた私には1球投げる度に声が聴こえてきた。

それは観客の声ではなく
マウンドから聴こえる声だ。
「おりゃ!」
「オラ!!」
「シャー!!」と。

一球入魂そのものだった。
尋常じゃないメンタル。

リリーフにしては珍しいお立ち台だった。
「どういう気持ちでマウンドに立ったのか?」
という質問に田口は少し溜めてから「無です。」と応えた。

内心「嘘つけ(笑)!」

そこからリリーフ街道を歩み先程もお伝えした通りランナーを置いてもピンチな事を感じない。感じさせない。スコアボードには0が刻まれるイメージがあり、仮に失点しても勝てば感覚はスコアボードに0が。麻痺したかのような感覚がある。その結果なのか火消しを担い、方程式を担い、方程式の締めを飾るクローザーが減に至る。嫌なことを忘れて強靭なメンタルで最高の結果を出す。更に継続は容易な事ではない。負けたらバッシングはスポーツにはよくあること。クローザーを担うのも納得の存在感だろう。岩瀬に似ている。実に強靭だ。そう思うと…

Twitterは誹謗中傷があって
メンタルを喰らうが

Threadsは強心臓を
保ちやすいのが理解出来るな。

【あとがき】
本書は読んでいただき、誠にありがとうございました。田口選手は素晴らしいクローザーだなと思います。夏が来るたびにこの決勝戦を思い出します。そこで感じた事と現在にあるリンクする事…
糧ですね。夏の甲子園シーズンという事で今回はスワローズですが次回は浦和レッズです。完成はしてるのですがタイミングを測ってます。移籍とか無ければ良いのだが。





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