未受精卵凍結の話②:はじめての卵子凍結

前回の記事でAMHが低いことが判明し、未受精卵凍結を決意した話をした。今回は初めての卵子凍結の話をしようと思います!

私のAMHは32歳7か月あまりで0.85ng/mlという数値をたたきだした!これは43歳~44歳レベルの卵子の在庫数!卵巣機能はとっても低い状態。

この数値がわかったのは海外赴任を3週間後に控えたとある日。AMHの検査をした地元のクリニックが未受精卵凍結も行っていたため、他を調べる暇もなく、凍結治療を受けることにした。

未受精卵凍結のプロセスは体外受精と同様、排卵誘発剤にて卵巣を刺激し、卵子を育て、体外に取り出し、そのまま卵子を凍結させるもの。

排卵誘発の種類は低・中・高刺激と様々な種類があるそう。高刺激は刺激の強い排卵誘発の注射(hMG/FSH注射)を毎日繰り返し、卵巣を刺激し多数の卵子を育てる。他方、低刺激は刺激量が少ない経口薬(クロミッドなど)を内服し、少数精鋭で育てる方法で、中刺激はその中間で、注射(数回)と経口薬を併用するパターン。以下は高刺激のアンタゴニスト法と中刺激のクロミフェン+HMG法の例。

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高刺激を行えば、その分卵子をたくさん育てることは可能だが、卵巣にも負担がかかるし、費用も高額。他方、中・低刺激は卵巣への負担は少なく、費用も若干安くなる。しかし実際は採卵手術や凍結に多くの費用が取らるので、数万円しか変わらないという印象。

私の場合はAMHが非常に低いため、高刺激法をとっても卵子が多数発育するのは難しく、単に高額になるだけとのアドバイスを受け、中刺激のクロミフェン+HMG法で卵子を育てることした。下記は当初私が行った際の採卵までのスケジュール。

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生理3日目からクロミッド(経口薬)を朝晩毎日2回内服し、生理4・6日・8日目の計3回、hMG/FSH注射を打った。自己注射も可能と言われたが、初めてのことで怖かったこともあり、注射は毎回クリニックで打ってもらっていた。クロミッドも単なる経口薬だが、自分の身体で本当に卵子が育つのかの不安もあり、毎回飲む際は緊張していた。

卵子を育てる間、生理開始から11日目には卵子の育ち具合をエコーを通じて確認した。通常卵子は20mm程度になると排卵するようになっており、私のミッションは一つでも多く卵子を育てること。しかしながら、卵巣機能がかなり低い私は、育っている卵子はたった一つと言われた。その日のうちに、明後日の採卵が決定(生理開始から13日目)。また、採卵当日の麻酔の有無も確認された。卵子は一つしか育っていないため、麻酔をする必要はないと言われたが、最初のことで恐怖感があったため、麻酔もすることとした。

同日の採卵2日前(生理11日目)の夜にはスプレキュア点鼻薬(右左の鼻の穴から計2回ずつ(1回目と2回目は一時間の間隔を空ける))をすることで卵子の最終成熟と排卵時間のコントロールを行った。これが採卵前最後の薬。点鼻薬の時間は採卵時間により、お医者さんから時間が指定される。

点鼻薬

生理13日目、採卵当時日。朝7時にクリニックに到着した。麻酔の点滴を受け、そのまま採卵へ。麻酔をしていたため、もちろん採卵手術の記憶はない。その後少し経って目が覚め、採卵結果の報告を担当医から受けた。結果、最終的に2つ卵子は取れたものの、一つは未成熟卵であり、凍結ができないとのことで、結果1つの成熟卵を凍結した。卵子は採卵できたとしても成熟卵でなければ、将来の体外受精に向けて使用することができないからとのこと。未成熟卵の他に変性卵(細胞が生きていない状態の卵子)というのもあり、こちらも凍結は不可。

初めての卵子凍結の結果は、たった一つ。さらに、お医者さんからは正常な成熟卵を凍結しても、解凍した際に使用できるかはまた別問題と告げられた。ガーン。。また、未受精卵凍結の解凍率は受精卵の解凍率と比較して低いと言われているそう。では、一人の子どもを産むのに必要な卵子数は?これは病院やお医者さんによっても意見は様々。少ないところは5個、多いところは自分の年齢と同じ数と記載のところもある。つまり、卵子凍結の歴史はまだ浅く、凍結した卵子から実際に出産をされたケースが非常に少ないからとのこと。今、16人に一人が体外受精で生まれている日本であるが、卵子凍結は選択する人も、それを実際に使用する人もほんの一握り。

では、私の場合いくつを目標にするのか。海外赴任の渡航が迫っていたため、また来月にとはいかない。たった一つの卵子では確実に出産までに至る可能性は極めて低い。そんな不安を抱いたまま、私は海外へと飛び立つこととなったのは、2019年4月。

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