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沢田知可子さんの名曲 「会いたい」の「芳野藤丸さんが"作り変えた箇所"」を具体的に考察

今回は沢田知可子さん(現: 澤田知可子さん)の名曲「会いたい」の「芳野藤丸さんが"作り変えた箇所"」を具体的に考察していきたいと思います!

「会いたい」のシングルジャケット

結構マニアックな考察になると思いますが、色々資料を添付しながら解説していきますので、どうぞお付き合いください!笑

「会いたい」について

「会いたい」は1990年6月27日にリリースされた沢田知可子さんの6枚目のシングルで、4枚目のアルバム「I miss you」からシングルカットされた楽曲です。

売上は130万枚を超えてミリオンセラーとなり、沢田さんの最大のヒット曲となりました。

楽曲は、
・作詞:沢ちひろさん
・作曲:財津和夫さん
・編曲:芳野藤丸さん

の布陣で制作され、財津さんの作曲作品としても最大のヒットを記録しています。

しかし、実際の制作状況は大きく異なっていました。

そもそも「藤丸さんが"作り変えた箇所"」とは?

この楽曲のクレジット自体は
・作曲:財津和夫さん
となっていますが、
実際は
「財津さんが提出したデモテープの
"鼻歌程度の未完成のメロディー"
をもとに、藤丸さんが
"全面的に曲を作り変えて構成し直した"」

と言われています。

藤丸さんは後年、
「自分は編曲料しか貰っておらず、印税は全て作曲者としてクレジットされた財津さんの方へ行った」
とネット番組で話されていました。

つまり、
「実は"会いたい"は藤丸さんが作曲していた箇所や、藤丸さんの作り変えた箇所がかなり多いのではないか?」
と思ったことが今回の考察記事を執筆するに至ったきっかけです。

ここからは僕が
「ここは藤丸さんが作り変えた箇所なのではないか?」
と感じた箇所をいくつかピックアップしていこうと思います。


"藤丸さんが作り変えたと思われる箇所"について

※「会いたい」は藤丸さんのソロアルバム「Romantic Guys」に収録されている「Just a woman」という曲と、
"曲の組み立て方が非常に似ている"
ため、ここからは度々「Just a woman」を例にあげたり、対比させて説明することがあると思います。

①オシャレなコード

"曲のコードを作り変える"のは編曲者の1つなのですが、普通であれば
「作曲者が提出したデモテープが"歌とピアノ or ギターによる弾き語り"で、ある程度コードがついている
などが多い中、今回のケースは
「鼻歌程度の未完成のメロディーから曲を制作している」
ため、
"この曲で使われているコードの大半は藤丸さんが考案されたもの"だと思われます。

藤丸さんと言えば、音の重ね方がとても巧みで、ご自身の作品では「オシャレなコードを多用される」傾向にあります。

そのため、この曲は"かなりコードワークがオシャレ"です。

ざっくり説明すると、
ほぼ全てのコードが"♯付きのコード"で、普通のコードの構成音を半音上にズラした演奏されています」。

そのため、序盤からほとんど黒鍵のみのコードで演奏されていて、サビも7割くらいのコードが黒鍵しか使っていません。

とてもオシャレなコードワークですが、
ほぼ♯付きのコードだけで曲を成立させてミリオンヒットさせる藤丸さんの力は恐ろしいです。。。

②Aメロの音程が上がるところ

「Just a woman」のAメロには「♪感じ〜るね〜」と上がる箇所があるのですが、
「会いたい」も「♪同じ〜月日を〜過ごした〜」「♪恋を〜覚えた〜」など、同じような調子で音程が上がっていく箇所があります。

ここは恐らく「藤丸さんが考案されたメロディライン」であると思われます。

③「♪約束したじゃない〜」と「♪会いたい〜」の間にある"間"

藤丸さんは、
「メロディとメロディの間を少しあけてワンクッション置く」
という手法を多用されます。

ここのサビの間は「財津さんのデモテープには無く、藤丸さんが作った間」だと思われます。

④サビの「♪Uh〜」というフレーズやコーラス

この「♪Uh〜」は"歌詞にもデモテープにも無く、藤丸さんの考案のフレーズ"であると断言出来ます!

藤丸さんは曲に浮遊感を持たせるため、「♪Uh〜」というフレーズやコーラスを多用することが多いです。

Bメロからサビにかけて歌に被せるように「♪Uh〜」というコーラスが入る

主旋律を歌ってる人が「♪Uh〜」というフレーズを歌ったままサビが終わる

そのままサックスソロ突入

という手法は「Just a woman」のサビでも全く同じ形で使われています

藤丸さんを感じるアレンジ

①キーボードの音色がヤマハ

藤丸さんはヤマハのシンセサイザーの音色を曲の節々で差し込まれることが多く、「会いたい」のキーボードでは全てのパートでヤマハ由来の音色が使われています。

ヤマハのシンセの少し硬めの音色が曲の雰囲気に良い感じに作用していると思います。

②AメロとBメロのアルペジオ&サビや間奏のカッティング

AメロとBメロでの
・基本的にコードはキーボード
・リードのアルペジオはギター

というアレンジは、ギタリストである藤丸さんのアーティスト性がかなり出ている箇所であると言えます。

また、藤丸さんはカッティングギターの名手として知られており、サビや間奏のチャキチャキした音色のカッティングは藤丸さんの代名詞とも言えるプレイです。

③サビ終わりにジャッジャッと音を切り、曲のセクションを切り替える

藤丸さんの所属するバンド、AB'Sの
「Destination」
という楽曲のイントロやAメロでも、同じく「ジャッジャッ」という音の切り方で曲のセクションを切り替えています

これは藤丸さんがセクションの切り替え方としてかなり多用される手法ですね。

④ 一番のサビ終わりに長めのサックスソロ突入

これは「会いたい」でも「Just a woman」でも使われている手法です。

一番の終わりに長めのサックスソロに突入することによって、2番に入るまでの間に、
「聴き手に曲の情景を強く感じて貰う」
という効果があります。


まとめ

・恐らく藤丸さんはオシャレなコード、音程が上っていくメロディ、「♪Uh〜」というフレーズを追加することによって、「会いたい」という楽曲を作り変えたのだと思われる。

・「会いたい」のアレンジは、藤丸さんのエッセンスやアーティスト性が豊富に散りばめられているアレンジである。


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