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「しもごえ」と汚泥肥料の大きな違い

ウクライナ・ロシア紛争が長引くことから食品流通価格が上がり、化学肥料の原料も値上がりしています。そのため、農水省と国交省は下水汚泥の肥料利用を積極的に推進しています。

すでに九州の佐賀では、2009年から市の下水浄化センターで汚泥のたい肥化を進めてきました。

自治体が安価な肥料として10キロ20円で売りだし、今年の8月販売量は前年同月と比べ、約3倍になっています。従来の化学肥料だと20㎏2500円ほどで昨年から1000円も高くなっているからです。
下水汚泥と聞くとなんだか臭そう~という印象ですが、糞尿が、リン酸や窒素に富み、肥料としての価値があることから江戸時代から、普通に使われてきたし、

戦後間もない時期まで、田畑に肥溜めというものがあったと、私もかすかに記憶しています。
田畑で遊び、間違って肥溜めに落ちて、クソまみれで泣きながら家に帰った子の話を聞いたことがあります。

戦後、マッカーサーの指導で細菌や寄生虫の問題から人糞肥料の中止が命じられ、化学肥料へと完全移行していくわけです。

これも今から思うと、アメリカの経済的理由だったのかも・・・

ところで、今の時代だからこそ、この下水汚泥のたい肥利用に疑問を持つ人がいます。

印鑰 智也氏です。先日地元香川県で講演会がありました。

この日は遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品、種子法、種苗法の問題など、フードテック全般の話でしたが、この下水汚泥についても、いろいろな場で発言されています。

下水汚泥の安全チェックが日本では6種類の重金属と放射性物質だけ、であること。
これまた、何度か書いているフォーエバーケミカルPFASについてはノーチェックなのだそうです。

そして実際に、佐賀県の下水汚泥から、沖縄の下水汚泥から出たものの70倍を超えるPFOAが検出されました。理由はわかっていません。

アメリカでは800万ヘクタールがPFASにに汚染され、メイン州では下水汚泥肥料の使用を昨年、禁止したそうです。(印鑰 智也氏のブログより)

(注)PFAS=4800種類以上ある有機フッ素化合物の総称、
PFOA、PFOS=PFASの中の2つ、最も人体に危険度が高いとされている
日本ではPFOSが2018年から、製造・輸入が禁止。
PFOAは、2021年10月、製造・輸入を禁止しています。


え~落語を一席。

「今日の菜はあまり味が良くないな」というお殿様、
「今日の菜は屋敷内で採取したもので
下肥(しもごえ)を使っておりませんので、味が一段落ちるかと・・・」と答える三太夫。
「さようか、しからば菜というものは下肥をかけると美味になるのじゃな」と殿様。
「左様にございます」と三太夫。
「なれば、苦しゅうない、この菜に少々かけてまいれ」

殿様は、下肥の意味(人糞)を知らなかったというお笑いのオチ。

こんなのんびりした時代と今は違う、
PFASなんて、ありえない時代でした。

心配するのは、寄生虫くらいだったのですものね。


国は今後、どう対処していくのでしょうか。
アンテナを立てて、注目したいと思います。

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